2012年6月29日

『「計算力」を鍛える』齋藤広達・著 Vol.2900

【祝・2900号】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456980425X

本日の一冊は、米トップビジネススクールであるシカゴ大学でMBAを取得し、シティバンク、ボストン・コンサルティング・グループなどを経て独立した著者が、コンサルタントの「計算力」をテーマに書いた一冊。

ベストセラーとなった前作『ビジネスプロフェッショナルの教科書』は、MBAで学ぶ経営学のエッセンスがうまくまとまった入門書でしたが、今回もプロのコンサルタントの計算テクニックを、わかりやすく解説しています。

※参考:『ビジネスプロフェッショナルの教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822230597

土井も普段人前で話していて感じることですが、ビジネスマンとして、単位=千円と書かれた決算書の数字が読めなかったり、2桁×2桁の暗算が瞬時にできないのは、やはり格好悪い。

また、主要国のGDPや自分の所属する業界の数字がわからないというのも、プロ失格だと思っています。

とはいえ、数字のセンスは、普段扱っていないと、なかなか身につかないもの。

そこで本書では、プロのコンサルタントが使っている簡易計算のテクニックを、誰にでもわかるようにまとめています。

大きな数字を「1人当たり」に直す「@変換」の技術、ざっくり計算を近似値にする「逆数計算」の技術、「純資産」一つに着目することでバランスシートを読む技術など、使える情報がてんこ盛りです。

なかでも、近似値を導き出す「逆数計算」の技術は、参考になりました。

180,000,000,000

がいくらか、瞬時に言えない方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本企業の売上総規模は650兆円、うち製造業は280兆円、卸売業は200兆円、小売業は75兆円です。これを、国民1人当たりの金額に@変換するとどうなるでしょうか。先ほどのように、1億人を日本の人口の概算値として計算します。すると、国民1人当たりの総売上は650万円になります。製造業が280万円、卸売業が200万円、小売業が75万円です。すべて日本国内で消費されたと仮定すると、モノに280万円を支払い、卸売業者に200万円支払い、小売業者に75万円を支払っている計算になります

年商100億円の出版社を@変換すると、1人当たり年間100円の購入です。書籍の単価を1000円と仮定すると、10人に1人が、年に1回買う本を発行している出版社ということになります

1坪当たり売上高は、経済産業省が公表している商業統計によると、コンビニエンスストアは月38万円強です。百貨店が33万円、ドラッグストアが17万円、総合スーパーが14万円前後なので、いかにスペース効率のよい小売業態かわかります

ビジネスの現場では、分母が1・1~1・9の間で割り算をすることが多いものです。それを1で割ったときに、元に戻すための数字をあらかじめ暗記しておく

国家予算の@変換値も、より正確な人口1・3億人バージョンにすることができます。作業は簡単です。1億人を分母として計算したあと、1・3の逆数である0・8を掛けるだけ

1・4×1・4が2になるとは、年率40%で2年成長する事業が、2年で2倍の売上になるということです

正規分布は面白い作りになっており、標準偏差+-ひとつ分の範囲に全体の68%が含まれるようになっています

偏差値60以上の仕事を目指せ!

1~2%というのは、あくまで輸出と輸入を差し引きした数値であり、その本来の大きさとは違うからです。本来ならば、純輸出は輸出と輸入に分けて論じるべきなのです。(中略)「合計額」としてまとめられているようなものには要注意です。メディアや専門家が、自分の主張に合わせて、都合よく計算する手法のひとつ。騙されてはいけません

会社とは「純資産を増やすための仕組み」に過ぎない

「この会社はちゃんと儲かっているか?」ということは、純資産の推移を追いかけることでシンプルに見抜けます。前期の純資産の残高と今期の純資産の残高を比べてみる。その企業が儲かっていれば、純資産は増えているはず

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『「計算力」を鍛える』齋藤広達・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456980425X
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◆目次◆

第1章 「なんでも@変換」で、数字は一気に身近になる
―複雑なデータを読み解く最初のコツ
第2章 ざっくり暗算で、計算は驚くほど速くなる
第3章 「次に起こること」を計算する
―シナリオ・プランニングの技法
第4章 本当は、とても使える偏差値の話
―正規分布の考え方で、あらゆるものを数値化してみる
第5章 鋭いデータ分析は「ズームイン・ズームアウト」から
―見る、計算する=考える
第6章 会・計算力はすごい武器
―覚えるべきは「純資産」ただひとつ
第7章 計算力でウソを見破れ!
―数字による騙しのテクニックを知っておく
終章 計算機を片手に、熱き心で仕事をしよう

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