2013年3月31日

『経営は何をすべきか』ゲイリー・ハメル・著 Vol.3176

【ゲイリー・ハメル最新刊!】
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本日の一冊は、『コア・コンピタンス経営』で一世を風靡し、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が選ぶ、「世界の経営思想家」でNo.1にも輝いたゲイリー・ハメルが放つ最新刊。

※参考:『コア・コンピタンス経営』
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※原書:『What Matters Now』
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冒頭60ページを割いて行われるサブプライムローン問題への反省、経営者の愚行への批判、「だからイノベーションが大事」論は、正直「いまさら」感が拭えないのですが、具体例が入った2.2世界でひときわ偉大な革新的企業からは、じつに読み応えのある論考となっています。

革新的企業を、「ロケット」「ベテラン」「アーティスト」「サイボーグ」「改宗者」の5つに分類した部分や、組織をイノベーティブにする方法、各業界に起こっている本質的変化、自社を時代遅れにしないための方法論、上司に管理させない新しい組織作りの要諦などは、じつに参考になりました。

主に管理職向けの内容ですが、個人のキャリア形成にも参考になる部分が多数あります。

なかでも、著者が提唱する「能力のピラミッド」の話は、興味深く読めると思います。

本書の208ページで著者は、「専門性」<「主体性」<「創造性」<「情熱」の順に構成された「能力のピラミッド」という概念を紹介していますが、これは、これからの人材のレベルを測る物差しとして、じつに興味深い概念だと思います。

本書を読むと、なぜ日本に優れた技術者が多いのに、イノベーティブな商品が出てこないのか、その理由がよくわかります。

組織改革のヒントとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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インテルは、隣接市場への進出に苦労している。インテルの半導体はサーバーとパソコン向けの市場を支配しているが、何年にも及ぶ努力にもかかわらず、スマートフォンやタブレット向けでは足場を築けずにいる。超高性能プロセッサーの設計に必要な技能は、さほど性能が求められないプロセッサーを設計する技術とは別物だということだ

サムスンは、二〇一〇年にアメリカで四五五一件の特許を取得したが、同じアメリカで液晶テレビのナンバーワン・ブランドかというと、そうではない。その栄誉はビジオという会社のものである。二〇〇二年設立のビジオは、社員数が二〇〇人にも満たないが、二五億ドル超の売上を叩き出している

◆デザイン思考3つの柱(IDEOティム・ブラウンCEO)
観察、試行錯誤、試作品づくり

◆イノベーション巧者が注意を払う4つの事柄
・当然視されてきた常識
・軽視されたトレンド
・十分に活かされていない能力や資産
・明確になっていないニーズ

・航空業界では、ジェットブルーやヴァージン・アメリカのような狭い分野に特化した競合の前に、大手が苦戦を強いられている
・医薬品業界では、手当たりしだいの新薬開発から、特定の疾病向けの遺伝子工学を活かした製薬へと、重点が移ってきている
・自動車業界では、長らく主流だった燃焼機関を、プラグイン・ハイブリット車や電気自動車が脅かしている
・ソフトウェア業界では、製品としてのソフトウェアからサービスとしてのソフトウェアへの流れが見受けられる

ビジネスにも、音楽、ファッション、アートと同じことが当てはまる。未来は中心ではなく周縁部から生まれるのだ

逆説的ではあるが、柔軟性という優位性を手に入れるには往々にして、いくつかの重要な変数を固定することが求められる。GBL(グローバル・ボディ・ライン)が多様な車種を扱えるのは、ひとつには、すべての車種が共通の寸法基準をもとに設計されていて、組み立てラインの作業ロボットが異なる車種を次々と淀みなく扱えるからである。トヨタの究極の目標は、世界のあらゆる場所、あらゆる生産ラインで、あらゆる車種をつくれるようにすることだ。これこそが柔軟性である

◆「能力のピラミッド」
「専門性」<「主体性」<「創造性」<「情熱」

非効率の一部は損益計算書(P/L)に表れるが、最も大きな弊害を及ぼすおそれがあるのは、P/L上では見えない意思決定の遅れ、隠れたバイアス、権限の抱え込みである

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『経営は何をすべきか』ゲイリー・ハメル・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

第I部 いま理念が重要である
第II部 いまイノベーションが重要である
第III部 いま適応力が重要である
第IV部 いま情熱が重要である
第V部 いまイデオロギーが重要である

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