2012年1月12日

『カテゴリー・イノベーション』デービッド・A・アーカー・著 Vol.2731

【アーカー教授が提唱するブランド・レレバンスとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532317509

本日の一冊は、カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院で名誉教授、電通の顧問も務めるブランド論の大家、デービッド・A・アーカー教授による最新のブランド論。

成熟化した日本市場、そしてiPod、iPhoneなどを投入して成功したアップルの例を見ていて思うことですが、やはり、広告やコピーだけで爆発的な販売を期待するのは、無理がある。

伝え方以前に、良い商品を作ること、そしてできれば、これまでになかった革新的な新商品、さらには消費者に貢献する「新カテゴリー」を作るべきです。

本日の一冊は、そのカテゴリーの創り方と、新カテゴリーでリーダーとなり、勝ち続けるための戦略、「ブランド・レレバンス戦略」を解説した一冊(「レレバンス」は関連性の意)。

アサヒビールが「スーパードライ」を投入して市場を一新したように、またトヨタが「プリウス」を出して「コンパクト・ハイブリッドカー」という新しいカテゴリーを作ったように、新カテゴリーの創出は、成功すれば独り勝ち、すなわち高利益を期待できる画期的戦略なのです。

ただ、もちろんのこと、成功すれば追随する企業が現れてくる。

本書では、そんな競合に悩まされている企業のために、参入障壁を設ける方法から相手を陳腐化する方法まで、幅広く深く戦略を解説しています。

正直言って、競合には読ませたくない一冊。そして競合を蹴散らすためには、必須の一冊です。

革新を求める経営者には、ぜひ読んでいただきたい名著です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ブランドは多額の予算をかければ大掛かりなマーケティングを行うことができるが、製品やサービスの新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーの形成を導くことができなければ、そしてライバルが意味や存在感を失うような新しい分野を誕生させることができなければ、市場に何の影響を与えることはできない

ブランドが衰退するのは、ブランドの約束を実現する能力を失ったから、あるいは利用者のロイヤルティに陰りが出たからではなく、レレバンスが失われたからだ

既存市場で競争する方法は二つある。消費者に選ばれるブランドになる「ブランド選好モデル」か、競合他社の市場の関連性を失わせる「ブランド・レレバンスモデル」だ

競合企業がブランド選好戦略をとっている市場は、通常は利益率が非常に低くなりがちである

ブランド・レレバンス戦略とは、新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーが形成されるような革新的な新商品を創造することである

W・チャン・キムとレネ・モボルニュが一〇八社の戦略的な動きを調べたところ、そのうち新しいカテゴリーを形成したと分類された一四%の企業だけで、一〇八社全体の売り上げ合計の三八%、利益合計の六一%を構成した

米国では、経済の活力のほとんどは新規事業から生まれている。実は一九八〇年から二〇〇八年まで、雇用創造が雇用喪失を上回ったのは、設立五年未満の企業であった

どのようにすれば模範ブランドになれるのか。それにはいくつかのポイントがある。まず大事なのは、ブランドではなくそのカテゴリーあるいはサブカテゴリーの認知獲得を促進することだ

消費者は購買意思決定の最適化を行うのではなく、完全な情報の代理情報や結果を暗示する手がかりといったものに依存するのだ

購入時の検討対象群に劣った選択肢が入ってくると、既存のブランドの魅力が増すことがある

意図していなかった新しい用途を探る

グローバル・リバース・イノベーションとは、インドや中国など新興市場向けに単純で安価な製品を開発し、それを欧米のような先進市場に導入すること

市場を変えるための典型的な方法は、パーツごとのコンポーネントからシステムへと移行することだ

新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーには、本格的もしくは変革的なイノベーションが伴う。それはつまり、話題性がある、報道価値があることを意味する

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『カテゴリー・イノベーション』デービッド・A・アーカー・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532317509

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◆目次◆

第一章 ブランド・レレバンス
第二章 「ブランド・レレバンス」を理解する
第三章 ケース・小売業界のカテゴリー・イノベーション
第四章 新しいコンセプトを見つけ出す
第五章 コンセプトの評価
第六章 カテゴリーあるいはサブカテゴリーを定義し、管理する
第七章 参入障壁を構築し、差別化を持続させる
第八章 激動する市場でレレバンスを維持する
第九章 カテゴリー・イノベーションを支える組織とは

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