2010年4月3日

『アジア投資で稼ぐ必勝法』此下竜矢・著vol.2083

【アジア株で勝つ投資哲学とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047318183

「経営者になったら株は絶対にやらない」と誓ってはや6年。

最近は、マーケットの情勢に敏感になるために、少額でもいいからやっておくべきでは、との考え方に変わっています。

ということで、ひさびさにアジア投資を始めることにしました。

具体的にどこに投資するかは内緒ですが、まずは基本から、ということで、本日の一冊を熟読。

著者は、APF(アジアパートナーシップファンド)というところのファンドマネジャーで、日本とタイに上場する2つの会社のCEOを務める人物です。

最初は、表紙の印象で、テクニカルな内容を書いた本だと思っていたのですが、意外や意外。

堅実な投資哲学と、アジア経済の生の姿が伝わってくる、じつに誠実な読み物でした。

土井はこのAPFを詳しく知らないため、サービスにまではコメントできませんが、投資哲学だけを取った場合、堅実な考え方で共感できます。

アジアという成長著しいマーケットを相手にしながら、著者が信奉するのは、バリュー投資の考え方。

現在価値を重視し、未来価値を過大視しない。さらにはショックで安くなったときに買うという、極めて現実的な投資法です。

ほかにも、ITに投資しない、ギャンブルもどきの投資には手を染めないといった、ある意味面白みのない考え方ですが、それゆえに信頼できる考え方です。

著者いわく、「一寸先は闇というように、未来は誰にも正確に予想できるものではありません。ですから、できるだけ確かな、変わりにくいものを根本にすえて予想することが大切」。

人口や歴史をもとにアジアの未来を見通す著者の手腕は、いたずらに恐怖や期待をあおる著者と違い、現実感があります。

これだけ読んでアジア投資ができるわけではありませんが、著者の考える投資哲学と、アジアの今後を読むだけでも、価値があります。

アジア株投資を考える人は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆アジア経済が成長する5つの理由
1.人口の増加
2.都市への人口流入
3.「草の根経済」の成長
4.アジア地域内流通網の整備
5.自由貿易圏の進展

一つの国の経済成長は労働力人口の増加、生産性の向上、生産に関わる資本の増大の3つによってもたらされます

人口は明確に将来が予測できる数少ないデータ

いまから20年後くらいまでの新規労働力の増加は、現在の出生数から予測できる

注目すべきは、アジアの人口は増加しているだけでなく、地方から都市へ流入しているということです。そして、都市に流入した人たちは、より大きな生産力、より大きな消費力を持つようになっていくのです

信じられないかもしれませんが、1969年には「5日に1度はシャンプーを」という新聞広告がありました

◆経済成長が起こる3つの要因
1.人口が増加するなどで、生産を担う者が増える
2.技術革新などで、労働力単位あたりの生産性が向上する
3.さまざまな投資によって社会インフラが整備されるなどして、
  生産のための資本が増大する

投資で儲ける方法は二つしかありません。「安く売って、高く売る=キャピタルゲイン」「配当や利子など収入を得る=インカムゲイン」です。いずれの場合でも重要なのは、「本来の価値よりも安い価格で買うこと」です

ものの「価値」と「価格」は必ずズレます。「価格」は「価値」の回りを常に揺れ動いているのです。そして、これが「儲け」の源

実は、リスクというのは2つの要素に分かれています。1つはそのリスクが起こる「確率」、もう1つはそのリスクが起こったときの「損失の大きさ」です。そして、実際の投資で避けたいのは、大きな金額の損失です

一寸先は闇というように、未来は誰にも正確に予想できるものではありません。ですから、できるだけ確かな、変わりにくいものを根本にすえて予想することが大切

商品先物やFXは、まさに短期的な価格の上下そのものに投資するものにしかなりえません。一方、株式市場は長期的な展望が可能です

ITの未来は明るいとしても、フラットディスプレーの技術がすごいとしても、5年後にその企業の持つ技術が最高でしょうか

把握し切れていない対象への投資は、絶対に長期で保有しないこと

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『アジア投資で稼ぐ必勝法』角川SSコミュニケーションズ 此下竜矢・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047318183

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◆目次◆

第1章 21世紀、アジアはなぜ有望なのか
    ─通貨危機はチャンスだった
第2章 「三現主義」と「ローリスク・ハイリターン投資」
第3章 1つにつながる4つのアジア
第4章 伸びるアジアで儲けるためには
終章 投資対象の本来価値を見極めるには

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