2010年8月23日

『BUZZ革命』井上理・著 vol.2224

【BUZZマーケティングの最先端】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163729909

ユーザーが1000万人規模となり、すっかり一大メディアとなったツイッターですが、企業にとっての関心事は、ここでどう話題を作るか。

その点で、参考になる本が発売されるので、いち早くご紹介します。

本日の一冊は、「日経ビジネスオンライン」の記者であり、BBMでも紹介した『任天堂』の著者、井上理さんによる注目の新刊。

※参考:『任天堂』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314631

ツイッターを積極活用して話題となっている孫正義や、カトキチ(テーブルマーク)、軟式アカウントとして知られる「ゼビオたん」「すき家たん」、有名アーティストの倖田來未など、仕掛け人たちのツイッター活用法と、バズ(口コミ)マーケティングで成功している企業事例を、ふんだんに盛り込んだケーススタディ集です。

個人的に衝撃だったのは、携帯電話向けゲーム「コロプラ」がリアルと連動して商品を売りまくっているという事実。

この手法は今後、いろんなところで使えそうな気がしています。

また、ついに始まったツイッターのつぶやき広告の話など、今後のマーケティングに役立ちそうな話題が満載。

正直、本の文脈上不必要だと思われるグリーの起業物語が、一番読み応えがありました。

ネットを舞台に、ますます活性化するバズマーケティング。

その最新動向をキャッチアップしたい方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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既存のマスメディアではなく、自前のメディアを通じたコミュニケーションこそが消費者とのエンゲージメント(絆)を強くする近道だと考える企業が増えている

「孫社長さん!はじめまして。☆提案したい☆ソフトバンク会社見学+おいしい社員食堂DEランチ付ツアー」(中略)
「青野君、やろう。月曜迄にコメントおねがいします」この企画は、実際に3月28日、ツイッターで応募があった約1万7000件から選ばれた約1000組、1300人が本社に招待される形で実現する。25階の社員食堂で食事を振る舞い、ツイッターでの奔放な発言で人気のハマコーこと浜田幸一や、同じくツイッターで人気が再浮上した広瀬香美
らをゲストに招いて特別イベントも開催した

2010年1月13日午前7時前(日本時間)、カリブ海に浮かぶ遠い島国のハイチで起きたマグニチュード7.0規模の大地震の様子を、ツイッターはどのメディアよりも早く、克明に報じ続けた

「そらの」というハンドルネームで活躍する、佐藤綾香(中略)佐藤はツイッターを通じて最も有名となった市民記者と言っても過言ではない

2010年7月7日から11日までの期間限定で、ユーストリームに専門チャンネルを開設したのは人気アーティストの倖田來未。チャンネルの開設日に発売されたばかりのニューシングル「Gossip Candy」ほか、過去のプロモーションビデオ(PV)やライヴ映像などが、5日間24時間、テレビのように流れ続けた

「フォローしました!」とくれば「ありカトキチ」と返し、検索で「カトキチなう」を拾えば「Yesカトキチなういただきました」と返し、「美味しいです」と褒められれば「おそれいりこだし」と返し、「他社だけど、うどんなう」と言われれば「麺類皆兄弟」と返す日々。カトキチとつぶやけば、企業の「中の人」が反応してくれる。褒めれば喜んでくれる。それが楽しくてユーザーはカトキチの名をつぶやき、いつしか「カトキチなう」は流行語と化していった

プロモーテッド・ツイートでは「共鳴スコア」という独自指標に基づいて、露出させるかどうかが決められる。共鳴スコアとは、どれだけのユーザーがつぶやき広告内のリンクをクリックしたか、あるいは、どれだけのユーザーがリツイートしてくれたかなど9つの評価軸によって決まるという。つまり、ユーザーが有益だと認めた広告は生き残り、そうでないものは淘汰されるのだ

衰退する有田のしん窯に、お客とカネを運んだのは、“メディア”の力である。だがそれは、テレビでも、新聞でも、雑誌でもない。グーグルでも、ヤフーでもない。携帯電話のゲームである。コロプラという50人ほどのベンチャーが運営する「コロニーな生活☆PLUS(コロプラ)」という携帯電話向けゲームがある。しん窯を訪れたツアー客は全員、このゲームの熱心なユーザーだ(中略)買い物の額に対応したコロカをもらうと、ツアー客は嬉しそうにケータイをいじり始めた。カードの裏面に書かれたパスワードを入力すれば、「有田焼・しん窯青花」というレア土産を、ゲーム内で購入できるからだ

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『BUZZ革命』井上理・著 文藝春秋
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◆目次◆

プロローグ カオスのメディア、カオスの広告
第1章 究極の「中抜き」メディア
第2章 ビジネスチャンスを探る先駆者たち
第3章 SNSの巨人・グリーはなぜのし上がれたのか
第4章 勃興するBUZZメディア
第5章 BUZZをつかまえた広告主
第6章 抗うオールドメディア
エピローグ 変化を拒んだものが勝つのか、楽しんだものが勝つのか

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