2013年2月10日

『BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト』 斉藤徹・著 Vol.3127

【企業がすべき「5つのシフト」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318505

以前、ある飲食コンサルタントに成功の秘訣を尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

「マーケティングにコストをかけるのではなく、食材にコストをかけるんですよ。料理は食材が良ければ美味しいし、美味しいレストランはリピートされ、クチコミになります」

飲食店のセンターピン(ここを倒せば残りのピンが全部倒れる、成功要因のこと)は、やはり味だったのです。

では、小売業・サービス業のセンターピンとは何か?

それは当然「お客様」です。

いまや、メーカーもインターネットを通じて消費者と直接つながれる時代。

すべての業種において、センターピンは顧客と言って過言ではないかもしれません。

本日紹介する一冊は、主に小売業、サービス業を例に、ビジネスの「ソーシャルシフト」(企業と社員、顧客、社会がつながって、協業する形)を論じた一冊。

成功している飲食店が広告にお金を使わず、食材に充てるように、ソーシャルな企業は、やはり広告を使わず、顧客満足、社員満足、社会貢献に予算を使っています。

本書には、ザッポスやイケア、P&G、インドのITC、ライフネット生命、セムコなど、成功企業の事例がたくさん登場し、それぞれの企業がどんな「ソーシャル」な取り組みをしているか、詳細を説明しています。

350ページを超える分厚い本ですが、読みやすくかつ事例が興味深いので、あっという間に読み進めることができました。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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飾らない人間が好かれるように、オープンな企業は共感されやすい

トニー・シェイは自叙伝でこう語っている。「ザッポスの成長の一番の原動力となっているのがリピート顧客とクチコミです。広告にはほとんど費用をかけず、その費用をカスタマー・サービスと顧客体験に投資し、私たちに代わって顧客にクチコミでマーケティングを担ってもらおうというのが私たちの哲学なのです」

「第四の消費(2005~34)」は社会重視が消費の基礎

同社(イケア)は、業界慣例(3~4カ月の支払いサイトと3%の割引など)を覆し、10日以内という支払い条件を提示した。またサプライヤーがイケアの水準を満たす製品を生産するための投資や訓練も惜しまずに提供した

近江商人を研究した足立政雄博士は、彼らの経営特質を次のようにまとめている。第1に正直正路、第2に倹約、第3に陰徳、第4に中庸、第5に遠慮近憂、第6に地方貢献、そして第7に三方よしだ

現代は「低成長」「創造性」そして「透明性」の時代

◆ソーシャルシフト、5つのパラダイムシフト
理念「規律から自立へ」
組織「統制から透明へ」
事業「競争から共創へ」
価値「機能から情緒へ」
目標「利益から持続へ」

◆オムにチャネル・リテーリング
顧客接点となりうる、あらゆるチャネルに店舗を出店させ、同一した顧客体験を提供する

◆未来型組織6つの特徴
1.トラスト──相互信頼の醸成
2.コラボレーション──情報の共有
3.チーム──小さな自律的組織
4.ユニファイ──チームの全社調和
5.イノベーション──革新の誘発
6.フィードバック──貢献の評価

僕たちは、2つの異なる世界に住んでいる。その2つとは、市場規範が優勢な世界と、社会規範が優勢な世界だ

「自らの果たすべき貢献は何かという問いからスタートするとき、人は自由となる。責任をもつがゆえに、自由となる」(ドラッカー『明日を支配するもの』)

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『BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト』斉藤徹・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318505

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◆目次◆

第1部 世界が透明になり、ビジネスがシフトする
第1章 そして世界は透明になった
第2章 社会の幸せと生産性は比例する
第3章 つながりによる優位性を求めて
第2部 ソーシャルシフト、革新の3基軸
第4章 社員エンパワーメントの革新
第5章 顧客エンゲージメントの革新
第6章 パートナー・コラボレーションの革新
第7章 日本が誇る三方よしの経営
第3部 社員と顧客に愛される5つのシフト
第8章 インサイドアウト・イノベーション
第9章 透明の力が未来を創る
第10章 イン・ザ・ロング・ラン

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