2010年11月3日

『ただ成功のためでなく』渡邉美樹・著 vol.2296

【挑戦する「理由」はあるか?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797359749

本日の一冊は、ワタミ株式会社の代表取締役会長・CEOとして、若い世代の支持を集めるカリスマ経営者、渡邉美樹さんによる一冊。

※毎度のことで恐縮ですが、渡邉さんの「邉」は、点が一つ少ない ものが正式です。ここでは「邉」で代用させていただきます。

2005年3月に刊行された『新たなる「挑戦」―夢をカタチにする時』を2010年9月現在の状況に合わせて改訂し、加筆したもので、最近の同社の取り組みと、その裏に隠された想いを活字にしたもの。

同社の事業を通じて、現在の日本が抱える問題を概観すると同時に、経営において理念がいかに重要か、教えてくれる内容になっています。

10歳の時に母を亡くし、その半年後に父が会社を清算。

運転手つきの車で出勤するほど裕福だった父が、質屋の時計を眺めていたのが悔しくて、社長になることを決意したという渡邉氏。

本書では、その野心がどうやって理念に変わっていったか、そして氏がどうやって飽くなき情熱を維持し続けているのか、その秘密を知ることができます。

現在の日本に閉塞感というものがあるとすれば、それは事業をやっている人間に「理念」や「夢」が失われているのが原因。

本書はその「理念」や「夢」を見つけるため、あるいは思い出すためのきっかけとなる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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外食素人の二四歳のオーナー店長にとって、店づくりのよりどころは、「もし自分がお客様だったら」というシンプルな考えでした

人は何のために生まれてきたのか。人は「ありがとうを集める」ために生まれてきた、と私は信じています。そして、その「プロセスの中で人間性を高めるために生まれてきた」と信じています

頑張らないで手にできる幸せなんて、あるのでしょうか。転がり込んできたような幸せは、本当の「幸せ」なのでしょうか

小学校五年生の時に、父が自分の会社を清算しました。母を亡くした半年後でした。「お金持ち」だった生活が一変しました。悔しくて、「将来、社長になる」という夢を決めました。「決意」と呼んでもいい夢でした。大学生の時に、「二四歳で社長になる」と初めて夢に日付を入れました

前を向いて戦っている時は恐怖心を持たないのに、後ろを向いて逃げた時、恐怖が自分を支配する。恐怖に支配されるようなやつが社長になれるわけがない

いつ死が訪れるか分からないから、一日一日の「人生」はきっちりと完結させたい。そう思っています

過去、上海の「和民」は訪問するたびに失望させられたものです。「商品の均一性なし、サービス心なし、清潔感ゼロ」ところが、上海万博の二週間前に訪問した際には、店はまるで見違えるように変わっていました。皆きびきびと働き、笑顔で対応し、商品も安定、店内の清潔感もありました。翌日の全体会議で「なぜこんなに変わったのか」と聞くと、「理念を知ったからです」と女性店長が答えました

有機農産物を低価格で提供しつつ利益を出すためには、これ以外にもう一つ欠かせない条件があります。それは、野菜を「使う側」の理解と協力です。例えば大根なら、市場に流通している標準的な大きさは一キロです。ワタミファームでは一・二キロまで育ててから収穫します。味は変わりません。慣行栽培の大根を仮に一本一〇〇円とするなら、ワタミの有機野菜は一一〇円。値段は高くても、同じ重量当たりの単価は有機でも変わりません

子供が夢を持てるかどうかは、本人の「枯渇感」が影響すると思います

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは艱難を共にして、国家の大業は成し得られぬなり」(西郷隆盛)

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『ただ成功のためでなく』渡邉美樹・著 ソフトバンククリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797359749

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◆目次◆

第1章 自分を磨くために働く
第2章 成長角度を最大化する
第3章 仕事の要を知る
第4章 どこまでも真摯であれ
第5章 とことん自分を大切にしなさい

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