2009年3月26日

『プロフェッショナルの交渉力』田中均・著

【外務省きっての戦略家が9つの交渉原理を説く一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062153742

本日の一冊は、日米経済摩擦や普天間基地返還、北朝鮮交渉など、数多くの難交渉をまとめ、「外務省きっての戦略家」と呼ばれた著者が、その交渉術をまとめた一冊。

著者の経験上、事例はすべて日本の外交の話となっていますが、その裏舞台でどんな戦略が立てられたのか、著者がどんな「力」を用いたのか、またそれを機能させるためにどんな手を使ったのか、その詳細がわかる、じつにスリリングな一冊です。

読んでみて感銘を受けたのは、著者の「交渉哲学」。

「自分自身に『確信』がなければ、相手を説得することはできない」「交渉をすることが、将来の選択肢を狭めることにつながったり、将来の道筋を間違った方向に導いていくようなものになってはならない」「リスクを恐れた途端、交渉は終わる」

「交渉」という、二ッチなジャンルの本ではありますが、プロフェッショナルとしての覚悟を感じさせる言葉の数々に、思わず魅了されてしまう、そんな一冊です。

北朝鮮との交渉では、予想をはるかに上回る批判に耐え、NTTの接続料引き下げ交渉では「外務省は米国の手先」という辛辣な言葉を浴びせられた。

それにもかかわらず、自らの役割に徹した著者の姿勢には、役割のために自らを捧げ、社会のために尽くす、エリートの美学を感じさせられます。

明日の日本のためにいい仕事をしたい、と思う志ある方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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交渉目的について自分自身に「確信」がなければ、相手を説得することはできない

お互いに利益が得られるからこそ交渉は成立する

いい交渉というのは、ある程度の時間軸の中において、過去、現在、未来が一直線で天に向かって跳躍していく。そういうものでなければならない。逆に、その交渉をすることが、将来の選択肢を狭めることにつながったり、将来の道筋を間違った方向に導いていくようなものになってはならない

情報は収集をし、分析をして評価をする。最も重要なのは、その評価の部分なのである

相手が交渉する意図もないのに交渉を呼びかけることは、得策ではない。それは、自らを弱い立場に追い込むことになる。交渉の原則は、呼びかけた方が何か利益を成就したいという意思表示だからである

課題を与えて、交渉に足る相手かどうか見極める

その人物の人格の問題はさておき、結果を作る能力があれば交渉する相手としては問題がないのだ

日本がいかにひどい国か、を聞くことから始めた

相手にこういうことならできそうだ、という印象を与えることが重要

リスクを恐れた途端、交渉は終わる

大きな力を梃子としなければ、有利な合意はない

むしろ私は調べられた方が良かった。それが力を作ってくれるからである

最も難しいのは長期的な利益に基づいて行動することである。短期的利益の方が目に見えるし、強い。すべての交渉もそういう側面がある。だが、長期的な利益を担保するために、短期的な利益を犠牲にしなければいけない時があるのだ。その時に長期的な利益を決断することこそ、政治の力なのである

脅迫のもとでは交渉をしない

「ひょっとしたら譲るかもしれない」という印象を絶対に相手に与えてはならない。だからこそ、譲ってはならない原則を明確にしておく

大切なのは、一年経っても同じことを言っていることである

「してやった」という印象の残る交渉は、長期的に見れば、いい合意にはつながらないし、いい結果をもたらさない。最終的には、人間同士の交渉だということを忘れてはならない

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『プロフェッショナルの交渉力』講談社 田中均・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198627053
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◆目次◆
まえがき
第一章 確信
第二章 インテリジェンス
第三章 信頼性
第四章 リスク
第五章 力
第六章 戦術
第七章 保秘
第八章 発表
第九章 人間関係
第十章 終章
あとがき

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