2013年3月17日

『人生ゲーム 人生は1マス5年で考えよう』佐藤安太・著 Vol.3162

【タカラ創業者が語るヒットの法則】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/483994444X

本日の一冊は、ダッコちゃん、リカちゃん、人生ゲーム、ミクロマン、チョロQ、トランスフォーマーなど、数多くのヒット商品を世に出した「おもちゃの王様」、タカラ創業者の佐藤安太さんによる注目のビジネス書。

半分が人生訓、残り半分がヒット商品開発の秘訣といった内容ですが、なかでも商品開発に関する洞察が興味深い。

リカちゃんがヒットする前、日本の玩具業界では、「パッと売ってパッと消える。翌年は違うものが売れている」のが常識だったそうですが、氏はその常識を以下の発想で打ち破りました。

『男はつらいよ』で寅さん人気の秘密を研究。飽きられない理由がマドンナの存在にあると知る

主人公であるリカちゃんは変えず、それ以外の登場人物(=マドンナ)を登場させる

友だちいづみちゃん、ボーイフレンドわたるくん、リカちゃんママの登場

また、ミクロマンに関しては、悪役アクロイヤーの造形を工夫。こちらも当時としては斬新な発想で、ヒットにつなげます。

<正義の味方は、子どもたちが自分自身を投影して遊びます。ですから、あまり突飛な造形にすることはできません。どうしても好青年の雰囲気の造形になってしまいます。これは裏を返せば、特徴が出しづらいということでもあります。そこで、悪役の造形を思い切ったものにすることで、正義の味方であるミクロマンを引き立てようと考えたのです>

売り方に関しても、興味深い事例が出てきます。大ヒット商品チョロQが、なぜ社会現象にまで成長したか、そこには、和歌山の模型屋の小さな成功事例がありました。

<その模型屋では独自にチョロQの「改造コンテスト」のようなことをやっていたのです(中略)改造したチョロQを展示していたので、「改造チョロQ」を楽しむ人のメッカとなっていて、遠方からもお客がくるような状態でした。それで、突出してチョロQの売上が大きかったのです>

本書を読めば、人を熱狂させる商品とは何か、どうすればそれを広めることができるのか、さらにはビジネスをしている自分自身、熱狂できる人生を歩むにはどうすればいいか、そのヒントが見えてきます。

最初から高邁な理想、高い目標を掲げるよりも、5年ごとの短期目標を積み上げて最終目標を見つける、「1マス5年の人生ゲーム」を楽しむ。

生きるヒントがたくさん見つかる一冊でした。
みなさん、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人生は人生ゲームなのです。1マス5年で、自分を成長させていく人生ゲームです

主人公であるリカちゃんは、どうやっても変えることができない。むしろ変えない方がいい。でも、リカちゃん以外の登場人物=マドンナを登場させることで、リカちゃんの別の面が見えてくる。そうすれば、また別の遊び方ができ、飽きずに遊び続けられると思ったのです

だれでも若いうちは常識に挑戦しなければ、成長は望めません

正義の味方は、子どもたちが自分自身を投影して遊びます。ですから、あまり突飛な造形にすることはできません。どうしても好青年の雰囲気の造形になってしまいます。これは裏を返せば、特徴が出しづらいということでもあります。そこで、悪役の造形を思い切ったものにすることで、正義の味方であるミクロマンを引き立てようと考えたのです

玩具会社の場合、玩具市場のあらゆる分野に主力製品があり、社内には複数の開発チームがあり、互いに競うようにして、常に良質の製品を生み出していく。そういう体制を整えてこそ、「倒産しない会社」になるのです

タカラのミニカーは、リアルなものではありません。前後が詰まった極端にデフォルメされたデザインになっているのです。ところが、詰められているのは窓の部分で、特にフロントの部分はなかなかリアルで、自動車の顔にあたるフロントグリルの部分は極めて精巧に作られているのです

その模型屋では独自にチョロQの「改造コンテスト」のようなことをやっていたのです(中略)改造したチョロQを展示していたので、「改造チョロQ」を楽しむ人のメッカとなっていて、遠方からもお客がくるような状態でした。それで、突出してチョロQの売上が大きかったのです

グローバル商品を作るには、最初からグローバル商品を開発しなければならない

私が考えていたのは、タカラかハズブロかという小さな闘いではありません。タカラとハズブロの連合軍が、世界市場を次々に押さえていく。そういう大きな闘いを考えていたのです

人生は仕事がすべてではありません。お金がすべてでもありません。成長し続け、究極の目標に向かっていくのが人生です

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『人生ゲーム 人生は1マス5年で考えよう』佐藤安太・著 マイナビ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/483994444X

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◆目次◆

はじめに
第1章─少年期 悲惨な戦争体験が、私の人生を決めた
[1マス目] まず、自身の欲求を知るところから始める
[2マス目] 自分の「席」は、自分で見つける
[3マス目] 自分の「強み」を活かせる生き方を探す
[4マス目] どんな悲惨な体験からも学べることはある
第2章─青年期 就職先を蹴飛ばしたことがタカラを起業するきっかけに
[5マス目] 失業したとしても、人間として成長できることの方が大切
[6マス目] 人生とは、自分を成長させる人生ゲームだ
[7マス目] 競争が会社を成長させ、人を成長させる
第3章─成人期 “ダッコちゃんの失敗”から“リカちゃんの成功”という“一度目の転機”
[8マス目] 成功も失敗も、分析をしなければ学ぶことはできない
[9マス目] 5年先の目標に向かって、自分を成長させていく
[10マス目] 「小さな失敗」から学び、「小さな成功」を育てる
第4章─壮年期 ミクロマン・チョロQ・トランスフォーマーで“おもちゃの王様”に
[11マス目] 成功体験は活用できてこそ意味がある
[12マス目] 仕事でもっとも大事なのは「PDCA」
[13マス目] グローバル商品は、最初からグローバル向けに開発されている
第5章─熟年期 “タカラ引退”という“二度目の転機”
[14マス目] 失敗が次の目標を与えてくれる
[15マス目] 成長し続けるには、時に別の環境が必要
第6章─完成期 “ものづくり”を“ひとづくり”に活かす「成功システム経営学」
[16マス目] 仕事も人生もPDCAの積み重ね
[17マス目] いくつになっても、知らないことは人に教えを請うべき
[18マス目] 成長に必要なのは「人間力」
おわりに
参考文献

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