2009年3月4日

『大事なことだけ、ちゃんとやれ!』ジェームズ・キルツ、ジョン・マンフレーディ、ロバート・ローバー・著

【ウェルチ、バフェットも推薦?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314151

本日の一冊は、ジレットの会長兼CEOとして、経営難に陥っていた同社の業績を飛躍的に回復させ、2005年にはP&Gによるジレット買収という、コモディティ業界史上類を見ない大型買収を成功させた著者が、その経営哲学と手法を公開した注目の一冊。

あのジャック・ウェルチやウォーレン・バフェットが本書に推薦の辞を寄せていることからもわかるように、著者はアメリカでは知る人ぞ知る辣腕経営者。

本書では、氏がジレットを立て直すために何をやったのか、その詳細を公開。実際に効果があった手法なども紹介しており、勉強になります。

著者が大事にしている経営原則や、既存事業の継続/売却を評価するための「簡易評価プロセス」など、具体的な情報が多く、即実践で使えそうな情報もいくつかあります。

驚いたのは、「ナンバーワンになるよりも上位三分の一に入ることが大事」という氏の主張。

これは、「どの業種でも、五年にわたって好調を維持している企業は、たいてい一番ではなく、二番ですらない。その業種でつねに上位三分の一に入っている企業だったのだ」という著者のリサーチから出てきたもので、議論の余地はありますが、興味深い見解です。

ほかにも、消費財メーカーが事業の健全性をはかるためのツールなど、とにかく実践的なのが本書の特徴。

組織のムダを省く方法や、事業を絞り込むためのポイントなど、経営改善のノウハウを学びたい方には、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ビジネスで成功するためには、やらねばならない大事なことがある。そして、おなじぐらい重要な点だが、無視すべきことがある

皮肉なもので、会社の業績が悪化すればするほど、個人の評価が引きあげられていく傾向が強い。事業が不調なときは、部下のやる気を挫きたくないという意識がはたらいて全体を高めに評価する

ビジネスがグローバル化した現在、低コストを武器にした競争相手は世界のいたるところから現われる

マーケットリーダーであれば、ライバル企業に対して市場シェアを奪うことは許さないという姿勢を示さなければならない

規模の経済と人件費の抑制だけを追求しはしない。ブランド力と、この事業に専念する幹部がもたらすコスト管理の強化を重視する

消費財を扱っているのであれば、売上高や利益よりも市場シェアやマーケティング費、広告費の対売上高比率が事業の健全性をはかる目安になる

どの業種でも、五年にわたって好調を維持している企業は、たいてい一番ではなく、二番ですらない。その業種でつねに上位三分の一に入っている企業だったのだ

「収益見通しや成長予想を吹聴する企業には注意が必要だ。『数字を残す』が口癖の経営者は、いつしか『数字をつくる』誘惑に駆られるものだ」(ウォーレン・バフェット)

わたしのモットーは二つある。「約束は控えめに。実行は大胆に」と「発言は実行のあとに」だ

「値上げ」して「割り戻す」というビジネスモデルは、市場シェアの大きいケロッグやゼネラル・ミルズにとってはうまくいった

ある分野でうまくいったやり方がほかの分野でも応用できると思ってはならない

幹部養成の最終段階では、個人の利益よりも会社の利益が重要であることを教える。会社の利益はつねに個人の利益に優先させるべきだ

順調に出世を重ね、修羅場を経験していない人間は信頼できず、何をしでかすかわからない

製品は少なく、利益は多く

「われわれにとって真の問題は、今日の強さではない。明日の強さを確保するために、今日動く必要があるのだ」(アイゼンハワー大統領)

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『大事なことだけ、ちゃんとやれ!』日本経済新聞出版社ジェームズ・キルツ、ジョン・マンフレーディ、ロバート・ローバー・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314151
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◆目次◆
はじめに 「クビになるんじゃないの?」
第1部 基本原則
第2部 リーダーシップ
第3部 長期的目標
第4部 大事なことをちゃんとやる
謝 辞
付 録
訳者あとがき

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