2011年10月18日

『中小企業白書2011年版』中小企業庁・編 Vol.2645

【今儲かっている中小企業のノウハウとは?】
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本日の一冊は、毎年買っているのになぜか今年は買いそびれていた『中小企業白書2011年版』。

今回のテーマは、「震災からの復興と成長制約の克服」ということで、震災による中小企業の被害の総括と、被災地の中小企業の取り組みを特集しています。

緊急事態に備えてBCP(Business Continuity Plan)を策定していた宮城県仙台市の鈴木工業株式会社、生産者を風評被害から守りつつ、地元住民の消費を支えている岩手県大船渡市の株式会社マイヤなどの事例が紹介されています。

第2部では、お約束のわが国中小企業の分析、そして注目の第3部「経済成長を実現する中小企業」では、不況下でなお業績を伸ばしている中小企業をフィーチャーしています。

店舗でしか体験できなかった対面販売の心地良さをインターネット通信販売で実現し、年商を40億円まで伸ばした東京都八王子市のタンタンコーポレーション株式会社、LEDに使われるサファイア基板の加工市場を寡占するマルチワイヤーソーの株式会社タカトリ、デザイン改善により大ヒット商品<デザイナーズ最中「くう」>を生み出した有限会社菓匠禄兵衛、紙・インクが不要なリライタブルプリンターを作っている三和ニューテック株式会社など、あまり事例として紹介されることのない成功企業の事例がいくつも載っています。

不況を脱するために一番手っ取り早い手段は、うまく行っている企業のマネをすることですが、本書にはそのいい見本がいくつも載っています。

中小企業経営者が知っておくべき各種経済指標についても、グラフ入りで紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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大阪府枚方市の吉泉産業株式会社(従業員60人、資本金1,000万円)は、魚の切り身の大きさを映像情報で判断して常に一定の大きさに切り分けるスライサー等の食品加工用業務機械を製造する企業である。顧客数が限られる同社製品はオーダーメイドに近く、発注数が少ないことから外注しても割高なことが多いため、自社内に部品製造の機械を導入して製作を行うなど、徹底した自前主義を貫いている

連鎖倒産しやすい企業は、取引先数が少なく取引先企業の倒産により致命的な影響を受ける企業

高知県土佐市の廣瀬製紙株式会社(従業員35名、資本金2,000万円)は、主に合成繊維と水を使った湿式不織布を製造販売する企業である。同社の製品は、他社製品と比較して約1~2割高価であるが、ショートや液漏れを防ぐといった安全性の面で優位性を持ち、セパレーターの世界シェア30%、国内シェア60%を維持している

神奈川県横浜市のプリンス電機株式会社(従業員83名、資本金4,700万円)は、省エネ栄光ランプを製造する企業である。(中略)これらの省エネランプは、通路や看板照明、コンビニの冷蔵・冷凍ケース等のように、狭い空間に設置し、常時点灯させるニーズに応えるもので、同社の主力商品として、コンビニケース照明では、国内の7割程度のシェアを占めている

熊本県荒尾市の中央青空企画は、荒尾市中央商店街の若手商店主が中心となって作られた企業組合である。同商店街の周辺地域では、人口流出や高齢化により、商店街が衰退したことで、日々の買い物場所の確保に悩む高齢者が増加していた。そこで、2005年5月に商店街の空き店舗を利用した農産物直売所「青研」を開店したところ、口コミで評判となり、高齢者を中心に徐々に利用客が増加した

小売業の年間販売額は、売場面積500平方メートル以上の事業所で増加し、売場面積500平方メートル未満の事業所で大幅に減少している

我が国では、特に過疎地や郊外部の大規模団地を中心に、買い物のための場所や移動手段等日常生活に不可欠な機能が弱体化している地域が増加し、日常の買い物が困難な、いわゆる「買い物弱者」が増加している。経済産業省では、その数を600万人と推計している

近年起業家に占める60歳以上の割合が増加

東京都中央区の株式会社ベア─ズ(従業員82名、資本金8,900万円)は、1999年に起業された家事代行サービスを提供する企業である。同社は、顧客ニーズに応じた質の高いサービスを提供するためには、家事代行スタッフである「ベアーズレディ」の状況を正確に把握する必要があると考え、システム開発部隊を内製化し、ベアーズレディの技術や住所、希望する勤務時間等を常時把握できるデータベースを構築した。この結果、従来は、サービスを提供できる人材を探すために見積もりからサービス提供まで2週間を要していたが、即日対応が可能となった

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『中小企業白書2011年版』中小企業庁・編 同友館
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◆目次◆

第1部 最近の中小企業の動向
第2部 経済社会を支える中小企業
第3部 経済成長を実現する中小企業結び 震災からの復興と成長制約の克服
平成22年度において講じた中小企業施策
平成23年度において講じようとする中小企業施策

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