2012年7月26日

『ザ・ディマンド』エイドリアン・J・スライウォツキー・著 カール・ウェバー・著 Vol.2927

【スライウォツキー待望の新刊!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318181

拙著『土井英司の「超」ビジネス書講義』のなかで、土井が<「著者買い」する11人>ということで11人の名前を挙げましたが、そのなかの一人、エイドリアン・J・スライウォツキーの待望の新刊が登場しました!

※参考:『土井英司の「超」ビジネス書講義』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799311638

ご存じない方のために解説すると、エイドリアン・J・スライウォツキーは、ビジネスモデルの「型」をまとめた名著、『ザ・プロフィット』の著者であり、「インダストリー・ウィーク」誌が「経営思想の六賢人」「ドラッカーの再来」とまで讃えている人物です。

そんな経営戦略のプロフェッショナルが今回まとめたのは、『ザ・ディマンド』。需要を創出するための方法論です。

ご存じ、アップルのiPhoneの成功は、確かに優れた機能・デザイン・プロモーションによるものですが、実際にはそこだけ真似てもアップルに勝つことはできません。

大切なのは、顧客の「ディマンド(需要)」を知り、顧客が現在買っているものとのギャップを見つけること。

その上で商品開発し、売り出した企業が勝つのです。

本書は、そんなディマンド創出のプロセスを、事例も交えて体系的にまとめたもの。

「マグネティック」「ハッスル・マップ」「バックストーリー」「トリガー」「トラジェクトリー」「バリエーション」などのキーワードを理解すれば、ビジネスを創り、発展させるためのプロセスがよくわかると思います。

カーシェアリングをアメリカに定着させたジップカー、グロサリービジネスの革新をリードし、急成長を続けるウェグマンズ、さまざまな障害を克服し、レンタルDVDの宅配サービスを実現したネットフリックス、電子書籍の世界に革命を起こしたアマゾンのキンドルなど、さまざまな事例が登場し、じつに読み応えがあります。

どうやってビジネスチャンスを見つけ、商品開発し、さらには参入障壁を築き上げていくか。

本書には、起業家にとって最も大切なプロセスが書かれています。

革新的なビジネスを手掛けたいと願う、野心あるビジネスマンにおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ディマンド・クリエーターたちは、人々が買うものと実際ほしがっているものとのあいだに大きなギャップがあることに気づく。そしてそのギャップをきっかけに、ディマンドの側から物事を考える

◆優れたディマンド・クリエーターがたどるステップ
1.マグネティック
  ──機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す
2.ハッスル・マップ
  ──時間とお金をムダにする「欠点」を明らかにする
3.バックストーリー
  ──「見えない要素」で魅力を強化する
4.トリガー
  ──人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう
5.トラジェクトリー
  ──魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす
6.バリエーション
  ──「コスト効率の高い製品多様化」を図る

マグネティックな製品は飛びぬけた機能性を備えていなければならない

M(マグネティック)=F(機能)×E(感情)

グリフィスは実状を再考することでこのパズルを解いた。ジップカーの未来を握るカギは「密度」だ

調査によると、買い物客が一番イライラするのは、価格の高さではなく、レジでの長蛇の列だ

市場規範とは、対価を払うことだ(中略)逆に、社会規範の世界とは、コミュニティの世界だ。ただちに見返りを期待せず、友好的な感情や相互尊重、責任の共有から人々が互いに助け合う

ジップカーの人気のカギが「密度」だったこと、キンドルに不可欠だった違いは「書籍への瞬間的なアクセス」だったことを思い出してほしい。これがディマンドの蛇口をひねるトリガーだった。同様に、ネットフリックスのディマンドを一気に過熱させたトリガーは「配送速度」だった

最初にネスプレッソを供したのはスイス航空だった。他の航空会社もこれに追随し、マシンの販売台数は少しずつ伸びていった。関係は明らかだった。ファーストクラスの乗客は裕福でよく旅行に出かけ洗練されている。つまり、ネスプレッソの顧客として完璧だった

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『ザ・ディマンド』エイドリアン・J・スライウォツキー・著 カール・ウェバー・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318181
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◆目次◆

序 需要(ディマンド)のミステリー
マグネティック──機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す
ハッスル・マップ──時間とお金をムダにする「欠点」を明らかにする
バックストーリー──「見えない要素」で魅力を強化する
トリガー──人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう
トラジェクトリー──魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす
バリエーション──「コスト効率の高い製品多様化」を図る
ローンチ──需要のアキレス腱に注意する
ポートフォリオ──シリーズ化には高いハードルがつきまとう
スパーク──需要の未来はこうして見つけよ!
結論 ディマンド・クリエーターになるには
謝辞
日本語版刊行に寄せて
監訳者あとがき
原註

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