2009年7月7日

『ラブホテル経営戦略』 山内和美・著 vol.1814

【ラブホに学ぶ、ビジネスのヒント】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4784826556

本日の一冊は、BBMで紹介して良いものかどうか、大変迷ったのですが、じつに良く作り込まれているということ、また徹底した顧客視点がビジネスに役立つということで、思い切って紹介することにしました。

ズバリ、ラブホテル経営に関する本です。

著者は、全国で初めてラブホテル・ポータルマッチングサイトを始動したという、株式会社ハート・トラストウィンの代表、山内和美さん。

女性ながら、数々のラブホテル経営に携わり、成功に導いてきた、この業界の第一人者のようです。

本書を読んで気づくのは、ラブホテル経営には、ビジネスを向上させるさまざまなヒントが含まれている、ということ。

たとえば、1日1組が当たり前と思っているサービスを何度も回転させることによって、売上げが上がるという点。

これはレンタルビジネスの発想にもつながります。

また、時間単位で料金を変更することで、インフレに強い体質ができあがるという点や、現金商売であるという点、さらに「秘密」や「安心」を重要視することでリピートが増える点など、既存ビジネスに応用できる考え方が満載です。

他方、人の採用・管理が難しい、事故が多い、リノベーションに頼ると設備投資の回収が難しいなど、問題点もたくさん見えてきます。

これから起業する人にとっては、本書ほど経営の全体像が見渡せる本も珍しいと思います。

このBBMでは紹介できませんが、本書には、顧客視点で見たオペレーションのコツも、多数紹介されており、真の顧客志向を学ぶ上
でも役に立ちます。

どうしても色眼鏡で見てしまうビジネスではありますが、そこから学べることは数多くあります。

正論を並べ立てる、ありきたりのビジネス書に飽きた方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ラブホテルは、宿泊より昼の休憩の利用客が多い

人が生活するために最低限必要なもの、衣食住は不況に強いと言われています。ただし、不況時には、安いものが求められます

ラブホテルはインフレに強いとも言われます。なぜなら、ラブホテルは、時間単位で料金を変更できるからです

「休憩」で2回転、「宿泊」で1回転。合計し、平日は3回転を若干落ち休日は3回転を余裕で超えるくらい

1部屋が3回転、1回転あたりの客単価が平均7千円として1日当たりの1部屋売上が2万1千円。月当たりにして63万円になります。地方に行くと、単価が割り引かれて6千円として月当たり54万円

仕入れ・在庫がない、現金商売であることは、やはり儲かる仕組み

ラブホテルは短期的に設備投資せざるを得ない業態であるのは間違いなく、リニューアル投資をしないと売上は次第に落ち込み、気がついた時にはすっかり閑古鳥が鳴いています

温泉旅館にラブホテル的サービスを付加すれば間違いなく人気が出るという、あるホテル企画者のアイデアがあります。温泉旅館の伝統的なお仕着せの食事時間、布団の上げ下ろしをなしにして、お客様をその空間で自由にさせる(中略)温泉旅館とラブホテルのサービスを合体して6か月先まで予約で埋まっているホテルもあります

ラブホテルのお客様はリピーターが7割?8割

いつも来る二人が、気づくか気づかないかわからない程度でも、おそらく潜在意識にはちゃんと新鮮さがアピールできている。そんな
マイナーチェンジを面倒くさがらないでやっているホテルは、ロングセラーになりうる

ラブホの看板は、ホテルの名前ではなく、いかに「ホテル(HOTEL)」の文字をインプットさせるかが大事

ラブホテルは1番店が大きく儲かり、次に2番店が儲かります。そして3番店(→4番店)という具合なのですが、繁盛店のおこぼれさえ頂戴できない閑散店はいずれ客ゼロ倒産店となって、経営を断念しなくてはならなくなります

◆ラブホテルが売りに出される理由
1.くたびれ 2.清純派2代目 3.過去隠し 4.借金破綻
5.思惑違い 6.事故物件 7.競合負け物件

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『ラブホテル経営戦略』週刊住宅新聞社 山内和美・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4784826556
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◆目次◆
第1章 ラブホは儲かりまっか?
第2章 ラブホテル経営の現場
第3章 これからラブホテルを経営したい方へ
第4章 ラブホテル不動産

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