2008年5月29日

『「騙されない!」ための経済学』森永卓郎・著

【世の中の汚な~いカラクリ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569648975

本日の一冊は、ベストセラー『年収300万円時代を生き抜く経済学』で知られる庶民派エコノミストの森永卓郎さんが、資本主義の正体と、そこに参加する利害関係者の思惑、庶民を騙すためのトリックを明かした、注目の一冊。

※参考:『年収300万円時代を生き抜く経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334973817/

話題となった前作は、批判も含め大変な話題を呼びましたが、今回の本も相変わらずの小泉政権批判を含め、著者の主張がかなり色濃く出た作品です。

ただ、それでも、時の権力者が自分に都合のいいシステムを作るという、古代から続いている原理原則を知らしめたのは意義があります。

「権力の側にいる者が、その他の無知な大衆から収奪する」。

あまりに現実的なひと言ですが、本書の内容は、これが実際に行われていることを実感させる内容です。

役員報酬や株主配当は増えているのに雇用者報酬は増えていない、経団連は、勝ち組企業が有利になるよう政策に働きかける機関、など、歯に衣着せぬ文章が痛快な一冊です。

政治やマクロ経済はちょっと…という人は、興味を持つためのきっかけとして、読んでみてはいかがでしょうか。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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権力の側にいる者が、その他の無知な大衆から収奪する、これが資
本主義の本質です

小泉内閣時代の二〇〇一年から二〇〇六年で、日本の名目GDPは
約一四兆円も増え、大企業の役員報酬は一人あたり八四%増、株主
への配当も二・六倍になっています。ところが雇用者報酬を見ると、
これが約五兆円も減っているではありませんか

平時は安価な労働力と税金を提供し、有事の際は兵隊となって前線
で戦うという、お金持ちにとって非常に都合のいい存在に、いまや
庶民はされつつある

テレビでよく顔を見るお茶の間エコノミストの面々の発言には、間
違いなくあるバイアスがかかっています。それは、あからさまな体
制批判をしないというバイアスです

メガバンクの株は不当に安いということに気づくことができたなら、
二〇〇三年の時点で銀行株を買って、数年後に一〇倍にすることが
できたのです

経済理論に合わない状態が二〇年以上続くことは、歴史的に見ても
まずありません

日経平均株価というのはあくまで、東京証券取引所の一部に上場さ
れている二二五銘柄の平均(正確にはダウ式平均)値、つまり大企
業に偏っているのだといことを見落としてはいけません

FXや商品先物のように、レバレッジ(てこの作用)をかけられる
金融商品は要注意です

不動産や株を買い占めたいお金持ちにとって、それらの価格が下が
るデフレは、実は願ったりかなったり

日銀の金融政策というと、後述する金利にばかり目がいきがちです
が、金利というのは基本的にマーケットで決まるのであって、実は
本当に注目すべきは通貨供給量のほう

大事なのは、自分たちは水商売型の国になりたいのか、コツコツと
働く国になりたいのかを選択するということです

経団連というのは要するに、勝ち組企業が有利になるよう政策に働
きかける機関

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『「騙されない!」ための経済学』森永卓郎・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569648975
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◆目次◆

序 章 誰があなたを騙そうとしているのか?
第1章 難解な「経済用語」に騙されるな!
第2章 「経済政策」のウソを見抜け!
第3章 「国際経済」ニュースに翻弄されないために
終 章 経済知識を手に入れて、資本家に踊らされない将来を手に入れよう

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