2009年3月9日

『パパラギ』エーリッヒ・ショイルマン・著

【都市生活をサモアの酋長が見ると?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797352396

本日の一冊は、初めて文明を見たサモアの酋長、ツイアビが、西洋文明の真実を鋭く指摘し、話題となった名著の文庫版です。

以前話題になった時には、何となく読むのを忘れ、そのうちこの本自体の話題が終息してしまったので、ついに読まずじまいでしたが、今回の文庫化で、やっと読むことができました。

「恥をかかずにいようとして、すっかり自分を隠している」
「石の箱が気に入っており、その害についてはもはや気がつかなくなっている」
「自分たちのほうが田舎者より大きな権利を持ち、自分たちが作ったものは、大地に植えられ、収穫されるものよりずっと値打ちがあると確信している」
「お金のために、喜びを捧げてしまった人がたくさんいる。笑いも、名誉も、良心も、幸せも、それどころか妻や子までもお金のために捧げてしまった人がたくさんいる」

強欲資本主義が崩壊した現在、パパラギの指摘は、誠に耳に痛く、われわれ人間の生活はどうあるべきかを考えさせられる一冊となっています。

メディアに対する痛烈な批判もあるため、どこまで話題になるかはわかりませんが、その本質をえぐる洞察には、一読の価値があると思います。

ぜひ読んで、生活を見直すきっかけにしてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「肉を見た人は、見せた人と同じくらい罪深く、救われない」と、このように、白い人びとの掟は告げている。そのため、パパラギのからだは、頭から足の先まで腰布や、腰みのや皮でしっかりと包まれている。どんな光もはいることができない。だからパパラギのからだは、まるで深い原始林に育つ花のように、やつれて青白い

不思議なのは、どうして人がこの箱の中で死んでしまわないか、どうして強いあこがれのあまり鳥になり、羽根が生え、舞い上がり、風と光を求めて飛び立ってしまわないか、ということである。だがパパラギは、石の箱が気に入っており、その害についてはもはや気がつかなくなっている

お金のために、喜びを捧げてしまった人がたくさんいる。笑いも、名誉も、良心も、幸せも、それどころか妻や子までもお金のために捧げてしまった人がたくさんいる

おまえは誕生のときにさえお金を払わねばならず、おまえが死ぬときも、ただ死んだというだけで、おまえのアイガ(家族)はお金を払わねばならぬ

白人の世界でひとりの人間の重さを量るのは、気高さでもなく、勇気でもなく、心の輝きでもない。一日にどのくらいたくさんのお金を集めることができるか、どのくらいたくさんのお金を、地震があってもびくともしないがんじょうな鉄の箱にしまっているかなのである

少ししか物を持たないパパラギは、自分のことを貧しいと言って悲しがる。私たちならだれでも、食事の鉢のほかは何も持たなくても歌を歌って笑顔でいられるのに、パパラギの中にそんな人間はひとりもいない

私たちは、パパラギの小さな丸い時間機械を打ちこわし、彼らに教えてやらねばならない、日の出から日の入りまで、ひとりの人間には使いきれないほどたくさんの時間があることを

もしパパラギが正しく考えるなら、わかるはずだ。しっかりと持てないものはだれのものでもないということが。そして、しっかりと持てるものなど、もともと何もありはしないということが

パパラギが、神の言いつけを聞かず、自分たちの掟を作ったので、神はパパラギの財産にたくさんの敵を送られた(中略)なかでも重く神が定めたもうたのは、パパラギの心の中に恐怖を植えつけたことである。取ってきたものをなくしはしまいか、という不安

職業を持つとは、いつでもひとつのこと、同じことをくり返すという意味である

神さまの光、そう、それはたがいに愛し合い、心にいっぱいのタロファ(あいさつ)を作ること

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『パパラギ』ソフトバンククリエイティブ エーリッヒ・ショイルマン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797352396
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◆目次◆
パパラギのからだをおおう腰布とむしろについて
石の箱、石の割れ目、石の島、そしてその中に何があるかについて
丸い金属と重たい紙について
たくさんの物がパパラギを貧しくしている
パパラギにはひまがない
パパラギが神さまを貧しくした
大いなる心は機械よりも強い
パパラギの職業について―そしてそのため彼らがいかに混乱しているか
まやかしの暮らしのある場所について・束になった紙について
考えるという重い病気
パパラギは私たちを彼らと同じ闇の中に引きずり込もうとする

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