2010年5月4日

『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』奥村佳史・著vol.2113

【法人税で会計センスを磨く?】
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以前、ベストセラーになった『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』。

※参考:『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』

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ビジネス書ブームや会計書ブームなど、背景にはいろんな理由があると思いますが、土井は、サラリーマンの経営者に対する不信感や嫉妬心などが、裏にあると読んでいます。

つまり、社長は何かずるいことをしているのだが、それが何であるか自分にはよくわからない。そんな心理状態です。

しかしながら、経営者になってわかるのは、税金を給与から天引きされているサラリーマンと、何千万円、何億円と税金を持っていかれる社長とでは、自ずと意識がかわってくるということ。

意識の壁を乗り越えるのは、なかなか簡単ではないのです。

本日ご紹介する一冊は、この意識の壁を取り払うため、「法人税」に目をつけた、ユニークな切り口の会計読み物。

なぜ会社が資金繰りで困るのか、交際費等の損金算入額はどうやって決まるのか、どんな法人を作れば税金上有利になるのかなど、条文や計算式、著者の経験、エピソードなども交えながら語られており、じつにためになる読み物です。

社長が経理の苦労を理解するという意味で、ぜひ読んでおきたい内容。

将来独立する人は、どこまでが経費として認められるか、といった情報を事前にキャッチする意味で、ぜひ読んでみましょう。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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会社のお金に関することは、ほとんどすべてが法人税と関係しています。ですから、法人税を理解すれば会社のお金の仕組みがわかります。会社で定められている細かなルールの意義もわかるようになります

税理士が手品師のように税金の負担を軽くしてくれることなどない

公益法人等については、その本業である活動でお金が儲かったとしても法人税はかかりませんが、所有地でコインパーキングを営むなどの収益事業を行なう場合に限って納税義務があると規定されています

法人税がかからない国に会社を設立して日本でビジネスをしても、日本の法人税の負担から逃れることはできません

国税庁長官が公表している通達によれば、営業者が匿名組合員に対して分配する利益は、営業者の法人税の計算において経費として認める

不動産や機械などは、購入すると会社の持っている固定資産とされます。つまり、会計上は会社の資産として扱われるため、これらを購入してもそれに支出した金額は費用とはみなされません。費用でなければ利益を減らすことはありません。その一方で、資金は会社から出ていきます。ですので、利益は計上されているのに、資金は全然足りないという状況がいっそう際立つ

利益と資金繰りとのギャップを埋めるためには、増資による資金調達か、借り入れしか方法がありません

「交際費等の損金不算入額」は税法が未来永劫損金として認めてくれない費用であり、会社としてはこれのために余分にかかる法人税は払いっきりであきらめるしかありません。このような項目は、「社外流出」として扱われます

棚卸資産を購入する時に発生する付随費用としては、残留農薬などをチェックするコストのほかに、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、保管費などがかかります。これらの支出は、払ったときの損金にするのではなく、いったんは仕入の金額に含めなくてはならない

食べても安全な冷凍餃子かどうかをチェックするための費用のように、棚卸資産取得後に会社内で発生する間接付随費用については、その額が棚卸資産の購入対価の3%以内である場合には、取得原価に算入しないことが認められています

会社が扱っている商品を役員に安く販売した場合、安くした分の金額は役員への給与として取り扱われます。例えば、自動車販売会社が、通常600万円で販売している乗用車を、役員に対して50万円で販売した場合、差額の550万円は役員への給与として取り扱われます。
この場合も、3種類の役員給与に該当しませんから、損金算入されません

使途秘匿金については、損金算入が認められません。しかも、当該使途秘匿金の支出額に40%を掛けた額の法人税が、追加徴税されます

私がもっとも有効であると考える節税対策は、自己株式買取を利用する方法です

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『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』
光文社 奥村佳史・著

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◆目次◆

第1章 会社を宗教法人にすれば税金を払わなくて済む?
第2章 たくあんで法人税を納めることができたなら
第3章 赤字でも法人税
第4章 みずほ銀行はなぜ法人税を払わないのか?
第5章 投資会社社員は電話が怖い?
第6章 決算日、肺が凍りそうです
第7章 リゾート施設を買ったなら
第8章 名ばかり管理職の次は、名ばかり役員
第9章 夜のクラブ活動費
第10章 取引先が倒産したら
第11章 株価が半値に下がったら
第12章 収益物件に買い換えましょう
第13章 新聞記事にならないように

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