2008年1月14日

『日経トレンディヒット商品航海記』北村森、山下柚実・著

【今年のヒット商品はどうなる?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313430

本日の一冊は、創刊20年を越えた人気情報誌、「日経トレンディ」の編集長とライターが、この20年のヒット商品を振り返り、それぞれのヒット要因を分析した一冊。

おもしろいのは、それぞれの時代のヒット商品を単体で扱うのではなく、それに影響を受けた/与えた商品も関連づけて紹介している点。

確かによく考えてみれば、作り手は必ず何かからインスピレーショ
ンを得ているわけで、それが部分的にでも明らかになったのは、じ
つに画期的だと思います。

ちなみにアンケート結果から明らかになったのは、トヨタ「プリウ
ス」がじつはソニー「AIBO」から影響を受けていたという事実。
「やわらかい機械」というコンセプトがインスピレーションにつな
がったそうです。

これを受けて著者は、「『他のヒントを受け継ぎ、継承していくこ
と』がヒット商品づくりの王道」とまとめています。

このほかにも本書には、ヒット商品づくりのアイデアやヒントがい
くつも盛り込まれています。

健康ブームの寵児「ヘルシア緑茶」や大人向け玩具のマーケットを
創り出した「大人のドリル」、「業務用から一般家庭へ」の先鞭を
つけた「自動製パン機」「トレシー」など、豊富な事例は、それだ
けでも読む価値が十分にあります。

また、フェラーリのデザインを手掛けた奥山清行氏やロボットクリ
エイターの高橋智隆氏ら、開発者の言葉も要チェック。

マーケティング、商品開発に携わる人は必読の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「他のヒットを受け継ぎ、継承していくこと」がヒット商品づくりの王道

デザイン・色・触り心地・テイスト感など、一つのヒット商品をめ
ぐって、生活上の必需性や機能や役割とは必ずしも結びつかない商
品の個性に、さまざまな商品開発の現場から、視線がそそがれている

かつてと違うのは、今は「隣の人が何を買っているのか知らない時
代」ということ。世代をまたいでヒットするのではなく、あるピン
ポイントで爆発的なヒットとなる事例が続出している

「レストランに例えて言えば、メニューをまずしっかり作ること」
「信念を持たず、客におもねてはダメ。客の予想を超えるものを出
して初めて、客はそのレストランをまた訪ねてくれる」
「客を厨房に入れてしまうというのは、困った現象。どこまでが客
のエリアで、どこまでがシェフ、つまり作り手のエリアなのかは、
はっきりと線引きされるべきです」(デザイナー奥山清行氏の言葉)

「例えば、『今何時?』とロボットに尋ねて、答えが返ってくるま
で10秒かかったとしますよね。それを5秒に縮めることも大事だけ
れど、その10秒の間にロボットが『えっと……』と考えるしぐさを
見せる、といったアプローチも重要です」(ロボットクリエイター
高橋智隆氏)

団塊世代が、商品を見る目が肥えているというのは事実だろうが、
だからといって、彼らの眼鏡にかなう本物だけが売れるわけではな
い。むしろ、慎重さも併せ持つ彼らの背中を押すような、”お試し
型”商品にこそ可能性がある

行列に並ぶまさに”その人だけが味わえるドーナツ”があるのだ
(中略)「並んでいたときにもらったドーナツはもっとすごかった」
と、揚げたての味を体験した人が誰かに話す。そう話した本人も聞
かされた別の人も行列にまた加わる。こうして、行列は途絶えるこ
とがない、というわけだ

脳の気分は、人間性を充実させていく時期(アナログ期)と、技術
を追求し合理性を求める時期(デジタル期)とが、28年ごとに交互
にやってきます(感性リサーチCEO黒川伊保子氏)

ボクシングの亀田興毅が叩かれ、甲子園球児のハンカチ王子こと斎
藤佑樹が賞賛されたのも、サバイバル気分の完全な終結と、『気品
の復活』の一つの現れ(感性リサーチCEO黒川伊保子氏)

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『日経トレンディヒット商品航海記』北村森、山下柚実・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313430
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◆目次◆

第1章 「ヒット商品」の明日はどっちだ
第2章 「対話」が勝負の分かれ目
第3章 「ヒット商品」の履歴をさぐる
第4章 日経トレンディでたどる ヒット商品20年史

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