2008年1月1日

『思考の整理学』

【2008年は古典名著でスタート】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480020470

2008年最初の一冊は、昨年、書店員のPOPでブレイクし、ベストセラー『地頭力を鍛える』でも紹介された知的生産の古典名著です。

※参考:『地頭力を鍛える』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555986/

1986年に発売されて以来、ロングセラーとなっている本書が、なぜ
今、また注目されているのか知りたくて読んでみましたが、確かに
今、求められている内容だと思います。

まず、冒頭で紹介されているグライダー人間の話。グライダーは自
力で飛べない、つまり自主精神がなく、決められたことばかりをや
る人間の比喩ですが、それがコンピュータの登場で危機に瀕している。

では、どうやって知的生産において重宝される人間になれるのか。
本書は、その精神と本質を説いた一冊です。

新しい知識、情報を習得する人間を育てる教育とは何かから始まり、
アイデア発想の技術、表現におけるインパーソナルの哲学、知的個
性の作り方など、じつに示唆に富んだ一冊です。

20年以上前に書かれた本でありながら、その内容はいささかも色あ
せず、ますます光を増しているようです。

2008年は、間違いなく知的生産人間の時代。今年最初の一冊として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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グライダーと飛行機は遠くからみると、似ている。空を飛ぶのも同
じで、グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よ
りもむしろ美しいくらいだ。ただ、悲しいかな、自力で飛ぶことが
できない。学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間はつ
くらない。グライダーの練習に、エンジンのついた飛行機などがま
じっていては迷惑する

われわれは、花を見て、枝葉を見ない。かりに枝葉は見ても、幹に
は目を向けない。まして根のことは考えようともしない。とかく花
という結果のみに目をうばわれて、根幹に思い及ばない

秘術は秘す。いくら愛弟子にでもかくそうとする。弟子の方では教
えてもらうことはあきらめて、なんとか師匠のもてるものを盗みと
ろうと考える。ここが昔の教育のねらいである。学ぼうとしている
ものに、惜気なく教えるのが決して賢明でないことを知っていたの
である

ギリシャ人が人類史上もっとも輝しい文化の基礎を築き得たのも、
かれらにすぐれた問題作成の力があり、”なぜ”を問うことができ
たからだといわれる。飛行機能力がすばらしかったのである

”三上”という語がある。その昔、中国に欧陽修という人が、文章
を作るときに、すぐれた考えがよく浮ぶ三つの場所として、馬上、
枕上、厠上をあげた

酸素と亜硫酸ガスをいっしょにしただけでは化合はおこらない。そ
こへプラチナを入れると化学反応がおこる。ところが、その結果の
化合物の中にはプラチナは入っていない。プラチナは完全に中立的
に、化合に立ち会い、化合をおこしただけである。詩人の個性もこ
のプラチナのごとくあるべきで、それ自体を表現するのではない。
その個性が立ち会わなければ決して化合しないようなものを、化合
させるところで、”個性的”でありうる

「抽象のハシゴをおりろ」と命じたのは、一般意味論である。誤解
の多いコミュニケイションを救うには、抽象のハシゴをおりて、二
次的、三次的情報を一次的情報に還元するのが有効である。しかし、
これが文化の方向とは逆行するのもまた事実である。人知の発達は、
情報のメタ化と並行してきた。抽象のハシゴを登ることを怖れては
社会の発達はあり得ない

忘れてよいと思いながら、忘れられなかった知見によって、ひとり
ひとりの知的個性は形成される

表現をぎりぎりに純化してくると、名詞に至る

ほめるのは最上のあいさつで、それによって、ほめられた人の思考
は活発になる

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『思考の整理学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480020470
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◆目次◆

グライダー
不幸な逆説
朝飯前
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート
整理
忘却のさまざま
時の試錬
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界
第一次的表現
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター
あとがき
文庫本のあとがきにかえて

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