2009年12月3日

『「自分ごと」だと人は動く』博報堂DYグループエンゲージメント研究会・著 vol.1963

【誰もが興味あること。それは…】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478008728

人間、誰しも自分に関心を持ってほしい。

そこで、あの手この手でPR活動を展開するわけですが、「私を見て」というアプローチは、往々にしてうまく行きません。

まして、あなたが無名であれば、なおさらです。

では、まったく無名の時に、人に関心を持ってもらうには、一体どうすればいいのでしょうか?

じつはこれは、一見難しそうでさほど難しくはありません。

なぜなら人間は、他人に興味があるかどうかはさておき、自分には必ずといっていいほど興味があるからです。

つまり、人間は「自分ごと」だと思った瞬間に、物事に興味を持つ。

この性質を利用すれば、情報過多の時代であっても、マーケティングで成功を収めることができるのです。

本日ご紹介するのは、博報堂DYグループエンゲージメント研究会がまとめた本で、「情報がスルーされる時代のマーケティング」を論じた一冊。

企業事例も盛り込みながら、いかにして企業の商品やサービスを顧客にとっての「自分ごと」に変えていくか、そのヒントが示されています。

登場する企業事例は、渋谷の街を「自分ごと」に変える活動を展開し、注目されている「シブヤ大学」や、社員を引越しに巻き込み、プロジェクト化してしまったコーセー、幼稚園2000園の子どもたちが参加し、販売促進に成功したハンドソープ「キレイキレイ」など。

まだまだ成功例や具体的メソッドに乏しい気はしますが、この「自分ごと」というコンセプトと、その周辺にあるマーケティングメソッドの開発は、今後、面白い展開を示しそうです。

情報過多時代のマーケィングのヒントとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世に溢れる膨大な情報は、意識的にやり過ごしながら生きていかなければ生活は送れません。意識的に「関係しない」ことで、自分を守っているのです

実はつい最近まで、私たちは情報をスルーする手段をそれほどは持っていなかった

単独世帯、つまり一人暮らしが数の上では標準世帯を追い抜いてしまっているのが今日の日本です

人と比較すること自体がちょっとナンセンス。幸せを測るための「物差し」が消えつつある。それがいまのニッポンなのです

世の中の標準や物差しがなくなるとは、私たちの生活が細分化、あるいは孤立化されていることにほかなりません

20世紀は多くのカリスマを生み出しました。マスメディアによって情報を上手に管理し、発信者にとって必要だと思われる情報だけを流すことで、多くのカリスマがつくり出されていった

メディア環境のデジタル化は、情報を大量に、あるいはそのまま「ストック」することを可能にしました

地方の小さなお店のお菓子が、いつの間に全国レベルの有名店になる現象などは、情報の流れが単純な一方通行ではなくなったことの証明

とてもすべてを見ることのできない情報の海の中でとる行動は、情報を選別すること

これからのブランディングは、企業がつくり出す渦と生活社がつくり出す渦が共振・共鳴するムーブメントのこと

人間が「タグ」の集合になった

もはや「お茶の間」のように効率よくメッセージを届けられる場所はありません。一人ひとりの生活者を丹念に追いかけ、待ち受けなければならない

「自分ごと」になれば、情報は「シェア」される

「何を、どう伝えるか」=届ける、ではなくて、「何を伝えれば、動いてくれるのか?」=受け取ってもらう+その次の行動、までをプランニングする

関係をつくるためには、形容詞的なメッセージよりも、動詞的なメッセージの方がどうやらベター

伝えたいことをきれいにまとめよう、なんて考えてはいけません。完全ではない、突っ込みどころが目立つ情報の方がいいのです

◆「自分ごと」のプロセス
ステップ1:「エンゲージメント・テーマ」を発見する
ステップ2:スルーされないように突っ込みどころあるメッセージを用意
ステップ3:「エンゲージメント・テーマ」を「装置」の上で体験
ステップ4:生活者に「自分ごと」が起こり……
ステップ5:生活者の間に「自分ごと」の共有/シェアが始まり、連鎖

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『「自分ごと」だと人は動く』ダイヤモンド社 博報堂DYグループエンゲージメント研究会・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478008728
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◆目次◆
第1章 細分化する社会
第2章 タグ化する個人──人間とは「タグ」の集合である
第3章 99%の情報がスルーされる!?
第4章 コミュニケーションは「自分ごと」で成功する
第5章 「自分ごと」は社会を動かす
第6章 社会の主導権は誰が握るのか?

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