2011年5月21日

『サムスンの決定はなぜ世界一速いのか』吉川良三・著 vol.2495

【日本のメーカーがサムスンに勝てない理由】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047102822

本日の一冊は、いまや世界ナンバーワンの電機メーカーとなったサムスンの成功の理由を、サムスン電子の常務だった著者が語った一冊。

2010年の営業利益、約17兆3000億ウォン(1兆2800億円)。

この数字は、パナソニック、ソニー、東芝、日立製作所、富士通、NEC、三菱電機、シャープなど、日本の大手八社の合計よりも多い金額です。

一時は通貨危機の影響で苦しんだ韓国企業が、なぜ今日のような躍進を遂げられたのか。

その理由は、その商品開発の思想とプロセスにありました。

本書の第二章「サムスンはこうして世界を制した」を読めば、韓国企業がいかに現地のニーズに密着した商品開発をしているか、その実態がわかります。

日本のものづくりは偉くなり過ぎて、結果として消費者目線を忘れてしまったということが、痛感させられる内容です。

また、その消費者ニーズを汲み取るために同社が育成している「地域専門家」と、その育成プロセスも大いに参考になります。

なぜものづくり大国日本が韓国に敗北したのか、そろそろ反省の気持ちをもって学んでもいい頃ではないでしょうか。

ものづくりに携わる、すべての人に読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本がいまだに生産拠点としてしか見ていない新興国を「巨大市場」として考えなければならない

韓国は、新興国に工場をつくるだけではなく、それぞれの地域に拠点を築いていくことを始めていきました。新興国をただの工場として見ていくのではなく、市場として捉え、それぞれの地域の文化に合わせた”地域密着型のものづくり”をするようにシフトしていったのです

日本の首相がアメリカに行って、トヨタの自動車を買ってくださいと言えば、ニッサンやホンダに怒られますが、韓国ではそれがありません。韓国の大統領は世界中どこに行っても、「ヒュンダイをお願いします」と言えば、それで済むのです

もちろん、開発設計に関していえば、韓国のサムスンはまだまだ日本には及びません。しかし、いまの時代においてはすべての開発を自前でやる必要がなくなっていることを忘れてはいけません

品質にも”松竹梅”がある

氷が好きなベトナム人は冷蔵庫を”ものを凍らせる機械”だと捉えています。それも、洗面器ごと氷を入れて凍らせて、カチ割りにして食べることを大きな目的にしています。そういう国に冷蔵庫を売るのであれば、野菜室などが細かく分けられていたり、食品の新鮮保存機能などが充実している最新型のものよりも、製氷機に近いようなシンプルな冷蔵庫を売るのがいいわけです

ナノと日本の軽自動車、ダイハツのミラを比較すると、ミラが三気筒エンジンなのに対し、ナノは二気筒エンジンと単純化していますが、それ以外のスペックはそれほど大きくは変わりません

イスラム圏の国には一日五回の礼拝の時間があります。サムスンではなくLGの製品ですが、その時間になるとコーランが流れるテレビが爆発的に売れています

サムスンはテレビ市場で世界一位のシェアを獲得しました。この躍進を支えた戦略のひとつが、同じ大きさのテレビに関しても多種多様のデザインの製品を用意するようにしていることです。それがサムスンの「デザイン革命」です

グローバル化を推進し、世界各地のニーズをしっかりと把握するため目を見張るほどの活躍をしているのが「地域専門家」と呼ばれる人材です。彼らは、人材育成の拠点となる「人力開発院」で集中的な教育を受けたあと、実地研修として派遣先の国に約六か月から一年間滞在します

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『サムスンの決定はなぜ世界一速いのか』吉川良三・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047102822

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◆目次◆

序章 「意思決定の速さ」がなければ生き残れない時代
第一章 決定のスピードと情報管理でビジネスを制する!
第二章 サムスンはこうして世界を制した
第三章 危機におけるリーダーと組織の役割
第四章 グローバル時代の「ものづくり」
第五章 これから日本はどこへ向かうべきか

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