2008年5月26日

『ウェルチの「伝える」技術』ビル・レーン・著

【ジャック・ウェルチ「10分の掟」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569700039

本日の一冊は、「20世紀最高の経営者」と謳われたジャック・ウェルチの専属スピーチライターが、ウェルチの「人を動かす」ノウハウと、驚愕のエピソードを語った一冊。

ウェルチに最後まで原稿を見せなかったというだけあって、内容はウェルチも真っ青の赤裸々なエピソードが満載です。

CEO就任以来、社内のコミュニケーションに徹底的にメスを入れ、スピーチが気に入らなければ、即刻「クビ」を言い渡したというウェルチの言動が、じつに詳しく記録されており、他のどんなウェルチ本よりもウェルチの素顔にせまっています。

ノウハウとしても秀逸で、「聞いている側に結論をもたらすスピーチ」をする、自分の成長をアピールする用語、データ、エピソード、見解を入れる、など、ビジネスプレゼンで必要な心構え、テクニックがバッチリ学べます。

惜しむらくは、著者がGEに20年以上も在籍していて、その特殊性に気づかないまま本書を執筆してしまったということ。

超大企業のリーダー、マネジャーを対象に指導してきた著者のノウハウは、確かに役立ちますが、そのうちいくつかは、大企業の幹部クラスだけを対象にしたお話です。

ただ、それだけに大企業や外資系企業でトップを目指す人には役立ちますし、スピーチ論を超えたリーダー論としても楽しめます。

やや著者の自慢話が鼻につきますが、これぐらいの人でないとおそらくウェルチの側近は務まらなかったのでしょう。

足し算要素も、引き算要素も多い本ですが、トータルで見れば、やはり読んでおいて損はないと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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キャリアにとってスピーチがいかに重要なものかを本能的に知って
いるのは、一部の有能な者に限られている

「彼が有能なことはわかっていた。我々は、彼が自分のアイデアを
有効な手段で周囲に伝えることができるかどうかを確かめたかった
んだ」(ラリー・ボシディ)

我々は人生の貴重な時間を、自分の工場のパイプの話をしたがる独
りよがりの間抜けなエンジニアのために無駄にされたのだ

語るべき中味がなければ、どれだけ優れたプレゼンテーション能力
を持っていても宝の持ち腐れだ

「伝える技術」は、その気になればすぐ上達する。芝居じみた仕草
や着るものに気を配るのではなく、話の内容や構成を磨けばいいのだ

プレゼンテーションの命運が、コンピューターに支配されることな
ど、あってはならない

会議をコントロールしたいなら、マイクを持って、スピーカーが的
を射た発言をした時は大いに鼓舞し、的外れな発言をした時には徹
底的に訂正すべきだ

現場の泥臭い業務も自らの手で掌握すべきだ。そうすることで、会
議にも自信をもって臨めるし、見掛け倒しのはったりを見抜くこと
もできる

何度も同じスピーチをしてはいけない(中略)基本は同じでも構わ
ないが、そこにあなたの成長を感じさせる用語、データ、エピソー
ド、見解などを加えていかなければ、過去の栄光にすがっていると
いうレッテルを貼られてしまうだろう。「古いもの」は死んでいくのだ

望まれていたのは、「聞いている側に結論をもたらすスピーチ」だ

組織の長として、誤魔化されたり、煙に巻かれたりしたと感じたら、
決してそれを見逃してはいけない

彼は、自分の近くには狂信的とも言えるほど「熱い」人間しか置か
なかった。優れた仕事をするためなら、すべてを投げだせる人間を
望んだのだ

リハーサルは、削除すべき部分を見つけ出す手段だ

「報告」や「ビジョン」を一方的に伝えるのではなく、「相手に何
をすべきかを教える」というウェルチの方針に従うことで、劇的に
変化した

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『ウェルチの「伝える」技術』ビル・レーン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569700039
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◆目次◆

謝辞
プロローグ
Part1 ウェルチのスピーチライターを二十年以上務めて
Part2 真実のみを語れ!
Part3 全体の変革は、細部の理解から始まる
Part4 「何をすべきか」にこそ、価値がある
Part5 あなたの言葉で語れ!
Part6 相手の感情を動かす
Part7 存在価値とは、情熱のことである
Part8 言葉の有益と無益の基準
Part9 アドリブはいらない、「何をすべきか」を伝える
Part10 心で語らなければ、届かない
エピローグ

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