2013年7月20日

『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』 下園壮太・著 Vol.3287

【プチリタイヤが続かない理由】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022734906

約10年前、ちょっとした「プチリタイア」ブームがありました。

引退し、悠々自適の生活を送っているはずの富裕層が、なぜ作家や講演家として、一所懸命働いているのか? 不思議に思っていましたが、今日読んだ一冊でやっと疑問が解消されました。

『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』によると、その理由はこうです。

<我々の研究では、1カ月休むと、ほとんどの人が疲労感を解消できる。逆に1カ月以上の休暇になると、むしろ仕事をしていないことで、そわそわしたり、不安になったりすることが明らかになっている>

本書によると、休暇は多くても少なくても、問題につながる。

では、われわれはどう休めばいいのか。経営者・リーダーは部下をどう戦略的に休ませればいいのか。

そんな視点を提供してくれるのが、この『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』です。

著者は、陸上自衛隊初の心理幹部として、多くの隊員のカウンセリングに携わった人物。

現在は、陸上自衛隊衛生学校のコンバットストレス教官として、衛生科隊員(医師・看護師など)に対するコンバットストレス、メンタルヘルス、カウンセリングなどの指導をしています。

ムリの3段階、ライフイベントのストレス表(配偶者の死、離婚、借金など、内容によって点数が決まっている)、感情疲労がもたらす悪影響などの基礎知識を紹介しており、われわれが疲れを溜めてしまうメカニズムがよくわかる内容です。

また、自衛隊が用いる「業務予定表」(休みを組み込む)や、軍隊における「予備」の考え方など(3分の1から4分の1の予備を用意する)、チームを疲弊させないための考え方も紹介されており、リーダーの心得としても役立ちます。

いつでも安定したパフォーマンスを発揮するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆ムリは3段階で進行する
第1段階=普通の過労段階
第2段階=別人化の始まり
第3段階=別人化

◆生きるために必要な「三つの自信」
1.できるという自信
2.自分の体や頭脳の機能に対する自信
3.周囲に受け入れられるという自信

チンギスハンは、逆に「人並みの体力である事」を重視して、指揮官を選んだという

「喜び」さえ、それほど長くは続けられない。エネルギーを使っていることに変わりはないからだ。喜びは、もともと周囲に安全や食料、水などの存在を知らせる感情で、笑いと大声が特徴

理想的な怒り方をしているモデルを探す

自信が低下している人は、他人を避け社会から遠のいてしまいがちだ。あるいは、自信が揺らいでいるのを隠すため、他人を攻撃することもある。それがまた、周囲との関係を悪化させる

疲労の主な原因は、情報過多だ。インターネットやスマートフォンのおかげで、情報があふれている。情報があるのはいいことだが、多すぎると、その情報処理にまたエネルギーを使い、情報に喚起された(ムダな)感情で、またエネルギーを消耗する。だから、現代人は疲れているのだ

業務予定表は、疲労を無視せずに、あらかじめ疲労回復を織り込んだスケジュールを組める。そしてそれを、修正しながら使うことで、休憩の取り損ねを防止できる

戦闘とは、先の読めないもの。だから、人も時間も、機材や物資にも、余裕を持った計画を立てなければならない。ただ、大きすぎる予備は、「ムダ」につながる。どれぐらいが適当なのだろう。軍隊では、3分の1から4分の1が予備、と相場が決まっている。例えば、4個中隊を指揮する大隊長は、3個中隊を並べて防御し、1個中隊は、不測事態への対処として「予備」という任務を与える

我々の研究では、1カ月休むと、ほとんどの人が疲労感を解消できる。逆に1カ月以上の休暇になると、むしろ仕事をしていないことで、そわそわしたり、不安になったりすることが明らかになっている

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『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』下園壮太・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022734906

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◆目次◆

1章 ムリしすぎて潰れないために
   ──早め、早めに疲労をとる技術
2章 感情のムダ遣いを防ぐ
   ──イライラや不安をとる技術
3章 ムラのある人から脱却する
   ──心の振れ幅を小さくする技術

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