2013年12月25日

『ヤバい予測学』 エリック・シーゲル・著  vol.3445

【ヤバい予測学?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484131250

本日の一冊は、元コロンビア大学教授で、予測分析の第一人者として知られるエリック・シーゲル氏による一冊。

人々の行動に関するデータが膨大に集まる昨今、あらゆることが予測可能になってきているわけですが、本書ではその最先端と、予測に際してわれわれが気をつけるべきことを紹介しています。

一般の人々のツイートを解析し、投資判断を行うヘッジファンドの例や、予測の手法を改良することでクーポンの交換率を3.6倍に上げた英テスコの例、離職する確率を算出して対応しているヒューレット・パッカードの例など、興味深い事例がたくさん登場し、読ませてくれます。

データ分析が行き過ぎると、いわゆる「データマニア」に陥ってしまうことがありますが、本書で著者が指摘するように、<データをめぐる刺激的な事実とは、いかにたくさんあるかではなく、いかに急激に増えているか>です。

大事なことは、そのデータに意味や効果があるかどうかですが、本書では、消費者行動に関する「驚きの発見」と題して、意外な消費者行動の例を紹介しており、マーケティングに効果を発揮しそうです。

以下の理由、皆目検討がつかなかったという人は、ぜひチェックしてみてください。

「オムツを買ったらビールを買う」
→パパはビールを飲みたい

「バービー人形を買った客の60%が、3種類のチョコレートバーから1つを買う」
→子供は買い物について来る

「携帯電話の契約期間をオンラインで確認する人はキャリアを変更しやすい」
→キャリアの変更を考えている人は違約金を払わなくて済むように、無料で解約できる

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ウォール街は、需要による株価の変動を観察して株価を予測する。アルファジーニアスやダーウェント・キャピタルが運営するヘッジファンドは、一般の人々のツイートを解析したトレンドにもとづいて投資判断を行う

イギリス最大のスーパーマーケット・チェーンで、世界第3位の小売業者でもあるテスコは、どのクーポンが実際に使われるかを予測。13カ国に広がる店舗で年間1億枚以上を顧客に合わせて発行している。予測の手法を改良したところ、クーポンの交換率は3・6倍に上昇

給料が高い、昇給が多い、勤務評価が向上している従業員は、あまり辞めない傾向にある

国外の営業経験がある人は、9カ月以上勤務する確率が69%高くなる

意思決定に予測分析を利用する際は、予測のもととなる情報の範囲が、人間が得られる情報よりはるかに制限されていることを忘れてはならない

ビッグデータというものは存在しない。誰もが存在を知っているのに見えないふりをしているのではなく、最初から存在しないのだ。データをめぐる刺激的な事実とは、いかにたくさんあるかではなく、いかに急激に増えているかだ。データの量に関して、変わらないことが1つある。データはつねに、昨日より今日のほうが多いのだ

「最新性」は、個人が前回買い物をした、罪をおかした、医学的症状があらわれたときから何週間経過したかという数値で表す。それをもとに、その人が近いうちに同じことを繰り返す確率がわかるときもある。広告の提示や犯罪捜査、臨床的評価など多くの分野では、いちばん最近その振る舞いをした人をまず対象とする

小売サイトは午後8時、出会い系サイトは夜遅く、金融関連は午後1時ごろ、旅行は午前10時を回った直後が最もにぎわう

不安指数はS&P500指数が下落するときに上昇する。「強い不安は市場に否定的な影響を与える」(ギルバートとカラハリオス)

アンサンブル効果:
アンサンブルに参加した予測モデルは互いの限界を補い、アンサンブルを構成する個々のモデルより、全体としてより正確な予測をする

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『ヤバい予測学』エリック・シーゲル・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4484131250

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◆目次◆

序章 予測効果──何のために人間の行動を予測するのか
第1章 予測分析の始動──株取引の予測システムに全財産をつぎ込んだら
第2章 プライバシーの攻防──小売企業も雇い主もあなたの秘密を推測している
第3章 データ効果──個人のブログから集団の感情を予測する
第4章 学習する機械──チェース・マンハッタンの住宅ローン予測の内幕
第5章 アンサンブル効果──おすすめ映画とクラウドソーシングと過熱する予測
第6章 人工知能の実現──IBMの「ワトソン」がクイズ王に挑戦する
第7章 数字による説得──マーケティングを革新するアップリフトモデリング

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