2013年6月1日

『COMING UP ROSES キャス・キッドソンのつくり方』 キャス・キッドソン、スー・チドラー・著  Vol.3238

【これは掘り出し物。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756243878

本日の一冊は、世界的に有名なカルト的ファッションブランドであり、日本ではムックが100万部以上売れた「キャス・キッドソン」の創業者、キャス・キッドソン本人による初の自伝。

同社のモチーフであるバラをあしらった可愛らしい表紙からは想像もつきませんが、じつはこの本、かなり本格的なビジネス書なのです。

内容は、創業者キャス・キッドソンの生い立ちと、「モダンヴィンテージ」のアイデアが生まれた背景、事業拡大の軌跡などを描いた起業ストーリー。

見た目は、キャス・キッドソンのカラフルな商品をビジュアル要素に盛り込み、徹底的に作り込まれたファンブックですが、本文は、資金繰りや収支に関する話、人材選びの話、商品開発やマーケティングの勘所を書いた、まさに「起業の教科書」です。

いち女性のキャリアを追った本としても読み応えがあり、読者のキャリア開発のヒントにもなるでしょう。

これほどまでに個性的な商品、会社を生む創業者ですから、幼少期の環境、教育も半端じゃありません。

著者は、少女時代、母に向かって「暇だ」と訴え、このように一蹴された経験があるそうです。

<退屈な人間が人生を退屈にするのよ!>

この母親、最近の日本の母親とはまったく異なり、女の子を教養ある「才女」にするのは得策ではないという考えの持ち主。

当のキャス・キッドソンも、進学に関しては、このように考えていたそうです。

<少しも興味のない学位のために勉強して、3年も4年も無駄にしたくないという気持ちは固まっていました>

19歳で父を亡くした後、ロンドンで最も有名なインテリアデザイナーの一人、ニッキー・ハスラムに師事し、そこから彼女のキャリアが拓かれるわけですが、ここから先は、読んでからのお楽しみ。

創業から成長の痛みを味わい、復活するまでのストーリーも読み応えがあり、思わず読みふけってしまいました。

商品開発や店舗開発のヒントもたくさん詰まっており、これはファンブックの皮をかぶった正真正銘のビジネス書と断言します。

オビを表紙の中央で固定するなど、編集者のこだわりも感じられて、これで1900円は安い。

ぜひ買って読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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母に向かって暇だ、と訴えると「退屈な人間が人生を退屈にするのよ!」と一蹴された

母は、何軒かの店で働いてから結婚したので、私も同じようにすると思っていたのではないでしょうか。女の子が教養のある「才女」になるのは明らかに得策ではないという考えで、大学に行くなんて当然認めていませんでした

ほかの方法がわからなかったので、尊敬するインテリアデザイナーのリストをつくって、1年かけて彼らに連絡をとり、インタビューを行い、人脈づくりに励みながらこの仕事でキャリアを積むチャンスを探しました

ショナと私は、お互いに自分たちで何かしたいと思っていて、市場にすき間があると考えました。あの頃カーテンは、部屋の中でもメインの存在で、装飾的であればあるほどいいとされていました。そこで、カーテン関連の商品だけを扱う店を思いついたのです。当時、こういった専門店はそれほど多くはありませんでした

古いものと新しいものの組み合わせは、必ず人々の共感を得るはずだと考えていました

私と同じように、リフォームして生まれ変わったヴィンテージ品を求めている人が、ほかにもいるのではないかと思ったのです。自分でこういったものを見つけたり、リメイクしたりする時間やスキルのない人たちがきっといるはずだ、と

私はお金に関してはいつも、「支出より収入を多く」というきわめてシンプルな哲学を持っていました

成功は、優れた計画の結果だとは限りません。ローズギンガムのシリーズがそうだったように、必要性から生まれることもあります

ちょうどお店の隣が郵便局だったので、児童手当を受けとったり、小包か何かを出したりするついでに立ち寄ってくれた

毎日の生活に欠かせない、アイロン台カバーやティータオル(キッチン用のふきん)などの便利なアイテムは、つまらないものである必要はない、というのが私の哲学でした

それぞれの職に適した人たちに囲まれていると、仕事は喜びになります
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『COMING UP ROSES キャス・キッドソンのつくり方』
キャス・キッドソン、スー・チドラー・著 
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756243878

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◆目次◆

A NOTE FROM CATH キャスからのメッセージ
CROWING UP 少女時代
OFF TO WORK 巣立ちのとき
THE EUREKA MOMENT コンセプト誕生
GETTING STARTED 創業者としての出発
THE EARLY YEARS 問題だらけの開店初期
ALL OR NOTHING 勝負のとき
BRAND BUILDING ブランド構築
IDEAS & INSPIRATION アイデアとインスピレーションの源泉
BRANCHING OUT ビジネスの枝葉を伸ばすには
TIME TO LET GO 「子離れ」のとき
GROWING PAINS 成長の痛み
BACK ON TRACK 再び成長軌道へ
HEADING EAST 熱狂のアジアに向かって
COMING OF AGE 新しい時代の到来
A ROSY FUTURE バラ色の未来へ

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