2012年8月24日

『失敗バンザイ!』橋本陽輔・著 Vol.2957

【絶対潰れない会社を作る、やずや大番頭の成功法則とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838724535

大きく成長した会社には、必ず名番頭がいるものですが、あの有名通販企業、やずやにもそんな人物が存在しました。

それが、本日の一冊『失敗バンザイ!』に出てくる、西野博道氏。

自ら起業するも、多角化により1億円の借金。人生のどん底にいるところを、やずやの創業者、矢頭宣男さんに救われた男が、いかにして人生を逆転させてきたのか。

単なる自己啓発書と思いきや、その実体は、経営改善の教科書であり、また社長の意識改革本でした。

本書の主人公である西野氏は、急速な拡大志向と、その場を取り繕う行き当たりばったりの経営で、1億円の借金をこしらえるわけですが、やずやの矢頭社長は、ただの取引業者だった氏を救うため、自宅を担保に入れ、社員をすべて引き受ける提案をします。

そのため、西野氏と奥さんは、2人でやずやの経営を手伝うことになるのですが、ここからの逆転劇が面白い。

自宅をやずやのアウトソーシング・スペースにし、毎年2000万円の返済をして、何と6年で借金を完済してしまうのです。

一体なぜ、こんなことができたのか。

本書には、優れたマーケターでもある西野氏のマーケティングノウハウと、西野氏が矢頭社長から受けた薫陶、やずやに伝わる仕事の精神が書かれています。

徹底してお客様・従業員を大事にする姿勢、部下を信じ、決して前に立たない「放牧型マネジメント」(羊飼いは必ず羊の前ではなく「後ろ」にいる)、新しい売上の方程式(売上=お客様の満足度×お客様の数)は、これから業績を改善したい社長にとって、参考になる内容だと思います。

半分自己啓発書、半分マーケティング本という、ちょっと珍しい本ですが、中小企業の経営者には、違和感なく受け入れられるのではないでしょうか。

やずやのマーケティングノウハウを学びたい方は、同著者の前著『社長が知らない秘密のしくみ』と併せて読むといいでしょう。

※参考:『社長が知らない秘密の仕組み』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828414541

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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どんなときも、顧客フォロー以上に大切なことはない

「西野くん、会社の規模が小さく、人材も育っていないときは、一所懸命一つのことを掘って、掘って、掘り下げること。そうすれば、自然と穴の直径は大きくなっていくんだよ」
(矢頭宣男社長の言葉)

これからの時代には『売上=単価×数量』ではなく、『売上=お客様の満足度×お客様の数』の方程式で考えよう

お客様に「あなたの会社がなくなったら絶対に困る!」と言われる会社は永遠に潰れることはありません

「納得するまでとことん話す」ことは絶好の忍耐力育成トレーニング

上司が「聞く」「信じる」「任せる」「ほめる」の四つのスキルをマスターすれば、部下は自らモチベーションを高め、自らの能力を開花させていく

新規客を集めるのは社長の責任で、既存客をケアするのは社員の責任と、明確に役割分担されていたのです。だからこそ、社長が連れてきてくれたお客様をもてなすことだけに集中できた

羊飼いは必ず羊の前ではなく「後ろ」にいるということです。「放牧型マネジメント」では、羊飼いは毎日、羊をエサと水のある場所に連れていきますが、決して羊の前には立ちません

お客様を喜ばせたり、感動させたりするのは、俳優である社員の仕事である

その昔、今は亡き経営学の神様、P・F・ドラッカーの講演を聞いたことがあります。その講演の最後にドラッカーが語った一言が、とても印象的で今も記憶に残っています。
「若い人は、もっとバカなことをすべきだ!」

「原点を見失いやすい時期」が30代だとも言えます。だからこそ、この時期に「原点を見直すことができるかどうか」が、その後の成長に大きく影響する

40代で過去の自分と決別する

打つ手がないときに手を挙げるのが本物のリーダー

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『失敗バンザイ!』橋本陽輔・著 マガジンハウス

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838724535
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◆目次◆

第一章 1億円の借金を背負った西野さん半生記
第二章 西野流・仕事の極意
第三章 失敗の価値が見直される時代が来た!
第四章 失敗しても、きっと次はうまくいく

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