2009年2月21日

『その仕事は利益につながっていますか?』ジャック・スタック・著

【もう一度読みたい名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478004900

――「情報の価値は受け手で決まる」。

土井がよくセミナーでお話しすることですが、本日読んだ一冊ほど、そのことを痛感させてくれる本はこれまでにありませんでした。

本日ご紹介する一冊は、かつて2002年に『グレートゲーム・オブ・ビジネス』というタイトルで発売され、話題を呼んだオーブンブックマネジメントのバイブルですが、当時サラリーマンだった土井には「社員に数字を公表するとやる気になるのか」ぐらいの認識で、その価値がよくわかっていませんでした。

しかし、経営者となった今、読んでみると、本書がマネジメントにおいて、じつに重要なことを書いていることがわかりました。

その重要なこととは、数字を軸にして、社員を動機づける仕組みづくり。

多くの会社では社員のモチベーションを上げようともがいていますが、社員を飲みに連れて行ってもモチベーションは仕事に向かうとは限りません。

その点、本書の手法は、社員のやる気を、ストレートに業績につなげる、業績直結型の取り組みなのです。

具体的には、社員と毎週数字を共有し、ボーナスが全社員一律に適用される仕組みづくりをするわけですが、確かにこれは、下手なほめ言葉よりも社員をやる気にするはず。

ほめ言葉は上司に依存しますが、このやり方だと、社員が勝手に課題を見つけ、自発的に取り組むようになるのです。

実例に関しては、著者の会社の取り組みを参考にするしかありませんが、やってみる価値は十分にあると思います。

経営者の方、あるいはこれから経営者を目指す方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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最も効率的かつ最も利益が上がる最高の経営手法とは、全社員に会社経営について発言権を与え、また業績の良し悪しにかかわらず常に財務状況を公開することである

会社経営者が知るべきことは、「ビジネスを決定づける要素はたった二つ」ということです。一つは利益を上げること、もう一つは資金を作り出すことです

各部署の責任者が週に一度、ミーティングを設けて最新の財務諸表を検討することになっています。そのミーティングを通して、社員それぞれが新しい数字を書き取りながら、今年度の目標と照らして自分たちの仕事がうまく進んでいるか、四半期のボーナスが出る可能性があるかどうかを確認するわけです

業者が来て工場の在庫を尋ねてくれば、ありのままを告げました。それも正確な数字で、いくつの部品の在庫があって、現在の蓄えがどのくらいの期間もちそうかを、正直に伝えました。面白いことに、私が正直になればなるほど、相手は私を頼りにしてきました

マネジメントとは、目標へ到達したいという欲求を、社員の中に目覚めさせることに尽きる

勝利するごとにお祝いをする

あまりに多くの目標を立てるのは、結局無駄です。一年間で、二つか、せいぜい三つの目標に絞るべきでしょう。大切なのは、それぞれの目標が五つか六つの具体的な事柄を含んでいることです

会社は、顧客に製品を気に入ってもらうために宣伝広告、カタログなどに何百万ドルの費用をつぎこんでいたのに、社員の誇りを育てるための予算はゼロでした

ビジネスで利益を上げていくには、二つの方法しかありません。一つは、業界一低い原価であること、もう一つは、他社にないユニークなものを売ることです

◆オープンブック・マネジメントの実践方法
1.損益計算書から始める
2.最も費用がかかる項目に注意する
3.管理すべき要素に項目分けする
4.貸借対照表について教えるために損益計算書を使用する

標準原価計算システムを確立する

同じボーナス制度が社員全員に適用されるべきである

わが社では、社員誰もが、年収に対してあらかじめ定められたパーセンテージが、ボーナスとして支払われることになっています

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『その仕事は利益につながっていますか?』ダイヤモンド社 ジャック・スタック・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478004900
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◆目次◆

第1章 利益を上げる方法をなぜ社員に教えるのか
第2章 マネジメントの神話
第3章 ときめきの勝利感
第4章 全体図が見えれば意識改革はできる
第5章 経営数字を社員全員にオープンにする
第6章 標準を定める
第7章 誉めるよりボーナスを
第8章 年間計画を練る
第9章 会議に数字を持ち寄る
第10章 全社員がオーナーになる
訳者あとがき
附録 プレーヤーのための手引き

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