2014年1月20日

『スマホは人気で買うな!』 吉本佳生・著 vol.3471

【ケチャップの「お徳用」が割高の理由は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453226233X

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本日の一冊は、ベストセラー『スタバではグランデを買え!』の著者、吉本佳生さんが、巷の商品のさまざまな「価格」の理由と、ビジネスモデルについて述べた、ビジネスマンのための知的読み物。

※参考:『スタバではグランデを買え!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480428968/businessbookm-22/ref=nosim

たとえば、こんなトピックが挙げられています。

・ケチャップの「お徳用」はなぜ割高か
・カフェのイートインとテイクアウトはなぜ同じ料金か
・人気が高い携帯電話会社で契約するほうが得だとはかぎらないのはなぜか

ビジネスにまつわるさまざまな疑問を、経済学的思考で読み解く、じつに著者らしい本で、移動時間のちょっとしたスキマ時間に読んで教養を深めることができます。

ちなみに、ケチャップの「お徳用」がなぜ割高かというと、最近は、<大きなサイズを好む世帯の比率が低くなったから>。

規模の経済性が働かないため、かつてとは逆の現象が起こっているのだそうです。時代の変化は恐ろしいですね。

本書にはまた、USJの「早回り券」や、シネコンの在庫調整のしくみ、飽和状態の家電にあって、未だに値上げができるプリンターや電気カーペットの秘密、顧客情報をさり気なく集める「金融の要素」など、ビジネスで利益を生むためのさまざまなアイデアが紹介されています。

日常、何となく目にしているはずなのに、ビジネスモデルがよくわかっていない。

そんな商品やサービスのしくみに迫った、興味深い新書です。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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お徳用サイズのケチャップやマヨネーズは相対的に売れなくなり、規模の経済性が平均コストと価格を下げる効果は、相対的に、ふつう以下のサイズのほうが働きやすく、大きなサイズでは働きにくくなりました

混雑時にはテイクアウトを安く、閑散時にはイートインを安くするのが合理的。しかし、切り替えは現実的でないから同じ価格にしている

同じ時点での価格差を利用して儲けようとするのが「裁定」であり、異なる時点での価格差を利用して儲けようとするのが「投機」です

スマホは、シェアが低い携帯電話会社が攻勢をかけるうえでえは強力な武器になりますが、人気が急に高まりすぎると、大きな問題が起きます。「混雑」による通信品質の低下です

無料提供をビジネスに活用して利益につなげようとする企業は、たいていの場合、なんらかの「情報」を求めています。典型的なのは、消費者のメールアドレス、好みや消費履歴、氏名・性別・年齢・住所・勤務先、家族構成や年収などの「顧客情報」を集めるために、無料でなにかを提供するケースでしょう

映画の場合、特定の日時のチケットを買い損なっても、困らない人が多いため、残り物を安く売ると、買い控えのマイナス面が大きくなります。そこで、残り物を少なくするように工夫したのが、シネコンです。座席数が異なる映画館(スクリーン)を複数組み合わせ、複数の映画を上映しています。映画の人気によって上映するスクリーンと1日の上映回数を変更します。シネコンは、座席が余っても、料金を変えて売るのではなく、座席数を変えて対応しているのです

結果として有力な古書店対策になっているのが、ちょっとしたブランド品のバッグなどをオマケにつける本です。お客さんがそのオマケを取り外した途端、本としての価値は激減します

主力商品は値上げする一方で、期間や客層を限定した割引をする

「なにかを貸す」とか、「代金の請求を後回しにして、支払いを待ってあげる」といった行為は、「金融の要素」を含みます。そして、あとからモノ(たとえばDVD)やおカネを回収しないといけませんから、顧客に毎回、氏名などの個人情報をきちんと提示することを要求できます

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『スマホは人気で買うな!』吉本佳生・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453226233X

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◆目次◆

1章 価格の基本を知ろう
2章 大きいことはいいことだ?
3章 価格差別のことを学ぼう
4章 ライバルとの戦い
5章 価格戦略の応用
6章 個人にとっての経済
7章 マネー世界の論理と計算

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