2011年8月4日

『逆境を生き抜くリーダーシップ』 ケン・アイバーソン・著、ウォレン・ベニス・序文 vol.2570

【やった!待望の復刊!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212289

本日の一冊は、土井が復刊を心待ちにしていたリーダーシップの名著。

じつは土井は6年前、『成功読書術』という本のなかで、何冊か復刊の希望を込めて絶版本を紹介しているのですが、この『逆境を生き抜くリーダーシップ』(原題:PLAIN TALK)は、そのなかでも、もっとも復刊して欲しかった一冊なのです。

著者のケン・アイバーソンは、破産寸前だったニューコアを、全米第3位の鉄鋼メーカーに押し上げた中興の祖で、同社はその後も業績を伸ばし、現在、全米第2位の鉄鋼メーカーとなっています。

序文をあのウォーレン・ベニスが担当しており、「ケンこそ、私が描きつづけた理想のリーダー」と述べていることからも、彼がいかに傑出したリーダーかがわかるでしょう。

本書が出されたのは、1998年。

著者のケン・アイバーソンは、当時、まさに倒産寸前のニューコアを一人もレイオフせずに復活させ、その実績で、世界中から注目を浴びていました。本書は、そんな時期に書かれた1冊です。

当時、ニューコアには、いくつかの神話がありました。

・ニューコアの社員7000人は、鉄鋼業界で一番の高給取り。にもかかわらず、生産された鋼材一トン当たりの人件費は最低
・フォーチュン500社に名を連ねるが、本社勤務の社員はたった22人。CEOから工場労働者までマネジメントの階層はわずか4つ。
・過去25年、2人に1人が失業した構造不況業種にもかかわらず、レイオフなし、工場閉鎖なし。30年以上、すべての営業四半期において黒字決算を続けている
・固定的な時間給や給与は業界平均の66~75%にすぎず、残りの賃金は業績によって変動するリスク付きボーナス。だが結果的には業界最高水準の給与を支払っており、人材に不足したことがない

これだけでもずいぶん個性的で、力のある企業なのが伝わってくるのではないでしょうか。

本書を読んだのは、かれこれ7年以上も前ですが、経営者となった今読むと、「やっただけ報われる」同社の報酬体系の素晴らしさに目が釘付けとなります。

優れたリーダーシップのお手本として、ぜひ読みたい名著です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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偉大なリーダーは組織の人間に夢を与えるが、それは完成期日のある夢だ

よい指導者はよい追随者でもあらねばならない。リーダーとフォロワーにはいくつか共通する特徴がある。すなわち、耳を傾けること、力を合わせること、そして仲間とともに競争力を高める課題を達成することである

【以上、ウォレン・ベニスの序文】

われわれが何より大事にするのは、形式ばらないこと、思いやり、自由、敬意、平等、そしてありのままの事実だ。逆に許さないのは、駆け引き、独善、序列や地位への執着、従業員の当然の要求に対する無理解である

賃金の大幅カットに耐え、将来に不安をいだいて当然の社員たちが、仕事場を通りかかった経営者に近づいてきて笑いあったりするのはなぜか? 簡単だ。どの従業員も身の丈を超える犠牲を強いられはしなかったからだ

われわれは痛みを分かちあっただけでなく、痛みの大きな部分はトップの人間たちに割り振ったのだ。その年、のちに友人から見せてもらった記事に、フォーチュン500企業でもっとも低収入のCEOとして私の名が挙げられていたが、恥ずかしくはなかった

会社が長期にわたって競争していくためには、忠誠心とやる気のある従業員が欠かせない。だが、景気が悪くなるたびにレイオフをおこない、そのくせふところを肥やしつづける経営陣が、従業員の忠誠心とやる気を期待できるだろうか?

たとえ一度だけでも、薬物を摂取した状態で働いた者を許すには、製鋼所はあまりに危険な場所

平等主義の文化は従業員の意欲を保つ非常に実際的な方法

情報の共有という問題に関して選べる道は、じつはふたつしかない。従業員にすべてを伝えるか、何も伝えないかだ

会社の一部となれ。会社より自分を優先してはならない

テクノロジーへの投資は社員にまかせる

ちょっとした秘密を教えよう。人が懸命に働くのは、たいがいお金のためなのだ

大きな本社は無駄

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『逆境を生き抜くリーダーシップ』ケン・アイバーソン・著、ウォレン・ベニス・序文 海と月社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212289

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◆目次◆

序文(ウォレン・ベニス)
はじめに
1.「長期の」利益を全員の目標に
2.意思決定は現場にまかせろ
3.社員はすべて平等だ
4.進歩は従業員から生まれる
5.やる気を生む給料とは
6.小さいことはいいことだ
7.リスクをとれ!
8.「ビジネス」と「倫理」の関係
9.成功は「シンプル」の先に
エピローグ ビジネススクールへの提言

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