2011年10月14日

『武器としての決断思考』瀧本哲史・著 Vol.2641

【京大のカリスマ講師、もう一つの注目本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061385011

本日の一冊は、先日ご紹介して大ブレイク中、「最近読んでよかった本」でも1位爆走中の『僕は君たちに武器を配りたい』の著者、瀧本哲史氏による単著デビュー作。

※参考:『僕は君たちに武器を配りたい』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062170663/

念のためにおさらいしておくと、著者の瀧本哲史さんは、マッキンゼーを経て独立し、いくつかの会社を経営するかたわら、エンジェル投資家としても活動する人物。

現在は、京大で「意思決定論」や「起業論」「交渉論」などの授業を担当し、人気No.1若手教官として活躍中です。

本書では、情報過多、先行き不透明な時代に、自分で考え、自分で決めるための技術を指南。

「ディベート=意思決定のための具体的な方法」としてディベートのスキルや手順を教えたり、論理思考の基本として、3つの推論のタイプ「演繹」「帰納」「因果関係」を解説したり、まさに考えるための「武器」を配っています。

コンサルタントが書いている論理思考系の本と重複する部分も多いのですが、本書の特長は、例題を解きながら、ディベート思考が鍛えられること。

どうやったら相手の主張に反論できるか、どうすれば反論に耐えうる主張ができるか、具体的なメソッドと事例が示されており、じつに参考になります。

非インテリでも、本書の内容をしっかり学べばインテリ層をギャフンと言わせることができる。そんな知的武装のための一冊。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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リベラルアーツとは、意訳すると「人間を自由にするための学問」なのです

国家試験に合格しただけでは、これからの時代は生き残れないし、幸せになることもできません。むしろ奴隷として、上の世代が作ったシステムにからめとられる可能性が高い。それも、自分が気づかないうちに。だから、教養が必要なのです。自由になるために、自分の力で幸せになるために

東日本大震災の際、新宿駅でタクシーの列に500人以上の人間が並んでいる光景を見て私は心底驚きましたが、自分で答えを出せるようにならないと、本当に行列に10時間並ぶだけの人生になってしまいます

不確実性の高いビジネスの世界で生き残っているベンチャー企業は、ほとんどのケースにおいて、戦略をころころと変えている

論題は―
1.二者択一になるくらい具体的なものを選ぶ
2.議論に値するものを選ぶ
3.明確に結論が出るものを選ぶ

◆メリットの3条件
1.内因性(なんらかの問題があること)
2.重要性(その問題が深刻であること)
3.解決性(問題がその行動によって解決すること)

◆デメリットの3条件
1.発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
2.深刻性(その問題が深刻であること)
3.固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)

◆「正しい主張」の3条件
1.主張に根拠がある
2.根拠が反論にさらされている
3.根拠が反論に耐えた

演繹の第一の問題点は、「前提が間違っていたら、間違った結論に達してしまう」ということ

個別の事例から一般論を説明するのが帰納の考え方ですが、いちばんよく見かけるのが、都合の良い事例、偏った事例だけを集めてしまうことです

注意しておいたほうがいいのは、発言で強調されているポイントは実は重要でない可能性があるということ。どういうことかというと、たとえばIR説明会で、「我が社は3年連続、売上40%アップです」と言っていたら、「売上」ではなく「利益」が問題なときがあるということです

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『武器としての決断思考』瀧本哲史・著 星海社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061385011

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◆目次◆

はじめに 「武器としての教養」を身につけろ
ガイダンス なぜ「学ぶ」必要があるのか?
1時間目 「議論」はなんのためにあるのか?
2時間目 漠然とした問題を「具体的に」考える
3時間目 どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する
4時間目 反論は、「深く考える」ために必要なもの
5時間目 議論における「正しさ」とは何か
6時間目 武器としての「情報収集術」
7時間目 「決断する」ということ

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