2013年9月28日

『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』岩崎邦彦・著 vol.3357

【小さなトマトがブランドになる方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319056

SNSで誰もが無料で情報発信できる時代、中小・零細企業にとっては、直接消費者とつながる、大きなチャンスが到来しています。

このチャンスをモノにするためには、消費者が「つながりたい」企業になることが重要。そう、今ほど中小企業にブランド作りが求められている時代もありません。

セブン&アイ・ホールディングスやイオン、ドン・キホーテなどの巨大小売企業がプライベートブランドに取り組む今、中小企業は、赤城乳業の「ガリガリ君」のような強力なブランドを持たないと、大手小売に対抗できません。

そこで本日ご紹介する一冊は、中小企業のブランド作りの基本を説いた、『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』。

静岡県立大学経営情報学部教授で、マーケティングを専門とする岩崎邦彦さんが、全国の消費者1000人、東京都の消費者1000人、全国の中小企業の経営者1000人の調査データをもとに、これからの企業ブランド作りの要諦を説いています。

本書のなかに、京都で実施された和牛の品評会の話が出てくるのですが、この話がブランドの重要性を伝えるのに適しているので、紹介します。

著者によると、この品評会で最優秀賞を受賞したのは「静岡和牛」。でも、セリの価格では松阪牛に勝てなかったのです。

このエピソードの教訓は、<最高品質は、必ずしも最高価格を意味しない>ということ。

価格プレミアムを手にするのはいつの時代も「ブランド」であり、本書にはそのブランド構築のためのヒントが書かれているのです。

なかでも参考になったのは、本書の中盤に書かれている、特定カテゴリーでトップになる方法。

◆特定カテゴリーでトップになる方法
1.小さなマーケットにポジショニングする
2.カテゴリーを切り取る
3.カテゴリーの一部を反転させる
4.特定カテゴリーの高級化市場に特化する
5.特定エリアにフォーカスする
6.特定グループにフォーカスする

いろんな本で言われていることではありますが、こうしてまとめていただくと、頭が整理されて良いと思いました。

自社のブランド作りに挑む方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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強いブランドには、品質を超えた「とんがり」がある

86.1%が、「ベンツ」と「金持ちの社長」を結びつけた
76.2%が、「BMW」と「スポーティーなセレブ」を結びつけた
80.8%が、「ハーレーダビッドソン」と「ちょいワル紳士」を結びつけた
(全国の消費者1000人への調査)

◆強いブランドをつくるために決定的に重要な2要因
1.明確なコンセプトがあり、消費者の心の中に明快なイメージが形成されている
2.売り手のセンスやデザイン力などによって、消費者の感性に訴えている

ブランド・アイデンティティを設定するときに、欠かせない三つの条件がある。それは、「価値性」「独自性」そして「共感性」の3要素だ

「トマトの購入に、一回あたり、いくらまで払えますか?」
消費者1000人の回答の平均値は「335円」である。次に、こう聞いてみた。「おいしさの感動に、一回あたり、いくらまで払えますか?」消費者の感動の平均値は「8939円」である

コトを提案すると、購買意欲が喚起され、財布のひもがゆるくなる

強いブランドは、芽が出にくい砂漠地帯に種をまく。すなわち、新規参入が困難なマーケットにポジショニングする

◆特定カテゴリーでトップになる方法
1.小さなマーケットにポジショニングする
2.カテゴリーを切り取る
3.カテゴリーの一部を反転させる
4.特定カテゴリーの高級化市場に特化する
5.特定エリアにフォーカスする
6.特定グループにフォーカスする

ブランドづくりの一番の近道は、一つのことに集中すること

「スターバックス」「あまおう」「アメーラ」は、すべて造語の固有名詞であり、独自性を持ち、個性がある。固有名詞ゆえ、検索結果に上位表示されるのは当該ブランドだけである

グローバル時代の今日は、日本人だけでなく、外国人にとっても発音しやすく、聞き取りやすいネーミングにすることが大切

体験が口コミを誘発する

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『小さな会社を強くするブランドづくりの教科書』岩崎邦彦・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319056

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◆目次◆

プロローグ モノづくりに勝ち、ブランドづくりに負けた?
PART1 モノづくりから、ブランドづくりへのシフト
CHAPTER1 ブランドづくりのベクトルを統一しよう
CHAPTER2 ブランドの力
CHAPTER3 強いブランドの条件
PART2 どうすれば強いブランドをつくれるのか
CHAPTER4 ブランドづくりのファースト・ステップ
CHAPTER5 強いブランドは、感情に訴える
CHAPTER6 なぜ、二番手ではダメなのか?
CHAPTER7 ブランドづくりは、ひき算である
CHAPTER8 強いブランドの強力な土台
CHAPTER9 目にみえないブランド価値を形にする
CHAPTER10 良い名前、悪い名前
CHAPTER11 誰のためのブランドか?
CHAPTER12 広告に頼らないブランドづくり
CHAPTER13 強いブランドの価格戦略
CHAPTER14 強いブランドには、ハーモニーがある
CHAPTER15 ブランドづくりにゴールはない
あとがき
主要参考文献

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