2013年2月14日

『統計学が最強の学問である』西内啓・著 Vol.3131

【統計を学び、ファクトを正しく判断できる人になる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022216

本日の一冊は、優良コンテンツサイト「cakes」連載から書籍化された、初の一冊。

表紙に「データ社会を生きぬくための武器と教養」とあるように、あくまでビジネスマン向けに、「社会調査法」「疫学・生物統計学」「心理統計学」「データマイニング」「計量経済学」計6分野を横断的に解説しています。

個々の学問は、他の書籍で学ぶ必要がありますが、本書を読んで得られるのは、ビジネスマンがファクト(事実)を正しく把握するための注意点。

「企業の目的は、顧客の創造である」とドラッカーも述べているように、経営活動のキモは、顧客にとっての価値を創造できているかどうかです。

だからこそ経営者はデータをチェックして、自社の施策が正しく機能しているかどうか、それが売り上げにつながっているかどうかを確かめる知識を持つべきなのです。

本書でも指摘されているように、われわれはつい、因果関係の「向き」を考えずに因果関係を取り違ったり、サンプル調査を疑ったり、利益につながらないデータを集めたりしがちです。

しかしながら本来、<ビジネスにおいて解析すべき指標は、直接的な利益か、あるいはそこに至る因果関係の道筋が明らかな何か>であり、「利益」視点を欠いた分析には意味がありません。

本書では、ビジネスマンが統計を正しく用いる場合、以下の3つの視点が参考になると指摘しています。

ぜひチェックしておきましょう。

◆データをビジネスに使うための「3つの問い」
【問1】何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?
【問2】そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?
【問3】変化を起こす行動が可能だとしてそのコストは利益を上回るのか?

「変化に最も対応できる生き物が生き残る」のだとしたら、変化の兆しを知る者が生き残るのは必定。

不透明な時代を生き抜くための武器として、ぜひ学んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆「疫学の父」ジョン・スノウがやったこと
・コレラで亡くなった人の家を訪れ、話を聞いたり付近の環境をよく観察する
・同じような状況下でコレラにかかった人とかかっていない人の違いを比べる
・仮説が得られたら大規模にデータを集め、コレラの発症/非発症と関連していると考えられる「違い」について、どの程度確からしいか検証する

たとえばサンプリング失業率が25%という調査結果が得られ、その標準誤差が0.5%だったとすれば、全数調査をした結果得られるであろう真の失業率も24%~26%の間にあると考えてほぼ間違いない、ということを統計学者たちは80年以上前に証明しているのだ

◆データをビジネスに使うための「3つの問い」
【問1】何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?
【問2】そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?
【問3】変化を起こす行動が可能だとしてそのコストは利益を上回るのか?

自社のブランドについて好ましいと思われていようが思われていまいが、ビジネスにおいて重要なのは「ブランドの好感度の高い人ほど購買金額が多いのだろうか?」という点である

ビジネスにおいて解析すべき指標は、直接的な利益か、あるいはそこに至る因果関係の道筋が明らかな何か

因果関係には向きがある

もしあなたがこれから失敗の許されない判断をするのであれば、何らかの形で適切なランダム化比較実験ができないだろうか、という可能性を検討してみてほしい

社内のありとあらゆる「正解のない意思決定」について、正解がないのであればとりあえずランダムに決めてしまう、という選択肢の価値はもっと認められるべきだろう

「1回こっきりのチャンス」あるいは、あったとしてもせいぜい数回程度しかチャンスの与えられないもの自体を取り扱うことに対して、ランダム化しようがしまいが統計学は無力

全集団同士での単純比較は、その内訳となる小集団同士との比較の結果と矛盾することもある

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『統計学が最強の学問である』西内啓・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022216

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◆目次◆

第1章 なぜ統計学が最強の学問なのか?
第2章 サンプリングが情報コストを激減させる
第3章 誤差と因果関係が統計学のキモである
第4章 「ランダム化」という最強の武器
第5章 ランダム化ができなかったらどうするか?
第6章 統計家たちの仁義なき戦い
終 章 巨人の肩に立つ方法

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