2012年9月22日

『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』 リチャード・ステンゲル・著 Vol.2986

【感動しました。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862761410

最高の素材は、最高の料理人によって調理されなければならない。

これは、本作りにおいても鉄則だと思います。

著名な伝記作家、ウォルター・アイザックソンが書いた『スティーブ・ジョブズI』『スティーブ・ジョブズII』はじめ、ベストセラーとなった本は、大抵素材と料理人がどちらも魅力的。

本日ご紹介する『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』も、そんな一冊です。

反アパルトヘイト運動を主導し、反逆罪で逮捕。27年間、刑務所生活を余儀なくされるも決してあきらめず、アパルトヘイト撤廃へと南アフリカを導き、1994年には大統領に就任したネルソン・マンデラ。その壮絶な人生は、映画「インビクタス」で描かれ、多くの人を感動の渦に巻き込みました。

この『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』は、そのマンデラと3年間寝食を共にし、その言葉を2万語の日記に記録したというタイム誌編集長のリチャード・ステンゲルがまとめた一冊。

マンデラの行動哲学を、本人の言葉とエピソードで綴り、リーダーシップ論にまで昇華させた、珠玉の一冊です。

<私たちは他者を通してのみ人間として存在する>
<人間なのだから弱さを見せるのは当然のことだ>
<自分が勝っているときこそ、最大の慈悲の心を持って相手に接しなくてはならない>
<いかなる状況においても、相手を侮辱してはならない>

マンデラが獄中、あるいは政治を通して学んだ処世術が随所に書かれており、リーダーは必読の内容です。

また、

<一番やっかいなのは、「味方のふりをした敵」だ>
<感情的な人間は、間違った判断を下しやすく、結果的に、不誠実な人間になる可能性が高い>

など、苦難に満ちた人生を生きたマンデラならではの警句も並び、生きることの難しさを考えさせてくれます。

<過去数十年の間に、どれほどの人間がマンデラと触れることで慰められ、生きる力をもらっただろうか>。こう著者が言うように、マンデラは多くの人に生きる勇気を与えましたが、本書は、そんなマンデラの考えに触れられる、数少ない書籍の一つです。

マンデラをよく知る著者、しかもタイム誌編集長が書いただけあって、文章も秀逸。ラストまで、一気に読むことができました。

これはぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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アフリカには「ウブントゥ(Ubuntu)」という概念がある。これは「私たちは他者を通してのみ人間として存在する」という意味だ(ネルソン・マンデラによる序文より)

国内外問わずどんな問題に対しても、彼は常に一定の調子で「これはあってはならない」と主張する(中略)マンデラにとって、不公平な物事を許せないという思いこそが、力の源泉になったことは間違いない

歳を重ねるにつれ、人間の弱さに対しての理解を深めていき、「人間なのだから弱さを見せるのは当然のことだ」と考えるようになった

変化する環境と異なる状況に置かれたとき、自ら意思決定し、選択したその行動にこそ勇気が宿るというのが彼の持論だ

「臆病者は現実の死を迎えるまでに何度でも死ぬものだ」
(『アントニーとクレオパトラ』より)

「先陣を切るリーダーシップ」とは、注目を浴びるような行動だけを指すのではない。リーダーとして特別な扱いを受けるのではなく、看守や他の受刑者の尿瓶を洗うといった行動を皆とともにするということだ

リーダーには、一人で意思決定し、行動しなければならないときがある

チームの一人ひとりが持っている能力を最大限に引き出すためには、皆が「ゲームに参加している」と感じることが必要で、そのためにはチームメンバー全員に「自分たちがマンデラの意思決定に影響を与えているのだ」という当事者意識を持たせることが重要だと考えていた

「敵の心を掴んだ、と得意になってはいけない。自分が勝っているときこそ、最大の慈悲の心を持って相手に接しなくてはならない。いかなる状況においても、相手を侮辱してはならない。相手の誇りを大切にしなさい。そうすれば、敵はやがてあなたの友となるのだから」

一番やっかいなのは、「味方のふりをした敵」だ

感情的な人間は、間違った判断を下しやすく、結果的に、不誠実な人間になる可能性が高い

マンデラはこう言っていた。「自分だけの畑を見つけなさい」

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『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』リチャード・ステンゲル・著 英治出版

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862761410
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◆目次◆

序文──ネルソン・マンデラ
訳者まえがき
序 章 多面的な人物
第1章 勇敢に見える行動をとれ
第2章 常に冷静沈着であれ
第3章 先陣を切れ
第4章 背後から指揮をとれ
第5章 役になりきれ
第6章 原理原則と戦術を区別せよ
第7章 相手の良い面を見出せ
第8章 己の敵を知れ
第9章 敵から目を離すな
第10章 しかるべきときにしかるべく「ノー」と言え
第11章 長期的な視野を持て
第12章 愛ですべてを包め
第13章 「負けて勝つ」勇気を持て
第14章 すべての角度からものを見よ
第15章 自分だけの畑を耕せ
マンデラからの贈り物

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