2013年1月3日

『2100年の科学ライフ』ミチオ・カク・著 vol.3089

【2100年、テクノロジーは世界をどう変えるか?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815728

年始ということで、今日も未来予測本を紹介します。

本日の一冊は、ニューヨーク市立大学理論物理学教授であり、「ひもの場の理論」の創始者の一人、ミチオ・カクさんによる未来予測。

近未来(現在~2030年)
世紀の半ば(2030年~2070年)
遠い未来(2070年~2100年)

の各段階で、テクノロジーがどのように進化し、どんなことが可能になるのか、ビジネスや日常生活がどう変わるのかを論じた内容で、未来への示唆に富んだ一冊です。

先日紹介した、『2052 今後40年のグローバル予測』同様、他者視点も交えた内容で、<新発見の最前線にいるトップクラスの科学者>300人以上へのインタビューがベースとなっています。

※参考:『2052 今後40年のグローバル予測』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249417

本書で描かれる未来は、はっきり言って衝撃的です。

まばたきをするだけでネットにつながり、会った人の顔をプログラムが認識して、名前や経歴を読みだしてくれる、車が自動操縦になり、車を運転しながらコンタクトレンズでウェブを閲覧できる、そんな時代が訪れようとしているのです。

未来のテクノロジーを使えば、人気のない道で自動車事故を起こしても、<あなたの衣服や車が外傷の最初の兆候にすぐさま自動的に反応して、救急車を呼んで事故車の位置を明らかにし、あなたの病歴をアップロードする>。

また、居眠り運転による死亡事故もなくなりそうです。

ほかにも、夢を録画したり、外国語を習得しなくても相手と会話ができたり、犬や猫にしか聞こえない音を聞けるようになったり、老化を遅らせ、150歳まで生きられるようになったり、絶滅生物を甦らせることができたりと、まさに夢の未来が描かれています。

『2052 今後40年のグローバル予測』は、環境問題を論じているだけあってやや悲観的な本でしたが、こちらは、テクノロジーが可能にする人類の未来を論じており、じつにワクワクする内容です。

かつて絵空事だったことのほとんどをテクノロジーが可能にしてきたことを思えば、本書が描く未来は、決して無視できません。

未来を創るテクノロジーの「今」を、正しく易しく理解できる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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未来についての予言は、わずかな例外を除けば、つねにテクノロジーの進歩のペースを過小評価している。何度も言われるように、歴史を残すのは楽観論者であって、悲観論者ではない。アメリカ大統領だったドワイト・アイゼンハワーはこう言った。「悲観論では戦争に勝てない」

将来、インターネットにいたるところでつながるようになるだろう──壁面スクリーン、家具、広告看板、さらには眼鏡やコンタクトレンズでも。まばたきをすれば、ネットにつながるのだ。レンズにインターネットを組み込む方法はいくつかある。眼鏡から水晶体を通して網膜へ、イメージを直接映し出す手がひとつ。レンズにイメージを投影し、スクリーンの役目をさせる手もある。あるいは眼鏡のフレームに、宝石商が使う小さなレンズのように画面を取り付けることも考えられる

インターネット眼鏡になんらかのパターン認識ソフトを組み込めば、それで物体や、さらにある程度は人間の顔まで認識できるようになる。すでに一部のソフトウェアプログラムは、あらかじめプログラムに設定した顔を九〇パーセント以上の精度で認識することができる。あなたが話している相手の名前ばかりか経歴まで、会話のさなかに目の前で映し出せるかもしれない

自動車事故で何千、何万もの死傷者を出している原因は、とくに夜間や単調なロングドライブでの、居眠りだ。今日のコンピュータでは、人の眼を監視して、眠気に襲われたとわかる徴候を察知できる。徴候をつかんだら、コンピュータが音を出してその人を起こすようにプログラムすることもできる。それでもだめなら、コンピュータが車を乗っ取る

人工の「スマート・ハンド」には、四つのモーターと四〇個のセンサーがついている。機械の指の動きはこれで脳へ中継されるので、フィードバックが得られる。こうして彼は、手の動きを制御でき、「感じる」こともできるのだ

次の段階でブルックスは、身体の不具合を治すためだけでなく、人間の能力を次第に強化するためにも、シリコンと生体細胞の融合をおこなうことを考えている。たとえば、今日の蝸牛や網膜のインプラントが聴覚や視覚を取り戻すとしたら、未来のそれらは超人的能力も与えてくれるかもしれない。われわれは、犬や猫にしか聞こえない音を聞けたり、紫外線や赤外線やX線が見えたりするようになるのだ

ハーヴァード大学医学部のジョージ・チャーチは、わずか三〇〇〇万ドルでネアンデルタール人を復活させられるとまで考えており、すでに計画も立てている

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『2100年の科学ライフ』ミチオ・カク・著 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815728

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◆目次◆

はじめに──来る100年を予言する
1.コンピュータの未来──心が物を支配する
2.人口知能の未来──機械の進歩
3.医療の未来──完璧以上
4.ナノテクノロジー──無から万物?
5.エネルギーの未来──恒星からのエネルギー
6.宇宙旅行の未来──星々へ向かって
7.富の未来──勝者と敗者
8.人類の未来──惑星文明
9.二一〇〇年のある日

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