2009年12月18日

『異業種競争戦略』内田和成・著 vol.1978

【プラットフォームを制する方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314828

『フリー』、『新・プラットフォーム思考』と来たら、次に読むべき一冊は、間違いなくこれ。

「ビジネスモデル構築3点セット」の最後を飾るのは、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんが書いた、『異業種競争戦略』です。

※参考:『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』
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※参考:『新・プラットフォーム思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023304778/

最近は、セブン-イレブンやイオンが銀行をやったり、コンピューター・メーカーのアップルがネット上で音楽配信を始めたり、さまざまな業界で、異業種からの参入が相次いでいます。

著者はこれを「異業種格闘技」と名付け、本書で異業種格闘技時代の競争戦略について述べているのです。

では、この「異業種格闘技」の本質とは何か。

著者はこれをひと言でこう言い表わしています。

「ビジネスモデルとビジネスモデルの戦い」

かつて「業界」というものが信じられていた時代には、すべての企業が同じビジネスモデルで戦い、どれだけ努力するか、工夫するかで競争優位性が決まっていました。

しかし、異業種格闘技時代には、ビジネスモデル自体が違う企業同士が戦うことになる。

ここで求められるのは、どこでオセロをひっくり返すかという、ビジネスモデル構築のセンスです。

本書では、このビジネスモデル構築のヒントや、異業種格闘技時代の戦い方、どこから競合が出てくるのかを予想するヒントなど、さまざまな競争上のヒントが示されています。

これからの時代、競争優位性は経営者のアタマが作る。

勉強しない人には、チャンスのない時代が到来する、ということです。

気がついたら時代遅れのビジネスモデル、とならないよう、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ひょっとしたら、10年後にトヨタがパナソニックと電気自動車で戦うといった、これまでなら考えられなかった競争が起きているかもしれません

異業種格闘技とは、
1.異なる事業構造を持つ企業が
2.異なるルールで
3.同じ顧客や市場を奪い合う競争である

アップルはもともとコンピューター・メーカーですが、いまではアイチューンズ・ストアという、ネット上の楽曲販売も自ら手がけています。結果、アイチューンズ・ストアのシェアを増してくると、アップルが価格支配権を持つようになります。そうすると、どんどん楽曲は売れるけれども、儲かるのはアップルばかりになります

アプリケーション・ソフトがおまけの会社と、アプリケーション・ソフトの販売が目的の会社とで戦い方が違ってくるのは当然

携帯電話のカメラは、純粋にデジタルカメラに置き換わるというよりは、「メモ代わりに写真を撮る」といった、これまでのカメラにはなかった使い方を生み出した

◆変化をとらえる5つの視点
1.置き換え 2.省略 3.束ねる 4.選択肢の広がり 5.追加

◆ビジネスモデルの3要素
1.顧客に提供する価値
2.儲けの仕組み
3.競争優位性の持続

競争相手の儲けの仕組みをきちんと把握しておくことは、戦いに勝つうえで非常に大事なポイント

「顧客が何に価値を感じているか」「それは、どのように提供されているか」が大きなカギ

1.顧客に「同じ価値」を「同じ手段」で提供する
2.顧客に「同じ価値」を「異なる手段」で提供する
3.顧客に「異なる価値」を提供する

テレビとテレビゲームは「時間を奪い合う競争」をしている

顧客起点で潜在ニーズに目をつける

異なる手段を用いることで、どんな価値を付加できるか

◆儲ける仕組みの4類型
1.トールゲート(料金所)
2.イネーブラー(撒き餌)
3.エンラージメント(周辺分野へ広げる)
4.ブロックプレイ(敵のトールゲートを無力化)

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『異業種競争戦略』日本経済新聞出版社 内田和成・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314828
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◆目次◆
第1章 いま何が起きているのか
第2章 なぜ異業種格闘技が頻発しているのか
第3章 事業連鎖─異業種格闘技を読み解くカギ
第4章 どんな戦い方があるか
第5章 事業連鎖を描く─異業種競争戦略I
第6章 ルールをつくれ─異業種競争戦略II
第7章 革命を起こせ─求められるリーダーシップ

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