2009年7月20日

『世界不況を生き抜く新・企業戦略』門倉貴史・著 vol.1827

【こんなにある!新興企業のビジネスチャンス】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732857

本日の一冊は、日本国内の消費がすっかり冷え込んでいる今日、いっそ海外に目を向けようと、エコノミストが提言したもの。

著者いわく、「日本のように人口が減少を続ける国では、どうあがいても国内マーケットが中長期で縮小するのは避けられない」。

だから海外に行って外需を開拓しましょう、というのが趣旨なのですが、それだけだと、「日本企業はグローバリゼーションで失敗したじゃないか」と反論を食らうだけ。

著者が述べているのは、あくまで米国偏重の貿易・投資関係を改めて、中長期で成長が見込めるマーケットに目を向けよう、ということです。

もともとエマージングマーケットの情報に詳しい著者だけに、本書には世界各国におけるさまざまなビジネスチャンスと、それに対する日本企業の取り組みが書かれています。

中国、ベトナム、インドネシア、インド、ブラジル、そしてアフリカ諸国…。

これから伸びる市場はどこなのか。サブプライムでも影響を受けなかった国はどこか。

ひたすら事実が書かれているので、読んでいてじつに商売の参考になります。

いつまでの不況気分を引きずっていないで、さっさと次のビジネスチャンスに目を向ける。

そんな気分になったら、ぜひ読んで欲しい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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新日本製鉄は中長期で需要の拡大が見込める有力新興国市場については、むしろ今回の世界同時不況を千載一遇のチャンスとしてとらえ、グローバル戦略を加速させる方針をとっている

世界の携帯電話市場は世界同時不況になってからも拡大基調が続いており、08年末時点の携帯電話加入者数は前年比24.1%増の41億人に達した

ヤクルト本社は2008年4月からベトナムの商業都市ホーチミン市で、本格的に「ヤクルト」の生産・販売を開始した

住友化学はアフリカで蚊を寄せ付けない防虫蚊帳のビジネスを積極的に展開

農業も製造業と同じように輸出に活路を見出せば、わざわざ政府が保護をしなくても十分に生き残れると考えている

◆有望な消費マーケットを見極める方法
1.人口規模の大きさ
2.将来の長い期間にわたって人口の増加が続くかどうか
3.経済発展の成果によって1人あたりの国内総生産(GDP)が
一定のレベルに達しているかどうか
4.経済成長に伴って購買力や購買意欲を持つ中産階級以上に属す
る人たちがすでに台頭しているか
5.新聞や雑誌、テレビといったメディアが社会に広く普及してい
るかどうか

上海復旦大学とHSBC銀行が共同で実施した調査によると、中国本土の中産階級の数は06年時点で約3500万人に上る。この調査における中産階級の定義は年収が7500ドルから2万5000ドルとなっている

ASEAN10カ国の中では、ベトナムとインドネシアの消費マーケットがとくに有望

インドネシアの総人口は50年には2億8810万人と3億人近くにまで膨らむ見込み

高速鉄道の分野では、06年に「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」が掲げられた

2007年9月にはロシア政府が30年を目標として極東のウラジオストクと首都モスクワを結ぶシベリア鉄道(約9300キロメートル)の近代化を進める計画を打ち出した

マーケットシェア重視の戦略で成功を収めたのがサントリーである。サントリーは上海市に特化するかたちで中国市場に進出・販売活動を行っている

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『世界不況を生き抜く新・企業戦略』朝日新聞出版 門倉貴史・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732857
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◆目次◆
はじめに 自国の内需拡大にこだわると日本経済は衰退する
第1章 「新グローバル戦略」の必要性
第2章 攻め込む消費マーケットとして、どこが有望か
第3章 高速鉄道ルネサンスで世界制覇
第4章 レアメタルの宝庫、アフリカ諸国を狙え
第5章 韓国企業の「成功」に学ぼう
第6章 日本企業がリードできる新分野は何か
おわりに 「アニマルスピリッツ」を発揮して、新・グローバル戦略を強化せよ

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