2011年12月28日

『人さまざま』テオプラストス・著 Vol.2716

【アリストテレスの弟子による人間観察】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003360915

東日本大震災の影響と、Facebook、TwitterなどのSNSの普及により、他人から好感をもってもらえるかどうかが、ますますビジネスにおいて重要になっています。

個人的には、面倒くさい人や個性的な人は大好きですが、社会活動を営むにあたって、有利な性格、不利な性格があるのは事実だと思います。

では、どうやって自己を省みて、人を不快にさせないよう正していくか。

そのヒントとなるのが本日の一冊です。

本書『人さまざま』は、アリストテレスの弟子であり、師の学園を継承発展せしめた古代ギリシャのテオプラストスが記した人間観察の古典。

へつらい、粗野、無頼、おしゃべり、けち、頓馬、お節介、虚栄、横柄、臆病、貪欲といった計30のタイプに人間を分類し、それぞれの定義と、具体的な行動パターン、他人にとってどう迷惑かを示したシンプルな内容で、己を省みるには最適の一冊です。

一説によると、末尾に示された教訓的な部分(赤ペンチェックでは、[]内の言葉)は、後に付記されたものらしいですが、そこを除いても、読み応えがあります。

人間関係に序列がない環境で、結局重視されるのは、本書に書かれているような、人への配慮。

自らの行動パターンを見直す意味でも、ぜひ読んでおきたい処世の書です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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[要するにへつらう者とは、それで自分が気にいられると見なすことならなんであれ、口にもすれば行ないもするように、はた目には見られるのである。]

無頼とは、恥じてしかるべき言語動作を、一向に頓着せぬ図々しさである。そこで、無頼の徒とは、およそつぎのようなものである。すなわち、いともやすやすと誓いを立て、悪評をうけてもとんと平気なら、悪口雑言を口にするのもお手のもの、人柄からして下劣と言うべく、身だしなみもくそもあったものか、なんでもかんでもやってのける徒輩(やから)である

[こういう人たちは、そもそもなにを目的として、噂をふりまいているのだろうか、それが私には、かねがね合点のゆかぬことである。なぜなら、ただたんにいい加減な噂を立てるばかりか、結果はわが身の不利を招く破目にもなるからだ(省略)]

恥知らずとは、これを定義すれば、いやしい利得のために、人の思惑をものともせぬことである

頓馬とは、たまたまかかわりをもった人たちに、相手を苛立たせるような話をしかけることである。そこで、頓馬な人とは、およそつぎのようなものである。すなわち、忙しくしている人のところへ出かけて、相談をもちかける(中略)また、結婚式に招待されると、女性のことを悪く言う。また、長旅から戻ってきたばかりの人を、散歩に誘う

へそまがりとは、言葉使いの点で、態度の無礼なことである(中略)「誰それはどこにいますか?」と人から尋ねられると、「私をそっとしておいてもらいたいですね」と答える。あた、挨拶をされても、挨拶を返さない

不平とは、あてがわれたものを不当にけなすことである

虚栄とは、卑俗なる名誉欲である

しみったれとは、出費を必要とするような公事への気前のよさを、持ちあわしていないことである

貪欲とは、いやしい利得をむさぼることである(中略)すなわち、人を食事に招いておいて、充分なパンも出さない。また、わが家に逗留している客人から、金を借りる

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『人さまざま』テオプラストス・著 岩波書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003360915

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◆目次◆

一.空とぼけ
二.へつらい
三.無駄口
四.粗 野
五.お愛想
六.無 頼
七.おしゃべり
八.噂好き
九.恥知らず
一〇.け ち
一一.いやがらせ
一二.頓 馬
一三.お節介
一四.上の空
一五.へそまがり
一六.迷 信
一七.不 平
一八.疑い深さ
一九.不 潔
二〇.無作法
二一.虚 栄
二二.しみったれ
二三.ほら吹き
二四.横 柄
二五.臆 病
二六.独裁好み
二七.年寄の冷水
二八.悪 態
二九.悪人びいき
三〇.貪 欲

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