2013年12月9日

『本当の自分を見つける文章術』 ブレンダ・ウェランド・著 vol.3429

【とっておきの一冊。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990121929

本日の一冊は、ひょんなことから買い求め、これまで読まずにいた、「とっておきの一冊」。

1938年初版発行の全米ロングセラーで、今日の主流である論理的・科学的な本、著名人の書いた本とは一線を画す内容です。

中身は文章術を扱っていますが、本当に論じているのは、われわれの根底に眠っている「創造力」を呼び覚ます考え方。

「誰にも才能と独創性があり、大事な言うべきことがある」という著者の信念に基づき、どうすれば創造性を開放できるのか、その方法論を、著名な書き手のアドバイスを紐解きながら紹介しています。

<あなたが今日書くものは、いつか怠惰にしていたときに考えたこと>
<普遍的なものを描こうとすればするほど、特定のものについてより細かく忠実に描かなくてはなりません>
<もしあなたが偉大な人間で、悪い人間について書くときも真剣で、あざけったり偉ぶったりしないなら、悪人たちも感謝するでしょう>

いずれのアドバイスも、文章術を超えて、われわれにどう生きるべきか、どう物事に取り組むべきかを教えてくれます。

訳者があとがきで述べているように、<アカデミズムとは無縁のこの本がもつ独自の力>を、きっと読者も感じるはずです。

現代人は、出世やお金に代わる「生きがい」を求めていますが、いまだその明確な指針は見つかっていません。

本書を読めば、われわれが人間らしく生きる方法、安易な「幸せ」に頼らず、もっと充実した人生を歩む方法が見つけられるかもしれません。

作家になりたい方、クリエイティブになりたい方はもちろん、次世代のライフスタイルを発見したい方にも、おすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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二〇世紀の汚らわしい物質主義はこう問いかけます──読者もいないし金も入らないのなら、書いたり描いたりすることに何の意味があるんだ、と。ソクラテスやルネサンス期の人たちにとって、報酬は内在的なものでした。すなわち魂の拡大です

あなたが今日書くものは、いつか怠惰にしていたときに考えたことです

彼女は言葉のことだけを考えて、物語を見ない。起こることの真実を考えようとしない。響きのいい気のきいた言葉を選んでもだめだ。登場人物と、彼らに起こることについての明確な考えが必要だ

普遍的なものを描こうとすればするほど、特定のものについてより細かく忠実に描かなくてはなりません。そこで私はB夫人に、細密に、忠実に書いてみるように言いました。知人の誰かを、無骨なまでにくっきりと描くようにと

書くときには自由でなければなりません。すべての「べき」を振りほどくのです。すべてのしがらみや義務を断ち切ってしまわねばなりません

もしあなたが偉大な人間で、悪い人間について書くときも真剣で、あざけったり偉ぶったりしないなら、悪人たちも感謝するでしょう

書くときに大きな問題になるのは、読者との生きた交流があるかないか

チェホフは弟にこう助言しています。
君が書いたものの中に、夕食の間中くだらない話をし、キスをしている若いカップルが出てくるね。意味のある言葉はまったく見られず、ただ自己満足があるだけだ。君は読者に向かって書いていないのだ。その話が自分を楽しませるから書いているにすぎない。
……主観性というのは恐るべきものだ──ひとつには、それが哀れな書き手をますます裏切るからだ。それよりは、夕食の様子を書いてみるといい。彼らが何をどんな風に食べるか、コックの様子、主人公の下品さ、どれほど自己満足しきっているか、この気取った食いすぎのまぬけに対するヒロインの愛がいかにくだらないものであるか──そんなことを

人間が寛容になり、生き生きと喜びに満ちた、率直で共感的な存在に、あるいは、戦いや金儲けなどに無関心な存在になるには、創造力を使う以上にいい方法はない

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『本当の自分を見つける文章術』ブレンダ・ウェランド・著 アトリエHB
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4990121929

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◆目次◆

はじめに
第一章 誰にも才能と独創性があり、大事な言うべきことがある
第二章 「想像力は人間の中の神聖な部分である」
第三章 なぜルネサンスの紳士はソネットを書いたのか
第四章 想像力はゆっくりと静かに働く
第五章 「行動に移さない欲望を抱いているよりは、むしろ揺りかごの幼児を殺せ」
第六章 「われわれの中には、つねに若くて生き生きとした詩人が眠っていることを知りなさい」
第七章 書くときには、注意も配慮も忘れて、ライオンになれ! 海賊になれ!
第八章 どうしたら掲載拒絶通知にもへこたれずにいられるか
第九章 人々は人間のエゴと神のエゴを混同している
第十章 家事ばかりしている女性は、書くために手を抜くべきだ
第一一章 微細な真実
第一二章 芸術は伝染病である
第一三章 第三次元
第一四章 だらしない、向こう見ずな、衝動的な、誠実な日記をつけなさい
第一五章 あなたは自分の中に何があるか知らない ──思考という尽きせぬ泉
第一六章 想像力を使う
第一七章 「怒り狂った虎は学のある馬より賢明である」
第一八章 「顔から光を放射せぬ者は星にはなれない」
訳者あとがき

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