2008年10月6日

『最強打撃力』張本勲・著

【殿堂入り野球人に学ぶ仕事の心構え】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4583101201

本日の一冊は、前人未踏の3085安打を達成し、野球殿堂入りした往年のスラッガー、張本勲さんによるバッティング論。

バッティングの技術書でありながら、じつは、仕事人としての心構えや勝負の鉄則が学べる好著です。

著者は、幼い頃に大火傷を負い、原爆で姉を亡くし、右手にハンディキャップを抱えながら、努力と工夫によって最強の打者へと成長を遂げました。

冒頭に登場する「バッティングに頂点はない」という言葉をはじめ、ストイックな名言が、読む者を刺激してくれます。

「配給は”読む”べきものであって”ヤマをかける”ものではない」
「現役を引退するまで、就寝前の素振りを欠かさなかった」

プロとして愚直に積み重ねてきた努力と反省。前人未踏の記録を打ち立てながらもなお慢心しない著者の姿勢からは、プロとして学ぶところが数多くあります。

そして、最大の読みどころは、著者による指導者論。

いい監督とは、「チームを勝たせてくれる人」。「指導者は、自分の理論に絶対的な自信を持てなければ、選手を教えるべきではない」。

名指導者に見出され、大成した著者の言葉だけに、リーダーは重く受け止めたいところです。

野球の本だから、と敬遠せずに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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バッティングに頂点はない。にもかかわらず「もうこれでいいんだ。自分は一人前になった」と油断した瞬間に、転落は始まっていく

他人のモノマネでもある程度は打てるようになるが、たとえば20年間、同じような成績を残そうと思ったら、自分に合った技術を身に付けないことには不可能である

指導者について言えば、たとえば”短打者”に長距離バッターのポイントを教えるようなことがあってはならない。その選手の個性を見極める眼が大事になってくる

◆野球選手が大成するために必要な3つのポイント
1.努力 2.自己管理 3.良き指導者との出会い

ピッチャーが嫌がったりビビったりすることによって、失投が生まれる。安心して投げてくるピッチャーから失投は生まれないのだ

いざという場面では、そのピッチャー本来の傾向が出やすくなる。「困ったときは最も自信のあるボールで」と考えるバッテリーならなおさらだ

メモしたところで、実はそれほど参考にならない。後日、同じピッチャーと対戦することになったとしても、前回と寸分たがわず同じ状況というのはあり得ないからだ

人生はやり直しがきかないのだから、損得勘定は分からない

そのコーチは私のバッティングをひと目見るなり、右手の弱さを指摘した。指にハンディを負っていることなど、まだひと言も話してないのに、である(中略)「ホームランバッターはセンター中心に打球をぶち込まないと本数は伸びない。だが、そのままの右手じゃ無理。キミは足が速いんだから、中距離バッターを目指せ」そして、松木さんは、こう締めくくった。「怖いバッターになれ」

「勝利に向かっていくには、1個の球に全員が一致して集中しなくてはならない。プレーヤーはもちろん、ベンチの選手も1個の球を追いかける。最優先すべきはチームの勝利。個人の幸福はそこから生まれる」水原監督は、こんな言葉で私たちに意識革命を促した

いい監督とは、どういう監督か。私は、チームを勝たせてくれる人、だと考えている。人格など関係ない。プライベートではお付き合いしたくない、そんな人であっても勝たせてくれたら名監督だ

東映時代に日本一になったことや、首位打者のタイトルを取ったこと。決勝打やサヨナラ打を放ったこと。これらさまざまな喜びをかき集めても、23年間の現役生活の15%ほどしかない。残り85%は苦しみの日々だった

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『最強打撃力』張本勲・著
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◆目次◆

はじめに
第一章 超一流バッターへの道
第二章 打席での心構え
第三章 安打製造機が明かす打の極意
第四章 日本最高記録3085安打の軌跡
第五章 私が出会った野球人。そして、イチローへ
第六章 未来への提言
おわりに

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