2009年3月23日

『化粧する脳』茂木健一郎・著

【化粧する脳】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087204863

本日の一冊は、脳科学研究で知られる茂木健一郎さんが、カネボウ化粧品の基盤技術研究所と共同研究を行った内容を、一般にわかりやすくまとめた一冊。

研究のテーマは、「化粧」を通した「自己の社会的構築」というもので、著者によると、化粧をするという行為は、「他者から見られることを前提に、自分自身のあり方を見つめ直す」ことに他ならない。

つまり、「化粧する脳」を通じて、どうやったらわれわれが社会に適合できるのか、そのなかで自己を確立できるのかを学べる、というのが、本書を読むメリットです。

アインシュタインや小林秀雄の名言を紹介しながら、メタ認知とは「無私へといたる道」と説くくだりは、本書の最大の読みどころ。

人間は自己開示することで魅力的になれる、と説いた部分も、われわれが社会生活を営む上で、参考になるに違いありません。

なぜ自分らしさが見つからないのか悩む人、社会における自分の魅力を高めたい人に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人は他者とのかかわりの中で生きている。他人が自分をどう見ているかということが、「私とは何か」という「自我」の成り立ちに重大な影響を与えざるを得ない

自閉症の研究をしていたサイモン・バロン・コーエンらは、一九八五年に「心の理論」仮説を提唱した。それによれば、自閉症の人びとは、他社の心が読み取りにくいためにコミュニケーションが苦手だという

心が相手にまったく伝わらなければコミュニケーションが成立しなくなってしまうが、簡単に読み取られてしまっては、生存戦略上優位には立てない。だからこそ、読み取らせつつ、すべては明かさないという不確実性も含まれているのだ

人間の場合は、「社会的知性」が発達しているので、他者のために何かをすること自体を喜びとして脳の報酬系が働く側面がある

女性が鏡に向かうときには、脳が喜んでいる

一般的に化粧には、左右の差異を少なくして対称的に見せる作用があるとされる。化粧することで、自分にとって自然な鏡に映った自分の顔=「鏡像」と他者がいつも見ている自分の顔=「正像」との距離を、多少なりとも縮めることができるのだ

豊臣秀吉の美への執着は顕著だった。足軽にはじまり、成りあがって天下人の座に就くと、権力を振りかざして周囲を美で固めた

生物の適応戦略としては、まったく異なる二つの次元が考えられることになる。「力」で生き残るメカニズムと、「美しさ」で選ばれて生き残るメカニズムだ

男の子は、自分が勝ったか負けたかという遊びの結果にムキになるが、女の子のほうは、勝敗が問題なのではなく、二人で一緒に遊んでいる、それ自体を大切だと考えている

社会的知性とは、饒舌と沈黙のあわいにある。そもそも、人間の知的行為の起源は、隠すことにあるのではないだろうか

アインシュタインが「人間の価値はその人がどれくらい自分自身から解放されているかによって決まる」と語っているが、この「自分自身から解放される」ことこそ、メタ認知であり、自分以外の視点に立って自身を見つめること以外の何ものでもない

個性とは、他者との関係において共通の基盤が築かれていなければ、磨くことができない

小林秀雄が語った「批評とは無私を得る道」という有名な言葉がずしりと利いてくる。ある意味、究極のメタ認知とは「無私」である状態のことかもしれないのだ

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『化粧する脳』集英社 茂木健一郎・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087204863
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◆目次◆
まえがき
第1章 顔は口ほどにものを言う(顔とコミュニケーション)
第2章 化粧は鏡であり、窓である(化粧の脳科学)
第3章 美女と野獣(美の進化論)
第4章 饒舌と沈黙のあわい(秘密を抱く女は美しい)
第5章 そして世界は、明るくなった(メタ認知と自己批評)
鏡や化粧を通した自己認知(恩蔵絢子)
特別座談会 「化粧を生きる」という視線
あとがき
参考文献およびお役立ちサイト

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