2008年6月6日

『事業戦略のレシピ』遠藤功・監修、鬼頭孝幸、山邉圭介、朝木野晃茂・著

【もう一度「戦略」のキホンを学ぶ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820745077

本日の一冊は、ローランド・ベルガーのコンサルタント3人が執筆を担当し、同社日本法人会長の遠藤功さんが監修した、事業戦略の教科書。

戦略に関しては、有名なマイケル・ポーター教授の『競争の戦略』をはじめ、数多くのテキストが出されており、硬軟あわせるとかなりの数、市場に出回っています。

※参考:『競争の戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478371520/

そんな中、本書に何か特長を見出すとすれば、その恐ろしいまでのわかりやすさと、実践的な視点でしょう。

単なるフレームワークの提示に終わることなく、実際にプロジェクトを進めていく場合、どこがポイントになるのか、ということをしっかり記述してくれています。

具体的には、「正しい現状理解のための5つのポイント」における調査方法、分析方法の提示、「成長オプション」のところで述べられている、ビジネスモデルの観点から「成長オプション」を考える方法などですが、これらの方法をうまく使えば、新市場の開拓や客単価アップなど、自社の新たな成長のチャンスを見出すことができるはずです。

巻末には、ローランド・ベルガーが使っている「価値観を可視化するrbプロファイラ―」(=19の普遍的な消費者価値)も載っており、コンサルタントにとっても重宝する一冊です。

戦略策定のノウハウを学びたい方、問題解決力をアップしたい方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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戦略は、本社部門の一部の人間だけで描き得るものではなく、必ず
オペレーションの現状をきちんと理解している人も交え、侃々諤々
の膝詰めの議論を繰り返しながら練り上げていくものである

戦略作りには、地に足が着いた現場の目線と、なおかつ、鳥のよう
な高い目線の両方が必要である

戦略が優れたものになる最も重要なポイントは、自社にとって、あ
るいは自部門にとっての「本当の課題」を的確に判断すること

「店頭の商品」「来店する人」「不良品」「伝票」「在庫」などの
数を実際に数えることで、管理上の”乾いた数字”からは見えてこ
ないことが見えてくる

◆正しい現状理解のための5つのポイント
1.方法論・フレームワークの適切な活用
2.ファクト(事実)の徹底的な収集
3.(収集したファクトの)構造的・論理的な分析・理解
4.因果関係と本質の理解
5.関係者による突き詰めた理解

SWOT分析は、OT→SWの順に進めていくことが望ましい

◆5フォース分析
・既存プレーヤー同士の競争
・新規参入の脅威
・代替製品・代替サービスの脅威
・買い手の交渉力
・供給者の競争力

通常、市場規模は金額で見ることが多いが、その場合には、単価と
数量に分けることも必要

◆顧客について理解するための5つの視点
「基本属性」「価値観」「ライフスタイル」「ニーズ」「購買行動」

自社の領域から上流もしくは下流への展開が可能か、もしくは自社
が位置する領域をどう組み替えうるか、といったことを考えていく。
これが成長オプションとなる

ビジネスモデルの観点から成長オプションを考える上では、対価を
得る相手を変える、お金を得るために提供するものを変える、対価
の取り方を変える、といった三つの視点が考えられる

腹落ち感・納得感の醸成に必要なことは、「見える化」と「対話」

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『事業戦略のレシピ』遠藤功・監修、鬼頭孝幸、山邉圭介、朝木野晃茂・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820745077
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◆目次◆

オープニング 「戦略」とは何か
第1章 戦略を作る前に
第2章 戦略策定ステップ1 現状分析
第3章 戦略策定ステップ2 戦略オプション策定
第4章 戦略策定ステップ3 オプション評価・絞り込み
第5章 戦略策定ステップ4 計画・アクションへの落とし込み
第6章 確実に「実行」するために

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