2009年11月26日

『大人げない大人になれ!』成毛眞・著 vol.1956

【成毛さん、これは傑作ですね】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012245

本日の一冊は、自動車部品メーカー、アスキーを経て、マイクロソフト日本法人の社長として活躍した成毛眞さんが、「平均から逸脱する方法」を説いた一冊。

『大人げない大人になれ!』というタイトルは、「自分の大人げなさに正直になることができれば、自然と平均からは逸脱する」という氏の信念を表したものです。

本書では、著者が会った初日、ハンバーガーを食べながら廊下に寝ていたビル・ゲイツの話や、ノーベル物理学賞受賞者のリチャード・ファインマンの話、マイクロソフトの伝説のプログラマー稲川幸則がフェラーリ米国支社を丸ごと買った話など、「大人げない」偉人の例がいくつも紹介され、なぜ大人げないことが大切なのか、その本質が説かれています。

企業について論じた部分でも、かつて「エスパー研究室」で真剣に超能力を研究していたソニーや、訴訟を抱えるユーチューブを買収したグーグル、『社員をサーフィンに行かせよう』で話題となったパタゴニアなど、じつにユニークな例がいくつも登場します。

個人的に、胸に刺さったのは、「若者がラーメン屋やブティックを一軒だけ経営し始めたところで、ベンチャーとは呼ばない。ベンチャービジネスとは、権力や権威に反抗し、他人が無視しているようなものに己の人生を賭けることである」というくだり。

起業して5年経った今、土井もいつの間にかそんなスピリッツを失っていたのではないか、と思わされる、鋭いメッセージでした。

かつて大人げなかった大人たちも、やがて仕事をしているうちに大人になっていく。

本書では、そこに警鐘を鳴らし、いつまでも大人げない、子どものままでいるための秘訣が書かれています。

いつまでもクリエイティブであるために、また新鮮な気持ちで仕事を楽しむために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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創造性とは、どれだけ平均的な発想から逸脱できるかということである

安定した会社、入社するだけで幸せになれそうだ、などといった理由で、入社を希望するような人たちの集まる会社・業界では、今後の成長は望まれない

「ユーチューブ」は、言わずとしれた世界最大の動画共有サイトだ。2006年10月にグーグルがこのサイトの買収を決定した時点で、すでに世界最多のアクセス数を誇る動画サイトであった。そして同時に、このサイトは、最多の被訴訟件数を抱える動画サイトでもあったはずだ

その昔、ソニーには、エスパー研究室という超能力を大真面目に研究する組織があったのをご存じだろうか

権力を持った人の考えは、完璧な独裁者でもない限り、民主主義の論理に沿って部分最適に向かうからである。乱暴に言えば、自らの地位を守るために自然と大衆に迎合していくのだ

若者がラーメン屋やブティックを一軒だけ経営し始めたところで、ベンチャーとは呼ばない。ベンチャービジネスとは、権力や権威に反抗し、他人が無視しているようなものに己の人生を賭けることである

否定的な考えを持つためには、物事に対して「なぜ」と問い続けることが必要

自らの無知から自然と涌いてくる疑問に従えば、常識とはまた違った答えに到達できることがある

自分のことを売り込みたいのであれば、やはり自己中心的でなければいけないと思う。相手を褒めて媚びるのではなく、相手に自分を褒めさせることを目指さなければならないのだ

組織に新たな変革が求められる際には、多少の不満や反論は押しのけていくことも必要である。結果さえ見えれば、そうした不満はすぐに消える。そうすることで、すべての力を一つの方向に振り向けることが可能になるのだ。その核となるものには、小手先の論理や利害には揺るがない確固とした理不尽さが求められるのである

年をとっても保守的にならないようにするためにはどうすればよいか。処方箋があるとすれば、それは思い切って一貫性を犠牲にしてしまうことである

私は、若い人たちがする事や、そのやり方にはいちいち異論を挟まないタイプの人間だが、一つだけやめてほしいことがある。それが「目標を持つこと」である

マイクロソフトが多くの人を怒らせた理由は、「すべての机と家庭にコンピュータを」という途方もない夢を抱えていたからである

極端なお金の使い方をする

個人でも会社でも、最も効果的なマーケティングの手法は、神話をつくることである

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『大人げない大人になれ!』ダイヤモンド社 成毛眞・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012245
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◆目次◆
Chapter1 大人げなさが求められる時代がきた
Chapter2 大人げないとはどういうことか
Chapter3 やりたいようにやればいい
Chapter4 大人げなく楽しく生きる方法 実践編
Chapter5 大人げなさを取り戻すための本棚

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