2013年12月8日

『「任せ方」の教科書』出口治明・著 vol.3428

【組織を大きくする正しい「任せ方」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041106176

本日の一冊は、ライフネット生命代表取締役会長兼CEO、出口治明さんによる「任せ方」のマニュアル書。

ライフネット生命といえば、現社長の岩瀬大輔さんの印象が強く、どちらかと言えば出口さんの印象は弱いのですが、土井は、この印象の弱さこそが、出口さんのすごさであると踏んでいました。

そして、読んでみて期待以上だったのが、この『「任せ方」の教科書』。

ここまで権限移譲のルールが明確に示された本は珍しく、じつに参考になりました。

まず、前提として述べているのは、人間はみな「ちょぼちょぼ」であるということ。

「ちょぼちょぼ」とは、関西弁で「みんないっしょ」のことですが、要するに、「人間の能力は、それほど高くはない」「人間には、とくに賢い人も、とくにアホな人もいない。ちょぼちょぼである」ということです。

では、その前提に基づいて組織を大きくしようとすると、どうなるか。

著者は、かつて地上最強だったモンゴル軍の組織図を例に、こう説明しています。

<1万人隊長は、「10人の1000人隊長」を部下に持ち、部隊の指揮を任せます。1000人隊長は、「10人の100人隊長」を部下に持ち、部隊を任せる。100人隊長は、「10人の10人隊長」を部下に持ち、部隊を任せる。そして、10人隊長は、「10人の兵士」を部下に持つ……。つまり、どの隊長も、管理している部下の数は「10人」です>

つまり、10人をマネジメントできれば、1万人の組織もマネジメントできる、ということなのです。

ただし、この「10人」をマネジメントしようと思えば、いわゆる「マイクロマネジメント」では不可能。

そこで権限移譲が必要となるのですが、著者は権限移譲について、こんなルールを説明しています。

<権限を与え、仕事を任せたあとの大事なルールがあります。それは、ひとたび権限を委譲したら、その権限は「部下の固有のもの」であり、上司といえども口を挟むことはできないというものです。「100万円以上500万円未満なら、部長が決める」「100万円未満なら、課長が決める」というルールを設けたとします。この場合、「100万円未満の決定権」は課長の固有のものです。職責上位の部長でも、課長の権限を脅かすことはできません>

これだけでも十分参考になりますが、本書には他にも、「任せ方のパターン例」「的確な指示を出すための4条件」など、さまざまなノウハウが載っています。

◆任せ方のパターン例
パターン1 「権限の範囲内で、好きなようにやらせる」
パターン2 「仕事の一部分・パーツを任せる」
パターン3 「上司の仕事を代行させる」

◆的確な指示を出すための4条件
1.「期限」を示す
2.「優先順位」を示す
3.「目的・背景」を示す
4.「レベル」を示す

目からうろこがポロポロ落ちる内容で、本当に参考になりました。

これはぜひ、おすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私は「人間ちょぼちょぼ主義者」です。要するに、「人間の能力は、それほど高くはない」「人間には、とくに賢い人も、とくにアホな人もいない。ちょぼちょぼである」と考えています

多くの部下を持つなら、「部下の仕事を一つひとつ丁寧に見よう」という考え方は捨てるべきです。部下に権限を与えて、仕事を任せるしかありません

1万人隊長は、「10人の1000人隊長」を部下に持ち、部隊の指揮を任せます。1000人隊長は、「10人の100人隊長」を部下に持ち、部隊を任せる。100人隊長は、「10人の10人隊長」を部下に持ち、部隊を任せる。そして、10人隊長は、「10人の兵士」を部下に持つ……。つまり、どの隊長も、管理している部下の数は「10人」です

権限を与え、仕事を任せたあとの大事なルールがあります。それは、ひとたび権限を委譲したら、その権限は「部下の固有のもの」であり、上司といえども口を挟むことはできないというものです。「100万円以上500万円未満なら、部長が決める」「100万円未満なら、課長が決める」というルールを設けたとします。この場合、「100万円未満の決定権」は課長の固有のものです。職責上位の部長でも、課長の権限を脅かすことはできません

◆任せ方のパターン例
パターン1 「権限の範囲内で、好きなようにやらせる」
パターン2 「仕事の一部分・パーツを任せる」
パターン3 「上司の仕事を代行させる」

報告・連絡・相談は「上司が部下に行う」もの

◆的確な指示を出すための4条件
1.「期限」を示す
2.「優先順位」を示す
3.「目的・背景」を示す
4.「レベル」を示す

部下のほうが、仕事の範囲が狭いからこそ、“深い”

まずは、60点未満の不合格をなくす。そして、全員が60点を取れるようになったら、今度は「全員で65点を目指す」のが正しい成長のあり方

◆部下を動かす3つの方法
1.上司を好きにさせる
2.圧倒的な能力の違いを見せる
3.必死に働いている姿を見せる

人は「小さい丸より大きい三角形」であるべきです(中略)「丸くしないで、尖ったまま人を使う」からこそ、組織は強くなるのです(中略)組み合わせたとき、隙間ができてしまうのなら、「小さな石」を入れて、埋めたり、つないだりすればいい。その「小さな石」こそ、上司(マネージャー)の役割です

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『「任せ方」の教科書』出口治明・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041106176

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◆目次◆

1章 上司になったら「任せるしくみ」をつくりなさい
2章 デキるリーダーは常に「いい任せ方」をしている
3章 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない
4章 この上司力で「チームの実力」を一気に上げる
5章 「時間を殖やす」「成果を殖やす」人材マネジメント

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