2008年2月6日

『マイ・ドリーム』バラク・オバマ・著

【米大統領候補・オバマの自伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478003629

本日の一冊は、黒人初のアメリカ大統領を目指し、先頃の「スーパ
ーチューズデー」でもヒラリー・クリントンと大接戦を演じた男、
バラク・オバマによる回想録です。

全米で100万部を超えているという注目作ですが、その期待に違わず、
思わず引き込まれてしまう内容です。

なかでも、嘲笑にさらされ、同胞である黒人女性を裏切った話や、
義理の父・ロロから学んだ教訓は、少年オバマの人間的成長を促し
たエピソードとして見逃せないところ。

黒い肌のアフリカ人と白い肌のアメリカ人を両親に持ち、幼い頃か
ら人種差別を体験。白人と黒人のはざまで揺れ動く著者の苦悩がじ
つにビビッドに伝わってくる内容です。

若くして亡くなった父の偉大さを他人の思い出話で知り、義理の父
からは社会の掟とたくましく生きる術を学ぶ。さらに、母からはき
ちんとした価値観を持つことを諭される…。

いち政治家の自伝ではありますが、その半生の教訓は、われわれが
生きる上でも、重要な示唆を含んでいます。

「強いほうがいい。強くなれないなら、賢くなれ」
「人として成長するには、きちんとした価値観を持たなければだめ」
「他人を批評する前に、自分を見つめなおせ」
「自分が散らかしたものを、他人に掃除させるな」

人間には必ずルーツがあり、その根源的な部分で情熱やこだわり、
能力を獲得する。本書を読んでいると、オバマという大人物もまた、
そのルーツゆえの賜物ということがよくわかります。

自分はどう生きるべきか。何のために生きるべきか。そんなことに
思いを馳せたくなったら、ぜひめくってみてください。

厚い本ではありますが、きっといい刺激になることと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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話題が尽きたり、話が個人的な内容に及んだりすると、何かと理由
をつけてはすぐにその場を離れた。一人のほうが気楽で、孤独が一
番の安らぎだった

「おまえの父さんから学べることが一つある。自信だ。それが成功
の秘訣だよ」

◆義理の父・ロロが教えてくれたこと
「痛みなんかに構っていられないこともある。自分が目指すところ
に辿り着くことだけを考えなきゃならないこともあるんだ」
「人は他人の弱みに付け込むんだ。国と同じだな。強い者が、弱い
者の土地を奪い取る。弱い者は強い者の畑で働く。弱い人の奥さん
が美人なら、強い人が横取りする」
「強いほうがいい。強くなれないなら、賢くなれ。そして強い者と
うまくやるんだ。でも自分自身が強いほうがいい。どんな場合でもな」

母は私によくこう言っていた。
「人として成長するには、きちんとした価値観を持たなければだめよ」

クラスには一人、別の種類の痛みを思い出させてくれる生徒がいた。
彼女の名前はコレッタといい、私が編入するまで、学年で唯一の黒
人の生徒だった(中略)「コレッタにボーイフレンドができた! 
ボーイフレンドなんだから、コレッタにキスしろよ」「ガールフレ
ンドなんかじゃないんだ!」大声で叫んだ。私はコレッタに近づい
て、彼女を軽く突き飛ばした(中略)その日はずっと、走り出す寸
前にコレッタが私に見せた失望と非難の表情が頭から離れなかった

他人を批評する前に、自分を見つめなおせ。自分が散らかしたもの
を、他人に掃除させるな。自分のことばかり考えるな

人々の夢の大きさに比例してコミュニティーは大きくなる

問題、行動、力、関心。私はこういう概念が好きだった。これらを
探っていけば、何に執着していて、何に無関心なのかが見えてくる

人をまとめたいなら、細かいことに気を取られず、もっと相手の核
心に迫らないと。人の心を動かす何かだ。そうしないと、この人に
なら協力してもいい、と思ってもらえるような人間関係は築けない

貧しさと自尊心はあまり関係がないと私は確信していた。自尊心を
持たせることより、誰もが納得できるような具体的なものに力を注
いだほうがいい

言葉と行動を一致させ、心からの願いと実行可能な計画を一致させ
ること。結局のところ、これこそが自尊心の源になるのではないか?

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『マイ・ドリーム』バラク・オバマ・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478003629
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◆目次◆

二〇〇四年版にむけて
まえがき
【第一部 起源 Origin】
第一章 ナイロビからの電話
第二章 インドネシア
第三章 ハワイでの再会
第四章 人種のはざまで
第五章 オキシデンタル・カレッジ
第六章 コロンビア大学
【第二部 シカゴ Chicago】
第七章 オーガナイザー
第八章 コミュニティー開発プロジェクト
第九章 雇用訓練センター
第十章 いくつもの方法論
第十一章 オウマ
第十二章 アスベスト問題
第十三章 ユースカウンセリング・ネットワーク
第十四章 希望を持つ勇気
【第三部 ケニヤ Kenya】
第十五章 ルーツを巡る旅
第十六章 父が抱えた苦悩
第十七章 サファリ
第十八章 父の故郷
第十九章 オバマ家の物語
エピローグ

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