2013年10月25日

『売る力 心をつかむ仕事術』鈴木敏文・著 vol.3384‏

【海辺のコンビニで梅おにぎりが売れるわけ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166609394

本日の一冊は、プライベートブランドが絶好調のセブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO、鈴木敏文さんによる注目の一冊。

一時は成長の踊り場にあったコンビニが、ここに来てまた成長軌道に乗っている。

その陰には、知られざる企業努力、そしてトップの未来を読む確かな目があったわけですが、本書では、この両面に光を当てています。

どうすれば、顧客の心を知り、「売る力」を身につけられるのか。本書は、この商売人の永遠の課題に、こう答えています。

<「売る力」とは、お客様から見て「買ってよかった」と思ってもらえる力である>

では、「買ってよかった」と思ってもらうには、どうしたら良いのでしょうか。

本書には、そのヒントがたくさん書かれています。

本書が秀逸なのは、変わりゆく顧客ニーズをロジカルに説明し、そのニーズをつかんで成功した商品・サービスを具体的に紹介していること。

モノあまりの時代の消費者ニーズを端的に表現した、以下のパートを見ていただきましょう。

<わたしはよくこんなたとえ話をします。テーブルにいろいろな料理が並んでいる。お腹が空いているときは、全部食べられるから、あまり好きではないものから食べ始めて、最後に好物をとっておこうと考えることもできる。これに対し、お腹がいっぱいのときは、好きなもの、そして、目新しいものを選んで食べようとする。いまはモノあまりで、お客様はお腹がいっぱいの状態にある。だから、新しい価値を提供できるものしか売れない>

この「新しい価値」を追求したのが「セブンプレミアム」ということなのでしょうが、これが見事に当たっています。

著者は、新しい商品・サービスを生み出すフレームワークとして、「上質」と「手軽」の2軸を考えるそうで、これがなかなか使える思考法です。

賢明な読者は、この思考法が「セブンカフェ」を生み出したことに、ピンとくるのではないでしょうか。(「セブンカフェ」は手軽で上質)

ほかにも、消費の動向、売るためのヒントがたくさん書かれており、興味深い。

<海辺の店でなぜ、梅おにぎりが大量に売れるのか?>のくだりは、顧客ニーズを掴むことの奥深さを感じさせる、良いエピソードでした。

<昼には、かなり気温が上がりそうだから、釣り客の心理からすると、時間が経っても傷みにくいイメージのものを求めるはずだ。「それなら梅のおにぎりが売れるのではないか」>

新書の割に読み応えがあり、このノウハウびっしりの内容で770円は安すぎる。

今すぐ買って、読んで欲しい一冊です。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————
「売る力」とは、お客様から見て「買ってよかった」と思ってもらえる力である。だから、売り手は常にお客様の求めるものをかなえる「顧客代理人」でなければならない

わたしはよくこんなたとえ話をします。テーブルにいろいろな料理が並んでいる。お腹が空いているときは、全部食べられるから、あまり好きではないものから食べ始めて、最後に好物をとっておこうと考えることもできる。これに対し、お腹がいっぱいのときは、好きなもの、そして、目新しいものを選んで食べようとする。いまはモノあまりで、お客様はお腹がいっぱいの状態にある。だから、新しい価値を提供できるものしか売れない

秋元さんはことあるごとに、こういういい方をされるそうです。
「ひまわりがブームになっているときには、たんぽぽの種をまこう」

ヨーロッパでは、冬にはココアに少量のバターを入れる飲み方があり、よりコクが増しておいしくなるそうです。しかし、日本ではほとんど知られていません。そこで、「秋から冬の夜長には、ひとかけらのバターを入れた温かいココアを片手に文庫本を読もう」といった提案をしたら、いままでにない組み合わせを多くの人が新鮮に感じるのではないか

セブン-イレブンは二〇〇九年秋から、「今の時代に求められる『近くて便利』」という新しいコンセプトを掲げて、品揃えの大幅な見直しに着手しました。惣菜メニューの種類を増やし、ポテトサラダや肉じゃがなど、上質で手ごろな価格の少量パックのセブンプレミアム・シリーズを順次開発し投入していきました。食事の手間や煩わしさへの解決策を提供する「ミールソリューション」の商品群を本格的に投入し、コンビニのあり方を大きく転換したのです

「上質」と「手軽」の「空白地帯」にヒットあり

消費が、単にモノそのものを買うのではなく、イベント性をもつようになった

「買い手に対して『最後の一押し』をすることが大切」(辰巳渚)

釣り客の心理からすると、時間が経っても傷みにくいイメージのものを求めるはずだ。「それなら梅のおにぎりが売れるのではないか」

「楽しいもの、夢のあるものを売るという自分たちが決めた枠を守り、生活感が強いものは売らないと決めています。たとえば、便座カバーなどは、売り場に置けば必ず売れるとわかっていますが、けっして売りません」(バルス高島氏)

————————————————

『売る力 心をつかむ仕事術』鈴木敏文・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4166609394

————————————————-

◆目次◆

第1章 「新しいもの」は、どう生み出すのか?
第2章 「答え」は「お客様」と「自分」のなかにある
第3章 「ものを売る」とは「理解する」こと
第4章 「本気」の人にチャンスはやってくる

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー