2010年5月24日

『文章がうまくなるコピーライターの読書術』鈴木康之・著vol.2133

【この読み方で文章がうまくなる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532195411

最近、ビジネス書作家の指導をしていて思うのは、書きたい人に限って、「読書が足りない」ということ。

ここで言う「読書が足りない」というのは、読書量のことではありません。読みの「深さ」です。

書き手は、どんな思いで、どんな状況、立場でこの言葉をつづったのか、どんな時代背景からこんな主張が生まれたのか、書かれていないことまでイメージを働かせて読むのが、本来の読書です。

そこまでするから洞察力が磨かれ、人間理解が生まれ、思いやりが生まれる。

逆に言えば、これらの要素が磨かれていないなら、読書をしている意味がないということです。

書き手として成功したいなら、洞察力や人間理解、思いやりは必須。

本日ご紹介する一冊は、優れたコピーライターがこれらの要素を磨くための読書術を教えてくれる一冊です。

「土曜のイヴは六年来ない。」「北風と太陽」などの名コピーを解説し、読書力を鍛えるための『源氏物語』『ハムレット』翻訳の比べ読みを提案。

これ一冊で書き手としての読書力が磨けるように、工夫しています。

具体的な読み方のテクニックも紹介しており、個人的には「口出し読み」「はめ替え読み」のトレーニングが参考になりました。

良い書き手になるには、書き手としての読書が必須。

本書はそのツボとテクニック、そして感受性を養う方法を教えてくれる、そんな一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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書き手はゆっくりじっくり考え、思い入れ深く、意味深く、書いています。そういう書き手と対等につきあうのが読書です

◆積水ハウス 土曜のイヴは六年来ない。のコピーについて
・「自慢の城を持てた」のだからそう書きたい。しかし「自慢の」という語は一度たりとも使っていません
・ふつうなら「ぜひお越しください」と書くご招待のモチベーションを、せっかくのカレンダーの心配りです。と書くセンス

あらゆる文章は手紙であるべき

広告コピーも、企画書も、その他の文章すべて、読者は単独です。
手紙のように読みます。ですから、岩崎さんたちのような、いまいちばんのコピーライターたちは、すべてを手紙のように書くのです

ビギナーは、こういういいコピー作品に出くわした時、その幸運を無駄にしないためには「写経」がいちばんいい勉強法です

推理小説の結末と伏線のように、いい文章には、いいメッセージ・テーマとそのための仕掛けがあります

調べることが読書になります

読書は物事の意味や人間の不思議を知ることです。そして文章を正しく、上手く、面白く書くための知力と体力づくりです

この書き出しで、こんな書き出しで、この書き手は、私をどんな話の世界へ連れていこうというのだろう。こういう期待を抱かせるのが、文章の書き出しです

急テンポで話に入る場合はこのように改行、句読点打ち、短文がオーソドックスな手法

言葉はもちろん、面白いレトリックなどは、公のものです。
それを使ってさらなる面白いものを書けばいい。面白く書いた者勝ちです

擬人化法は文章を楽しくし、テーマを親しみやすくします。ビジネス文書でも、ちょっと軽い擬人化をしてみると、読んでもらいやすくなります。その企画や製品・技術に対する書き手の自信や愛着が伝わりやすくなります

岩満さんが赤貝を「彼」と呼んだこともカビ博士がカビを「この子」と呼んだことも、好きだから対象を丹念に見つめ、調べ、心をこめたつきあいから自然に生まれたレトリックです。読書にも、書くことにも、対象に対する真摯な構え方がだいじです

「コピーライターが文学の読書以上につねに心がけて読まなければならないのは人間読書、社会読書だよ」(故・赤井恒和氏)

文章を書くことは読む人とのゲームです。読む人は書いた人の思いと違った読み方をします。ですから、書くということは、書いたものを、読む人の目で読むことでもあります

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『文章がうまくなるコピーライターの読書術』日本経済新聞出版社 鈴木康之・著

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532195411

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◆目次◆

第1部 コピーライターは手紙のつもりで書いている
第2部 コピーライターはこう書き、こう読む
第3部 書き出しは読み出しである
第4部 面白くなければ読んでもらえない
第5部 書物も読者も小宇宙飛行である
第6部 読書家の夢は比べ読みの長旅である
第7部 好きならばこそ見つめ、調べ、読み、書く
第8部 読み書きトレーニング自由参加型読書のすすめ

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