2013年3月30日

『同時通訳者の頭の中』関谷英里子・著 Vol.3175

【同時通訳の秘密メソッド。英語を伸ばす「ふたつの力」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396614489

本日の一冊は、ベストセラー『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』の著者であり、NHKラジオ講座「入門ビジネス英語」の講師も務める関谷英里子さんが、英語学習に活かせる同時通訳者の学習メソッドを公開した一冊。

※参考:『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887597819

著者は同時通訳者として、これまでにアル・ゴア元米副大統領や、フェイスブックCEOのマーク・ザッカ─バーグ、ダライ・ラマ14世、マインドマップ提唱者のトニー・ブザンなど、数多くの著名人の通訳を務めてきており、その言葉の理解力、表現力の秘訣には興味を持っていました。

今回の本は、その好奇心にズバリ応える内容となっており、英語学習に新たな視点が加わる内容となっています。

本書が新しいのは、同時通訳に必要な能力は「イメージ力」と「レスポンス力」であると断言した点。

ネイティブスピーカーの英語を聞いて、高速で意味を処理し、日本語に変換するには、言語から言語では到底間に合わない。

そこで、同時通訳者は、いったん言語をイメージとして受け取り、そのイメージを日本語に訳すという処理をしているのだそうです。

本書では、このイメージ力のアップに役立つ勉強法と、レスポンス力のアップに役立つ勉強法を提案し、通訳が採用している「シャドーイング」「リテンション」「パラフレーズ」、著者おすすめの「ディクテーション」などの学習法も説明しています。

ビジネスパーソンにとって興味深いのは、ビジネスの現場で著者が学んだ、実践ビジネス英語の実例が示されている点。

<commitの本質は「身を投じる」というニュアンス>
<日本語でいうところの「次の問題、あるいは次の課題」と言いたいときにはissueやtopicという言葉を使えばいい>
<This requires immediate action.>
※軍事、国防で使われる言い回しだから緊張感を伝えられる

ビジネスの現場でよく使われるoperateという単語には、こんな活用法の紹介がありました。

<たとえばoperate「運営する」という単語を、会議で使いたいとします。連語辞典を引くと、operateを修飾する副詞には、effectively(効果的に)、efficiently(効率的に)、reliably(確実に)、continuously(継続的に)などと出てきます>

このように本書では、教科書英語では学べない、ビジネス表現がいくつも紹介されており、じつに参考になります。

著者が使っている辞書や参考書、ウェブサイトなどの情報も載っており、なかでも業界表現を学ぶのに有用な、おすすめ企業サイトの情報が目を引きました。

これまでに出された著者の本のなかでは、一番の出来であり、じつに参考になります。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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・「イメージ力」を使って話者のことばの本質をつかまえる
・すべての内容は訳すが、すべてのことばを訳すわけではない

commitの本質は「身を投じる」というニュアンス

必要なスコアを取ったらTOEICは卒業する

日本語でいうところの「次の問題、あるいは次の課題」と言いたいときにはissueやtopicという言葉を使えばいい

◆同時通訳の代表的な訓練法
「シャドーイング」「リテンション」「パラフレーズ」

ビジネスパーソンは1000以上の数字はすらすら言えるように

たとえばoperate「運営する」という単語を、会議で使いたいとします。連語辞典を引くと、operateを修飾する副詞には、effectively(効果的に)、efficiently(効率的に)、reliably(確実に)、continuously(継続的に)などと出てきます

実際に仕事をしていて、緊急時に、
This requires immediate action.
と言った人がいました。周りは瞬時にピリッとした雰囲気になり、私も緊張したのを覚えています。あとでimmediate actionを検索窓に入れてみたら、政治や軍事関連のサイトが上位にずらりと並びました。軍事、国防で使われる言い回しだから、あのとき周りが一瞬でピリピリした雰囲気になったのだ、と合点がいきました

This actually proved to be effective.
これは実際に効果的でした。
という場合には、actuallyとeffectiveを強調して言う

英語圏、特にアメリカにおいては「丁寧」は知らない相手に対して使う表現です(中略)英語でも立場が上の人に向けて丁寧表現は使われますが、日本語のそれとは使う場面が違うのです。普段から顔を合わせている上司ならあいさつもHi,Mike!とファーストネームが普通

It’s not about HOW anymore.
It’s about HOW MUCH you use the language.
これは、私が講演などで必ずお伝えすることです。
もう、HOW=英語を身につける方法論は十分に知りました。
これからはHOW MUCH=どれだけ英語を使うか、が重要なのです

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『同時通訳者の頭の中』関谷英里子・著 祥伝社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396614489

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◆目次◆

1章 同時通訳者の頭の中
2章 まず押さえておきたい英語学習の3ステップ
3章 同時通訳者が実践! 英語のプロの勉強法
4章 同時通訳者は道具を使い倒す
5章 英語はコミュニケーションのツール

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