2008年4月2日

『FBIアカデミーで教える心理交渉術』ハーブ・コーエン・著

【全米140万部のFBI式交渉術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313937

昔、まだ土井が幼かった頃、父と外出して、とても恥ずかしい思いを何度かしました。

それは、父が何を買う時も必ず「交渉する」人だったということです。

デパートに行っても、スーパーに行っても、アイスクリーム屋でも、父は必ず交渉して、通常より安くモノを買っていました。

若い頃の土井は、それがとても嫌で、父と買い物に行くのだけはどうしても我慢できませんでした。

ただ一つだけうらやましかったのは、父が買ったアイスクリームはいつも「大盛り」だったということ(秋田には「ババヘラアイス」なるものがあります)。

土井が一人で買っても、コーンの上にちんまりとアイスが乗っているだけなのに、父が買うと、驚くほど大盛りなのです。しかも、お店のおばさんは、大盛りを要求されているのに、むしろ喜んでいるように見えたのです。

それでも「値切る」行為を美しいとは思っていませんでしたが、大学時代ギリシアに留学して、父のやっていたことの意味に気づきました。

なぜなら、当時のギリシアのお店には、いわゆる「正札」が存在しなかったからです。

正札がないということは、聞かないと値段がわからない。そして、最終的なモノの値段は「交渉」ですべて決まるのです。

土井はそこで、クレジットカード払いと現金払いでは受けられる待遇が違うということ、連泊と1日だけの宿泊では値段が違うということを学びました。

以来、日本でも可能性のあるものなら値段も含め、交渉してみる習慣が身に付きました。挙句の果てにアマゾンでは「バイヤー」という、もろに交渉力が問われる仕事に就くことになったのです。

そんな経緯があったせいか、土井は「交渉」という言葉を極めてポジティブにとらえています。なぜなら、ビジネスは本来、人と人との会話から始まるべきであると考えるからです。

三井高利やレイ・クロックを責める気はありませんが、お店に会話がなくなり、交渉の機会が失われたのは、社会全体としては損失だったのではないかと思います。あくまで情緒と人々の教育の場が失
われた、という点からです。

そういう目で見ると、本日ご紹介する本は、まさに日本人が失いつつある「交渉センス」を身に付けさせてくれる一冊です。

「交渉のハーバード」を経てFBIアカデミーで「交渉学」を教える交渉のプロ、ハーブ・コーエンが説く極上の交渉術。

「全米140万部突破」はだてではなく、内容は極めて具体的かつ実践的です。しかも、その内容は交渉術を超えて、マネジメントや金融などのビジネス全般、果ては人生にまで及んでいます。

今すぐ、ビジネスの場や日常の買い物で使える交渉テクニックの数々。
具体的なセリフも紹介されており、これを買わない手はありません。

すべてのビジネスパーソンにおすすめしたい、極上の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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どんな力も自覚の上に成り立っている。自分に力があると思うなら
力があるし、ないと思うなら、たとえあったにしてもないことになる

家族の誰かが「七〇ドル分の食料がどんどん腐っているのよ」と説
明したとしよう。店員はこの情報を喜ぶだろうか。そう、喜ぶ。な
ぜなら、あなたは店員の「期限」は知らないでいて、自分の「期限」
だけをさらけ出してしまうことになるからだ

標識に指示されたら、あなたが従う公算はすこぶる高くなってくる

まず自分自身を限定するのはやめよう。自分を冷蔵庫を買いたい人
間と思ってはならない。金を売りたい人間という見方をする

自分の意のままになるとびきり効果的な方法は「もしも」という言
葉を使うことだ

最終提案を成功させる秘訣は、相手にどの程度まで時間と労力を投
資させるかにかかっている

◆教養のある人が力について不満を訴えるケース
1.使われ方が嫌い 2.力の目標が嫌

交渉で人生を切り開いていく時、合法的な力は疑えるし、また挑戦
することもできる。はっきりと助言しよう。合法的な力は、使うこ
とが有利な場合には使い、それに挑戦することが有利な場合には挑
戦するがよい

覚えておこう。何かを得ねばならないと思えば、必ず一番高い値段
を払うことになる

大きな賭けをする時は、潜在する危険性をつねに分担あるいは結合
させる方向にもっていくこと

ほとんどの交渉で必要とされる唯一の専門技術とは、知的な質問を
し、それに対する答が正しいかどうかを判断する能力だ

人が自分に一体感をもつようにしむければ、交渉能力は最大限に伸びる

決して自分自身――あるいはあなたのために交渉してくれる誰か―
―に全権限を与えてはならない

「あなたは」という代わりに「私は」や「私の」という言葉を使い
さえすればよい。「私」という言葉を使えば、自分の個人的な感情
や反応や要望を、裁きの場に立たずに表現できる

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『FBIアカデミーで教える心理交渉術』ハーブ・コーエン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313937
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◆目次◆

第1部 交渉に強くなる秘訣はある!
第1章 交渉は情報力・行動力の総力戦
第2章 交渉の「常識」を洗いなおせ
第3章 交渉相手の「欲望」を分析する
第2部 交渉力を決める三つの要素
第4章 交渉パワーを二倍にする秘訣
第5章 「時間枠」を最大限に生かす法
第6章 先手必勝の「情報収集法」
第3部 合意に導く交渉スタイル
第7章 是が非でも勝つ交渉術
第8章 「歩みより」と「協力」の交渉術
第9章 「ウィン・ウィン」の原則
第4部 どんな困難な交渉にも打開策がある!
第10章 「らち」があかないときの交渉戦略
第11章 血の通った交渉で積極人生をつくる
訳者あとがき

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