2014年1月12日

『池上彰のアフリカビジネス入門』 池上彰・著 vol.3463

【アフリカ10億人市場に潜むチャンスとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274349

モザンビークを訪れた安倍総理大臣が、ゲブーザ大統領と会談し、5年間でおよそ700億円のODA(=政府開発援助)を行うことなどを盛り込んだ共同声明を発表しました。

これは、今後有望と見られるアフリカに、日本が食い込んでいくための重要な会談で、ニュースでは「天然ガスや石炭など、豊富な資源の開発を進めるため」とありましたが、実際には、今後の日本の対アフリカ戦略が盛り込まれた、重要なプロジェクトです。

そのことが詳しく書かれているのが、本日ご紹介する『池上彰のアフリカビジネス入門』。

今後有望視されるアフリカ市場について、わかりやすい解説で知られるジャーナリストの池上彰さんが切り込んだ、注目の一冊です。

まず、核心部分に触れる前に、本書のなかから、なぜアフリカ市場が今後注目されるのか、その魅力を簡単に紹介しましょう。

・ここ10年で経済規模が4倍に成長
・これから数十年で見ると、世界で一番人口が増加する 
(国連 “World Population Prospects”によると、2050年には17億5000万人、22世紀までには36億人に達するとか)
・豊富な天然資源
 (モザンビークやタンザニアでは豊富な天然ガス、ガーナでは石油)
・巨大な総面積
 (アフリカ大陸の総面積:3022万平方km、アメリカ合衆国:982万7000平方km、中華人民共和国:970万7000平方km、ヨーロッパ全土:1018万平方km)

巨大な大陸なのに、鉄道が発達しておらず、道路も未整備、港湾施設も、電力インフラもまだまだ。

こんな手付かずの市場に、一体どんなチャンスがあるのか。

本書では、JICA切ってのアフリカ通たちに、池上さんが今後の開発についてインタビューしており、まさに先頃発表された700億円のODAの狙いを知ることができる内容です。

天然の良港である、モザンビークのナカラ港に日本が開発しようと考えている「ナカラ回廊」計画、「東アフリカのシンガポール」を狙うケニアのモンバサ港への支援計画、そしてアフリカ成長のカギを握る農業まで、さまざまな視点からアフリカ経済の可能性を論じています。

情報源のほとんどがJICAの方ということで、若干JICAの宣伝臭がしますが、それでも、アフリカの今をとらえるには、最適な一冊だと思います。

読めば、きっとアフリカでビジネスがしたくなるはず。「最後の大陸」に勝負を挑む若手起業家、投資家には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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モザンビークやタンザニアでは豊富な天然ガスが見つかっています。両国の年間生産量は日本での消費量の半分相当の規模になると見込まれており、すでに日本企業が開発の権利の一部を得ています(JICA宍戸氏)

携帯電話を利用したエムペサのような送金サービスは、大掛かりなインフラや設備がなくても、全国を網羅する送金網をすぐに普及することが可能(JICA宍戸氏)

アフリカ大陸は巨大です。ヨーロッパとアメリカと中国と日本を足したより大きい。なのに鉄道が発達していません。このため移動手段、運送手段は、自動車が主役となります。自動車が主役となるためには、道路が適切に舗装されて、大陸の隅々にまで通る必要があります。道路の充実が、社会の発展と経済成長のカギを握っているのです

ケニアには、モンバサという大きな港湾都市があります。首都ナイロビから450km南東の海岸沿いに位置し、中世の昔からインド洋貿易の拠点として繁栄してきました。ケニアはこのモンバサを内陸国の貿易まで請け負う多国間貿易のハブ港にし、経済特区を設け、リゾート施設も充実させ、「アフリカ東海岸のシンガポール」のような場に育てようとしています

モザンビークは1975年から1992年まで内戦が続き、ナカラも戦場となり、開発が著しく遅れてしまいました。このナカラ港を日本の支援によって再開発し、南部アフリカの一大貿易港に育てようとしているところです(中略)中世から栄えただけあってナカラは天然の良港として恵まれています。水深が14mもあるため、浚渫(しゅんせつ)作業を行わなくても大型船が入港できます(JICA倉科氏)

(ナカラ港は)現在はコンテナ数で年間7万5000個、トン数で同120万トンをさばいています。ただし今の最大許容量は約10万個で、JICAと政府の協力を受けて、コンテナターミナルの増強やクレーンの増強を行い、2020年には、年間25万個600万トンと、現在の3倍以上の荷裁き能力を有する港に変身させるつもりです(北部港湾会社 ランガ氏)

ケニアは紅茶が世界一の輸出量を誇っていますね。園芸作物でも切り花の輸出が盛んです。バラが隠れた有力輸出産品ですね

モザンビークとブラジルは母国語がお互いポルトガル語

女性とおじさんがケータイを使って現金のやりとりをしたサービスを提供しているのは、ナイロビに本社を置く、サファリコムという通信会社です。今やアフリカ屈指の通信会社に成長し、ケニアの携帯電話市場の7割以上を占め、サファリコムのユーザーはケニアの人口の半数近くに及ぶそうです

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『池上彰のアフリカビジネス入門』池上彰・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4822274349

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◆目次◆

INTRODUCTION
世界中が今アフリカに注目しているって、知ってましたか?
巨大ビジネスのフロンティア、豊富な資源と10億人の巨大市場!

CHAPTER1
「アフリカ」のツボが、さっぱりわからない日本人のためにJICA
の宍戸健一さんに聞きました。
これだけ押さえておこう!9つのポイント

CHAPTER2
日本が解く!アフリカの課題
その1 物流インフラの整備

CHAPTER3
日本が解く!アフリカの課題
その2 主食の自給自足

CHAPTER4
日本が解く! アフリカの課題
その3 地熱発電で電力の普及を

CHAPTER5
日本が解く!アフリカの課題
その4 商売の前に「市場の創造」

CHAPTER6
アフリカに好かれている日本だから援助もビジネスも、もっと
(JICA田中明彦理事長)

AFTERWORDS
とりあえず、アフリカに行ってみませんか?

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