2008年3月10日

『将の器 参謀の器』童門冬二・著

【自分は将の器か参謀の器か】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413092147


本日の一冊は、2001年に出され、人知れず売れ続けてきた、リーダーシップに関するロングセラーです。

最近になって突然売れ行きが伸びているらしく、どうしたことかと思い、読んでみたら、なるほど今、マネジメントの現場で求められていることがズバリ、書かれています。

著者の童門冬二さんは、かつて東京都庁にて広報室長、政策室長等を歴任した人物で、歴史を題材にしたリーダーシップ論で定評のある方です。

本書は、その童門さんが、名将として知られた徳川家康や武田信玄、名参謀として知られた豊臣秀吉、安藤直次らを取り上げ、その見事な手腕とリーダーシップを論じた一冊。

人の心を動かす上で欠かせない人間愛と、洞察力、正しいことを行
う決断力に、思わず頭が垂れる、そんな一冊です。

なかでも心打たれたのは、有望な若者を雇おうとする重役たちを制
して、「うちの若者をもっと育てることの方が先だと思う」と述べ
た加藤清正、リスクを冒して主人に諫言した安藤直次のエピソード。

将たる器とは何か、参謀たる器とは何か、深く考えさせられる、そ
んな内容です。

今はまだ自分の器が見えない、と迷う若いビジネスパーソンにこそ、
ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「人育ては、まず人を見ることから始まる」武田信玄

この、「どんな人間にも必ずひとつは見所がある」という態度が、
部下がかれに対して、「この大将のためなら、川中島で戦死しても
いい」と思う忠誠心を生んだに違いない

「その若者が優秀だということはよく分かる。しかし、他からきた
若者を優秀だ、優秀だといえば、いま熊本城にいる若者たちはみん
なぼんくらで、役に立たないということになってしまう(中略)お
まえたちがその若者を採用したいという気持ちはよく分かるが、わ
たしはうちの若者をもっと育てることの方が先だと思う。かわいそ
うだが若者は断われ」(加藤清正)

人間というのは、人によっていうことが許されたり許されなかった
りする。つまり、「この男のいうことならしかたがない」という”
なら”という気持ちがあるかないかによって反応が違う。どんなに
立派なことをいっても、相手に対する敬愛の念がなければ、何をい
ってもダメだ

知型人間は頭脳の働きによって自分の行動を決める。したがってこ
ういうタイプの人間にとって大切なのは、「何をやっているか」で
あり、同時に、「何のためにこのことをおこなうのか」という目的
意識の把握である。反対に「情型人間」は、ハートに受けたインパ
クトによって行動を決定する。となると、「何をやっているか」よ
りも「誰がやっているか」という相手の人間性が問題になってくる

◆労働の動機づけ三つの条件
・自分は何のためにこの仕事をしているのか
・自分のやった仕事は、どれだけ組織あるいは社会に対して役に立ったのか?
・それに対して、組織はどういう評価をしてくれたのか?

「彼らは、きっと今晩から工事を始める。それなのに指揮者のオレ
が、オレだけ寝ていたのでは彼らに悪い」(木下藤吉郎)

正しく生きたいというのは、社会正義がおこなわれ、それが社会の
合意として守られているということである。とくに偉い人ほどこの
合意を守らなければ、下の者は上部不信となり社会が乱れる

いい参謀というのは、こういうように、「主人に思いきって諫言す
る」という勇気のある人間のことだ

すべての人に道標を与えることがトップの役割

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『将の器 参謀の器』童門冬二・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413092147
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◆目次◆

はじめに
1章 将たる器とは
2章 参謀たる器とは
3章 前例をあえて打ち破る
4章 時代の先を読みきる

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