2013年1月28日

『決算書が読めない社員はいらない』 木村俊治・著 Vol.3114

【決算書が読めない社員はいらない?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371967

計器が読めないパイロットに航空機の操縦を任せられないように、決算書が読めないビジネスマンに会社の経営は任せられません。

もちろん数字が読めなくても、日々の業務をこなしてくれる人材は重要ですが、非正規雇用が増えているなか、それが長期雇用する社員に求められているかというと、そうではない。

『決算書が読めない社員はいらない』とは、少々過激なタイトルのように思えますが、そういう意味ではもはや言い過ぎではないのかもしれません。

本書『決算書が読めない社員はいらない』は、東証一部上場の製造業の営業職を経て、公認会計士になった著者が、サラリーマン向けに決算書の読み方を説いた入門書。

これまで無機質な数字の羅列に見えていた損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の意味を丁寧に解説し、日々の業務にどう活かせばいいのか、どう見ればいいのか、前提知識ゼロでもわかるように工夫されています。

たとえば、なぜ代金回収に不安のある取引先を開拓してはいけないのか、以下のように解説がなされています。

<会計の仕組み上、一度売上として計上してしまった代金分の損失を取り戻すには、それと同じだけの「売上」ではなく、「利益」を稼がないといけません>

また、サラリーマンにとってはあまり縁のない減価償却費についても、このように、わかりやすく説明されています。

<このパン屋では工場を建てるために2000万円支払いましたが、損益計算書の上では2000万円全額が一度にまとめて計上されることはありません。その工場を動かした期間に応じて少しずつ計上されていきます。これが減価償却費です>

わかりやすいのは、基礎用語だけではありません。経営分析に関しても、どの指標がどう変化したら危ないか、好調かなど、経営の見方を詳しく解説しています。

例)安全性を見るときの流れ
1.純資産金額
2.自己資本比率
3.借入金返済期間
4.現金預金の額
5.流動資産と負債の比較
6.回転期間、固定資産の調達先

ビジネスパーソンが知っておくべき決算書のツボがものの見事に押さえられていて、かなりおすすめの一冊です。

ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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営業損失になるということはその会社が営業している事業は儲からない事業であることを意味しています

連結損益では、「当期純利益」の下に「包括利益」という利益が出てきます。貸借対照表の純資産の増減のうち、資本取引や当期純利益以外で増減するような項目があった場合、その増減額を当期純利益に調整して、その調整後の利益を「包括利益」としています

調達と運用という視点で会社の能力を判断するときに重要なのが、次の2点です。
1.安全におカネを集められているか
2.集めたおカネを利益が生み出せる資産に使えているか

流動資産が多いほど会社は潰れにくい傾向にあると説明しましたが、流動負債は逆で、この金額が多いほど潰れやすい傾向にあると言えます

純資産は、株主からの出資金や事業で稼いだ利益などで構成される、誰にも返す必要のない資本です。多ければ多いほど、安全性が高まります

貸借対照表の「利益剰余金」がどのように増えたか、減ったかを詳しく説明するものが損益計算書とも言える

キャッシュ・フロー計算書というのは、上場会社以外では作成していません。そこで、簡便的ですがおカネを稼ぐ力を見る方法としては、「営業利益」+「減価償却費」を計算してみます

◆安全性を見るときの流れ
1.純資産金額
2.自己資本比率
3.借入金返済期間
4.現金預金の額
5.流動資産と負債の比較
6.回転期間、固定資産の調達先

売上高総利益率が増加したということは、売上高原価率が減少しているということですので、サービスの売値を上げたか、原価コストが低くなったことなどが考えられます

事業に関係ない資産、有価証券やゴルフ会員権、リゾート会員権、絵画等を多く保有していれば、含み損失を抱えている可能性が高い

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『決算書が読めない社員はいらない』木村俊治・著 クロスメディア・パブリッシング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371967

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◆目次◆

第1章 決算書は2時間で読めるようになる
第2章 損益計算書は5つの利益を読む
第3章 貸借対照表は3つのブロックの関連性を見る
第4章 キャッシュ・フロー計算書は3つに分ける
第5章 財務3表のつながりから見えてくること
第6章 収益性と安全性の分析手法
第7章 経営方針を推察する比較分析
第8章 決算書をもっと上手に利用するために

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